【判決】「侵入したら、たまたま女性が裸だった」出所1年足らずで“悪い習癖”を繰り返した男への裁き
反省なき被告に言い渡された「判決」
「17年、刑務所に入って教育なども受けて、自分の考えに間違いがあったことがわかった気がしました。反省もしたのに今回みたいなことをしてしまって、すごく残念に思っています」
出所から1年ほどで盗撮を繰り返した57歳の男は、自身の行為をこう悔やむのだった。
女性4人に対する性的姿態等撮影や住居侵入、窃盗の罪に問われた鈴木将博被告(57)の判決公判が’26年5月27日、東京地裁で開かれた。
頭を短く刈り上げ、起立の姿勢で証言台に立った鈴木被告に対し、佐々木公裁判官は「合計4名の女性が、本来安心して過ごせるはずの私的空間をないがしろにされ、自宅等の鍵を盗まれたり、性的な姿態を撮影されたりしている。各被害者が抱いた不安感などの精神的苦痛は大きい」などとして「懲役3年」の実刑判決を言い渡した。
鈴木被告が最初に逮捕されたのは’25年10月。同年9月にAさんの部屋に侵入し、わいせつな行為をしようとした不同意わいせつ未遂の疑いだった。
このときは処分保留で保釈されたものの、鈴木被告のスマホから3人の女性の裸を撮影した動画が発見されたことで盗撮事件が発覚。Aさんのアパートの敷地内に侵入して窓の隙間から裸を撮影したとして11月4日、警視庁綾瀬署に性的姿態等撮影と住居侵入の罪で逮捕された。
公判では、女性の生活圏に侵入しては盗撮などの犯罪を繰り返す鈴木被告の卑劣な犯行が白日のもとに晒された。
’25年7月に2度にわたってAさんを盗撮。同年8月には無施錠だったBさんの部屋に侵入して鍵を1本、盗んでいる。そして同年9月には宿泊施設の窓の隙間からCさんの裸を動画撮影。’24年11月にはDさんの部屋に侵入して鍵を盗んだ後、Dさんの裸を動画撮影していた。
Bさんへの犯行は、鈴木被告のスマホにBさんとBさんの妹の運転免許証の画像が保存されていたことから発覚。家宅捜索でBさんの名前が書かれたタグがついた鍵が押収されている。
「たまたま鍵が開いていて…」
これらの犯行に及んだ動機を、鈴木被告は「支配」という言葉を使って説明していた。
「(女性の)無防備な姿を見たり、鍵や個人情報を入手することで、支配したような気持ちになっていました。合い鍵を使って再侵入とか、そういう計画を立てていたわけではありません。被害者の方々の家の鍵を盗んで持っていて、再侵入しようと思えばいつでも入れる状態に自分があるっていうことに、支配しているような感覚を覚えていたのです」
鈴木被告には前科があった。強姦4件や強制わいせつ致傷1件などの罪で’06年にさいたま地裁で懲役17年の判決を受けて服役し、’23年11月30日に仮出所していたのである。
出所当初は清掃業に就いてまじめに働いていたというが、仕事のストレスや、孤独感から「悪い習癖が出てしまい、夜に1人で出歩くようになって、事件に及んでしまった」という。「悪い習癖」とは窓から室内を覗いたり、無施錠の家があればとりあえず入ることを指すのだろう。
そして「たまたま鍵があいていて中に入ってしまって、たまたま女性が裸だったので、録画してしまった」と言い、「17年の刑期でそれなりに学んだことや反省したこともあって、それ以上(性行為)のことはしてはいけないと思いました」と不同意性交等などの凶悪犯罪には手を染めないよう自制していたと嘯(うそぶ)くのだった。
収監されたのは20年ほど前で、当時はまだスマホが普及してなかったため、鈴木被告は出所後に初めてスマホを手にしたのだが、「刑務所の中でも、スマホでの盗撮が流行っているとか、ある程度の情報は耳に入っていた」とも法廷で述べていた。実際にスマホを盗撮に使うようになったのはいつからなのかは覚えていないのだという。
「盗撮行為」に及んだことについては、他人事のようにこう振り返っていた。
「まさか自分がそんな盗撮するなんて思ってもみなかったので、なんていうんでしょうね、こうやって性犯罪をやってしまうんだなと、ちょっとびっくりしてるところもありました」
佐々木裁判官は量刑の理由のなかで前科に触れ、「懲役17年の有罪判決を受け服役し、更生の機会を与えられたはずであるのに、刑の執行終了からわずか8ヵ月で第1の犯行に及び、その後も、犯行を重ねたものであって、その規範意識は乏しい」と断罪。鈴木被告も冒頭のように「17年間の反省などが無駄になった」と後悔の言葉を口にするなど、何度も「17年」という言葉を繰り返していた。
「17年間の刑務所内での教育で、『認知の歪み』とか、自分の考えは間違っていたなとか、いろいろ気づくことがありました。まあ、全然直ってなかったんですけど。出所してから活かせることを学んだつもりではいたんですけど、今回活かされませんでした」
鈴木被告は控訴しなければこのまま服役することになる。17年間の反省をあっという間に無駄にしてしまった被告の「悪い習癖」が、わずか3年間の拘禁刑でおさまるとは思えないが……。
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取材・文:中平良