ヨコハマ恐竜展2026~恐竜の食卓大図鑑~ですよ
7/31に。
ヨコハマ恐竜展なのでファミリー向けなのはいつもどおりなんですが、サブタイトルどおり恐竜の食性がテーマになっているのが大きな特徴です。
これが実は内容に思ったよりきちんと影響を与えていて、まず解説はほとんど食性に関連することしか書いていなかったように思います。さらに歯の特徴を掘り下げたり、大型肉食恐竜や竜脚類といった分かりやすいくくりの中でも違いがあるという話をするいっぽうで同じ特徴があるものなら恐竜以外でも比較対象として並べてしまう、という風に不思議な徹底ぶりを見せています。また実は鳥類にもやたら強いです。
こうやってテーマを絞っているだけに新しい発見もあり、楽しい見学となりました。
たまたま平日に行けたのである程度余裕がありましたが、夏休み期間に入っていますし土日にどうなるかは微妙なところです。
もはやおなじみフクイサウルスとフクイラプトルからですが、食性を考えるにあたってどこを調べるのかということをフキダシ状のボードで示しています。
この2種の特徴にはあまり触れず、どこを見るのかという説明に注力しています。しかし大きさといい2種の違いといい、練習問題として最適ですね。こういう解説の配置はもっと増えていいと思います。
大部屋に出て、恐竜の主な食性の分類が行われます。獣脚類は分類ごとというより歯の形で分けられています。切る(会場では「引き裂く」)歯のアクロカントサウルス。
実は今回一番大きい獣脚類の骨格です。2000年代に登場する機会が増えて、メジャーなティラノと通のアロっていう定番に食い込んで風通しよくしてくれたんだよなあ……とか懐古しながら撮っていました(その後アロが目立たなくなるんでしょうが)。博物館じゃない大きい会場の恐竜展なもので。思えば東京タワーといいとある学校といいアクロカントはずいぶん窮屈なところにいたような。
切る歯の獣脚類が続きますが、大型で腕が短いアクロカントに対して小型で腕が長いドロマエオサウルス、
そしてアクロカントほどではない大きさで顎が短く腕はほぼないカルノタウルスと、大きさも体形も全く異なるものが並びます。捕食の相手と方法、つまり食事が違っていたことを示しています。
さらに今の切る歯を持った捕食者コモドドラゴンも。これは恐竜の食性を推定する根拠となるものですね。
このような歯の特徴でまとめられたもの達の前には、歯の形を触ったり向きを変えて見たりして理解できる拡大模型が設置されています。触ってみたい子供達にも観察してみたい恐竜ファンにも親切。
突き刺す歯の持ち主として出てきた骨格は今やお馴染みのスピノサウルス科ではなく、なんとアウストロラプトルです。この細かい歯が並んだ細長い顎はイルカをも思わせます。サギのように魚を水面からくわえ上げたのかもしれません。
スピノは歯の拡大模型と、2度ほど見ていた体がバルーンのロボが頭だけ来ています。
肉食恐竜の歯を分けるならということで噛み砕く歯のティラノサウルス類ですが、復元骨格が来ているゴルゴサウルスより……、
タルボサウルスのほうが分かりやすいですね。
ついばむもの、つまり歯がなくてクチバシのみのものですが、なんだかすごい組み合わせになっている!?
コンコラプトルとデイノケイルスだけなら獣脚類の中から歯を失い植物も食べるようになったものが複数現れたという話なんですが、そうではなくケヅメリクガメとプテラノドンまでいます。
さっきのコモドドラゴンと同じく恐竜以外のものも比較対象としているわけです。単についばむといって本当に色々であることが分かります。
このプテラノドンの骨格自体は、別の機会ではデカいなと思って見てるものです。デイノケイルスと並べると翼竜がいかに恐竜と比べて「小さい」かということが分かります……。
当然本筋とは異なりますがデイノケイルスの足の形が見やすいです。
ケヅメリクガメのクチバシ。鳥だけでは分からないクチバシのことについてカメが教えてくれます。
そういえばついばむコーナーに鳥は?それは後程。
デンタルバッテリーを形成していない鳥盤類のような歯を「ほぐす歯」としています。
グリーンイグアナが比較対象。(イグアノドンはこの後のコーナーに属するけど)
最近植物も食べたという説が定着しつつあるトロオドン類のザナバザルもこのコーナーです。
プレノケファレですが、堅頭竜類のしかも組み立て骨格を置きながら、まさか歯についてしか解説しないほど徹底しているとは。確かに恐竜の中でも場所によって違った形の歯を持っているグループです。
「つみ取る」歯としてカマラサウルスの歯が出て来ました。つい「自分でレプリカ持ってるしな……」と思ってしまいましたが、
カマラやブラキオ、ジョバリア(いつぶり!?)の向こうには、
「すき取る」歯としてちゃんとディプロドクスの歯と、
サルミエントサウルスとラペトサウルスの頭骨が。ディプロドクス類の頭骨が来ると思ったら全然見かけないものが来ちゃった。
そしてプウィアンゴサウルスの部分骨。エウヘロプスやタンバティタニスに関連してたまに名前を聞きますがこれもあまり見かけないです。
エウヘロプス科は普通「つみ取る歯」を持っているんですが、
プウィアンゴサウルスは例外的に「すき取る歯」です。そういえばタンバティタニスもそう。
歯による区分けの最後はデンタルバッテリーを形成する「刻む歯」です。
一番好きなパラサウロロフスの歯が代表にしてもらっていました。
2年前の巨大恐竜展のときにも来た鱗の痕跡があるブラキロフォサウルス。レプリカとはいえこうやって立ててもらったほうが見やすいです。
トリケラのロボットが動いて吠えている横の生まれたてのトリケラ。ちゃんと幼体のフリルと角です(よく考えたら角竜の卵に固い殻はないと思いますが)。それぞれ勝手に鳴いて不思議なメロディになるのが会場に響いていました。
パキリノサウルス・ペロトルム。食性に集中した恐竜展なだけに指摘されてようやく気付いたんですが、P.ペロトルムは上のクチバシの先端がとがってないんですよね。寒冷地に適応した特殊な食性に適応したのではという解説でしたが、まさかトナカイみたいに地衣類を?
歯が中心のコーナーの次は食事に関するトラブル、つまり争いや口の病気の痕跡についてです。おなじみの肩甲骨に穴が開いたアロとステゴのサゴマイザーの組み合わせが効いています。
闘争化石になぞらえてヴェロキラプトルとプロトケラトプスの頭骨が並んでいるんですが、
さすがに闘争化石のほうはここまで大きさは違いませんでした。にしてもさすがにヴェロキラプトルにとってプロトケラトプスが普通の獲物だったとは考えづらいです。
パラサウロロフスの頭骨もありました。しかし食事のトラブルのコーナーに?と思ったら、
歯周病だというんですね。上顎の浅くゆるやかなM字に凹んでいる部分です。植物をよく噛みしめるのが特徴のハドロサウルス類にとっては暮らしづらそうです。
続いては恐竜の成長と食性の関係について。
実はティラノの出番はこのロボと次の頭骨だけです。幼体は唇が閉じる復元で成体は唇が閉じない復元なのよく考えたら不思議。
この頭骨もお馴染みですけど今回は頸肋骨が見やすいです。
このディプロドクスは東海大学自然史博物館に展示されていたものです!相変わらず全身撮るのが大変だなあ。
東海大の肋骨みたいな天井もパシフィコ横浜の頸椎みたいな骨組みも似合います。
もちろん巨体への成長を扱うためにディプロドクスがここにいるわけで、近縁なアパトサウルスの幼体と成体の頭骨があります。これだけ違えば幼体と成体で違うものを食べたのは確実でしょう。頭骨だけでなく(さっきのカマラサウルスのように)背の高さも全く違います。
ディプロドクスはアパトサウルスとは口先の形が違うのでまたさらに違ったものを食べたのではないかと思います。といっても巨体を支えるために基本的には色々なものを食べたかな。
エドモントサウルスの頭骨の下に成体と幼体の下顎。今回この並びで気付いたことが。
同じ写真から同縮尺で歯列の部分だけ抜き出して並べてみました。雑な比較ですが、歯の大きさがあまり変わらず数が増えたように見えます。
コリトサウルス頭骨。ちょうど今日コリトサウルスの成長と噛む力についての論文が出ていました。
https://academic.oup.com/evolut/advance-article/doi/10.1093/evolut/qpag135/8741437?login=false
特別展で魚竜がいると嬉しくなるようになってしまっているんですがステノプテリギウスです。
成長すると歯が抜けて食べるものが変わるということで、この個体は歯が生えそろった幼い個体です。
最後は鳥類の食性について。もうここから先には非鳥類恐竜はいないという大胆な構成です。
始祖鳥やエナンティオルニス類、イクチオルニス、オオミズナギドリの上にペラゴルニス。歯を持っていた鳥類が歯を失ったり、歯のような突起を発達させたりしたことを示しています。
プテラノドンの後だとがっしりしているように感じます。足はミズナギドリと同じように大きく復元されていますが、やはり大きな水かきがあったんでしょうか。
明確に肉食のケレンケンと、以前肉食だと思われていたガストルニスの比較です。
ガストルニスは以前クチバシの先端が尖っているように復元されていたんですが、骨自体にはその尖った部分はなく角質層だけが尖っていることになっていました。しかしモズならまだしもこんなに大きな鳥類が角質の突起だけで獲物を扱えるかは……?ということで今は骨どおりの真っ直ぐなクチバシで木の実などを食べたと考えられています。
いっぽうのケレンケンは骨の時点で猛禽のように大きく曲がって尖った、少し長いクチバシを持っています。後肢の比率もガストルニスより少し走行に適しているようです。そういえばこの前ホネサミで見たカワラヒワとトビの頭骨の比較とも似ているような。
実は近縁なエピオルニスとキーウィ。なんだかエピオルニスの卵を間違えてキーウィの足元に置いたと勘違いされそうな配置ですね(本当はエピオルニスの卵はもっとでっかいのです)。
これらには視覚より嗅覚が発達しているという共通点があるものの、アフリカのエピオルニスとニュージーランドのキーウィの共通祖先の段階では空が飛べたと考えられるので、視力が弱まったのもこれらの系統が分岐してからでしょうかね。
見慣れた飛ばない鳥であるエミュー。なんだか標準形のように感じてしまいますがよく考えたらダチョウやエミューのように足が速いのは独特な特徴でした。
ドードー。何を食べたか記録が残っている絶滅鳥類です。
ヤマシギ。よく考えたらキーウィと同じようにしてミミズなどを食べる鳥が日本にもいたということですね。しかしキーウィと違って視覚は発達しているし土中の餌を探すのにあまり嗅覚に頼っているわけではないようです。
鮮新世のペンギン類パラエオスフェニスクスです。
そしてこちらはマゼランペンギン。
この他にも現生鳥類の骨格が多数展示されていて、やはり古生物の食性をはじめとする性質を解明するには鳥類や、最初のほうのコモドドラゴンやケヅメリクガメなど、現生種の情報が必要であることを示唆します。
最後はヒトによく食べられているニワトリとヒトから得られるものをよく食べているハシボソガラスで、自己紹介するヒトを囲み、鳥類とヒトの関わりと未来を示します。
入場時になんか配布していただいたキャラパキはトリケラでした。下顎と左足を破損。



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