辺野古沖転覆事故の調査委“学校に明らかな安全配慮義務違反”
京都府にある同志社国際高校の生徒たちが乗った船が、沖縄県名護市辺野古の沖合で転覆し、女子生徒など2人が死亡した事故を受けて、高校を運営する学校法人は第三者による特別調査委員会の調査結果を公表しました。
報告書は、安全管理体制の不備が事故の最大の原因だとし、原因の根底には生徒の身体、生命の安全を確保するための「想像力の欠如」があるとしています。
ことし3月、アメリカ軍普天間基地の移設工事が行われている名護市辺野古の沖合で、研修旅行で訪れていた同志社国際高校の生徒たちを乗せた2隻の船が転覆し、▽17歳の女子生徒と、▽71歳の男性船長が亡くなりました。
この事故について高校を運営する学校法人同志社は外部の弁護士3人で構成する特別調査委員会を設置していて、7月31日、調査報告書を公表しました。
報告書では、
▽教員や転覆した船に乗っていた生徒、それに法人の役職員を含むあわせて48人へのヒアリングや
▽資料の分析などを行った結果、学校の安全管理体制の不備が事故の最大の原因だと結論づけています。
具体的には、
▽教員による現地の下見が一度も行われず関わりがあった船長を根拠なく盲目的に信頼していたこと
▽危機管理マニュアルに校外活動全般の記載がなく、辺野古沖での乗船についても教員が乗るのかや、誰が最終的な出航判断をするのかといった基本的なルールが全く定められていなかったこと
▽保護者や生徒への説明で、乗るのが抗議船であることや航路や安全性などを説明していなかったことについて、明らかに安全配慮義務違反があるとしています。
そして「原因の根底には多くの教職員に生徒の身体、生命の安全を確保するために何をなすべきかという大きな『想像力の欠如』があり、およそ非難を免れず、猛省しなければならない」と指摘しました。
【同志社 “調査報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め 十分に精査”】
同志社国際高校を運営する学校法人同志社は「調査報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め、十分に精査するとともに、再発防止策の拡充等の検討を行ってまいります。報告書を受けた対応につきましては、調査報告書の内容の精査および再発防止策等の検討が完了し次第、速やかに記者会見を開催し、ご説明いたします」などとするコメントをホームページに掲載しました。
【遺族 “本当にやりきれない思いが募ります”】
転覆事故で亡くなった女子生徒の遺族は「報告書を読みますと、辺野古コースに関わった多くの学校関係者の当事者意識のなさが、際立っているように思いました。何度も止める機会があったのに、その全てが素通りされてきたこと。読み返すたびに、本当にやりきれない思いが募ります。報告書の再発防止策の提言は、実行されて初めて意味を持ちます。学校側が、いつまでに、何を実行するのか。具体的な計画と経過の公表を求めます」などとコメントしています。
また報告書によりますと、事故の4か月前、亡くなった女子生徒は辺野古の海に出るコースからの変更を希望したものの、抽選に外れて当初の申し込みのとおり参加することになったということで、遺族は「この報告書で初めて知りました。この点についてはまだ心の整理ができていません」としています。