「今は一番のほうがやりやすい」 ソフトバンク・正木智也が覚醒した理由
最新鋭打撃マシンで磨いた打撃
その成果を大きく後押ししたのが、球団が導入する最新鋭打撃マシン「トラジェクトアーク」だった。実在する投手の球質や軌道を忠実に再現し、各球団の主力投手との“実戦”を積み重ねられる。 「最初は激ムズで、こんなのを続けたらバッティングが崩れるんじゃないかと思いました」 それでも打ち続けた。 「やり続けるうちに対応力が上がっていきました。今ではやらないと気が済まない。打撃練習が終わったら、すぐベンチ裏で打っています」 難しい球を打ち返すことを前提にした練習は、試合での対応力を飛躍的に高めた。 そしてもう一つ、大きな転機となったのが一番打者を任されたことだ。当初は「初回は相手投手の情報がなく、ぶっつけ本番。初球から振っていいのか迷った」と戸惑いもあったという。そんな背中を押したのが、周東佑京だった。 「オマエを一番にしているってことは、ガンガン振ってほしいと思っているからだよ」 その一言で迷いは消えた。2週間ほどで役割に順応し、本来の積極性を取り戻した。6月24日のオリックス戦(みずほPayPay)では、先頭打者本塁打の打球速度が188.5キロを記録。球界屈指の打球速度は、鍛え上げたフィジカルと両手で押し込む新たなスイングの結晶だった。 幾度もの故障を経験し、思うようにプレーできない時間を過ごした。それでも腐らず、自分を見つめ直し、体を鍛え、技術を磨き続けた。その積み重ねが、5年目の飛躍につながっている。強力打線を切り開く一番打者として、そして将来のホークス打線を担う中心選手として──。正木智也は、苦しみ抜いた日々を力に変え、新たなステージへ歩みを進めている。 写真=BBM
週刊ベースボール