将棋 Tips #12 符号の読み上げ方
符号の「読み上げ方」っていうと「声を出して読む」ときの呼び方なんで、厳密にはちょっと違う話なんですが、タイトルとしてのわかりやすさを優先してみました。で、今回はアレですね。例の「ややこしいヤツ」を整理してみたいってことで、早速、始めていきます。
◆ 成と不成
読み方は「成(なり)」と「不成(ならず)」。相手陣の三段目までの地点へ動く駒(玉と金以外)または、そこへ打った駒が次に動く際には「成る」ことができますが、元の駒の性能を残しておきたい場合など、ワザと「成らない」という選択肢もあります。成れる駒を成らないことを「不成」と呼びます。読み上げるときは「21銀成」「21銀不成」という感じで、動いた位置と駒の後に、その動きを表す言葉をくっつけて示します。
上図は「▲21銀不成まで1手詰」です。「21銀成」だと王手にならないので不正解です。「21銀」だけだとどちらの動きなのかわからないので、ちゃんと「成」や「不成」を付けて言わないといけません。
◆ 打
読み方は「打(うつ)」。盤上にある駒と同種の持ち駒があって、盤上の駒が移動できる地点へその駒を打つとき、区別するために「打」を付けます。言葉だけの説明だと「ややこしい」ので図示します。
上図は「▲22銀打まで1手詰」です。「22銀」だけだと盤上の銀が動く意味になってしまいますので、ソレと区別するために「打」を付けます。
◆ 右と左
読み方は、そのまま「右(みぎ)」と「左(ひだり)」。盤上に同種の駒が複数あって、同じマスへ動くことができるとき、どの駒が動いたのかを示すため、符号の読み上げの最後に「駒の動きや位置を示す言葉」を付けますがそのうち、イチバンよく出てくるのが「右と左」ですね。これが、最もよく使われるのは「同種の駒が同じ段にあるとき」ですね。
盤上の、58と78の地点に金があります。どちらの金も67へ動けますが「67金」だけでは、どちらの金が動いたのかわかりませんので、区別するために「右と左」を付けて示します。58の金が動くのなら「▲67金右」で78の金が動くのなら「▲67金左」です。ちなみに、68へ動くときも同様に「▲68金右」「▲68金左」と読み上げます。
◆ 上と引
読み方は「上(あがる)」と「引(ひく)」。これは「同種の駒」に「見た目の上下関係」があるときに使われる言葉ですね。「右と左」は主に「同種の駒が同じ段にある」ときに使いましたが、「上と引」は、「同じ筋」にあるとき以外にもよく使われます。
図の76と78の銀は「同じ筋」にありますが、そのことよりも「上下」の関係に注目して、67と87の地点に動かすときに「上と引」を使って表現します。76の銀が動くときは「▲67銀引」「▲87銀引」。78の銀が動くときには「▲67銀上」「▲87銀上」と読み上げます。26の銀と48の銀も位置が少し離れていますが「上下関係」にあるので、37へ動くときには、「上と引」を使って区別します。26の銀が動くときには「▲37銀引」48の銀が動くときは「▲37銀上」です。
◆ 直
読み方は「直(すぐ)」。金と銀が、見た目で「真上の位置」へ動くときに使われます。「まっすぐ上がる」ので「すぐ」です。「チョク」と音読みにしても構いません。駒の動きとしては「上がる」ので「上」だけあればいい様に思えますが、次の様な局面になったときに困るんですねー。
金が同じ段に三つ並んでいます。どの金も、57の地点へ動けるんですが、「上」だけだとどの駒が上がったのかわかりません。上の方で紹介した「右と左」で表そうとしても三つ駒が並んでいるのでどの駒が「右」で「左」なのか示し切れないんですね。というわけで、真ん中の58の金の動きを区別して「直」と読み上げるってことです。「▲57金直」です。48の金が動くのなら「▲57金右」68の金が動くのなら「▲57金左」です。
ちなみに、48の金が47へ動くときは「▲47金直」58の金が47へ動くときは「▲47金上」です。同じ様に、68の金が67へ動くときは「▲67金直」58の金が67へ動くときは「▲67金上」です。この場合「右と左」を使っても区別は付くんですが「動きを表す言葉を優先して使用する」というのが通例なんですね(「右と左」は「位置を表す言葉」)。それが正式なものなのかどうかは「素人」の私にはわかりませんが、一応、そういう決まりになってるみたいですw
◆ 寄
読み方は「寄(よる)」。「金」「飛車(龍)」「馬」の三種類、真横へ動ける駒が同種複数あるときに使います。
57の金と68の金は、位置がひと筋ズレているので「右と左」を使っても区別できるんですが「通例」に従って、57の金が58へ動くときは「▲58金引」68の金が動くのなら「▲58金寄」と読み上げます。67へ57の金が動くと「▲67金寄」で、68の金が67へ動くのなら「▲67金上」です。
あと、68の金と88の金が78へ動く場合も動きは「寄る」ですが、どちらも同じなので、「右と左」を使って区別します。上の方で紹介したのと同じ様に「▲78金右」「▲78金左」という読み上げ方になります。
◆ 行
読み方は「行(ゆく)」。これは飛車と角(龍と馬)特有の「読み上げ方」になります。相手陣へ向かって、2マス以上動くときに使われることがあります。しかし、これは「正式な読み上げ方」ではないみたいですね。なぜかと言えば「上と引」や「寄」「右と左」を使えば、ちゃんと区別できるからです。まれに出くわすことがありますのでご紹介してみました(図は略)。
◆ 成と不成は最後に付ける
「右と左」「上と引」「直」「寄」は上でお話ししましたが、それと同時に駒を成ったり不成にしたりした場合は「両方続けて」読み上げます。その際は「成」と「不成」を最後に付けます。
32の地点へ銀が引いて成る場合は「32銀引成(ひくなり)」不成の場合は「32銀引不成(ひくならず)」です。銀が上がって成る場合は「32銀上成(あがるなり)」不成の場合は「32銀上不成(あがるならず)」となります。
さて、いかがだったでしょうか? この「読み上げ問題」は、符号を覚えるときに「ややこしい」と思われている事柄のひとつだと思いますが、今記事が、その「整理」に少しでも役立てば幸いです。ではまた。
<参考> 棋譜の表記について「正式なもの」については、日本将棋連盟のHPに簡潔にまとめたものがありますので、ご覧になってみてください。


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