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振り返ると顔が…エスカレーターで女性の後ろに立つ男 なぜ逮捕?意外な罪名

元特捜部主任検事
写真:イメージマート

 福岡市内の駅のエスカレーターで35歳の女性の後ろに立った71歳の男が逮捕された。意外だったのは、適用された罪名だ。女性が振り返るとすぐ男の顔があるほどの至近距離ではあったが、盗撮したり、身体に触れたり、においを嗅いだり、声をかけたりしていたわけではなかったからである。

なぜ逮捕された?

 報道によると、男と女性は面識がなかったが、女性は通勤途中だった7月13日、エスカレーターのすぐ後ろに立つ男の存在に気づいた。女性は他の通勤客から、これまでも男が同様の行為をしていたと教えられた。

 女性から相談を受けた警察が警戒していたところ、男は翌日も翌々日もベンチで待ち伏せし、女性がエスカレーターに乗ると同様に至近距離でその背後に立った。そこで警察は、23日に逮捕に踏み切った。

 男は電車内でも女性の隣に座ることが複数回あったという。

問われたのは条例違反

 もっとも、身体への接触などには至っていなかったため、男が問われた罪名は「福岡県迷惑行為防止条例違反」だった。この条例は、面識がなく、恋愛感情や怨恨の感情など目的が明確でなく、ストーカー規制法ではカバーできない特定の人に対する「嫌がらせ行為」も処罰の対象としている。

 福岡県の場合、正当な理由なく、身体の安全などが害されるのではないかと不安を覚えさせるような方法で、特定の人につきまとったり、待ち伏せしたりすれば、最高で拘禁刑1年に処される。罰金だと100万円以下だ。あまり知られていないが、ほかの自治体の条例にも同様の処罰規定がある。

 警察は行為の態様や反復性、被害者の証言などを総合的に判断し、これに当たるとして立件した。一方、男は「つきまといをしたという認識はない」と容疑を否認しているという。

 条例では、客観的に執拗な接近を繰り返し、相手を脅かす迷惑行為そのものが処罰の対象となり得る。焦点は動機の解明であり、警察は余罪も視野に捜査を進めている。

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元特捜部主任検事

ベスト エキスパート受賞

2025

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。きき酒師、日本酒品質鑑定士でもある。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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