ソフトバンク強力打線の陰に打撃投手あり…「常に変わらない球」を投げ「ポンポン打ってくれる時が一番の快感」
昨季まで4年連続でパ・リーグ最多得点を記録してきたソフトバンクは、今季も前半戦を終えた時点で12球団トップの得点を挙げている。強力打線を陰で支えているのが、打撃投手だ。濱涯泰司さん(55)は、前身のダイエー時代から歴代の看板打者を主に担当してきた大ベテラン。「常に変わらない球」を目指し、打者に寄り添いながら腕を振る。(財津翔) 【表】ソフトバンクの打撃投手
7月2日にみずほペイペイドーム福岡で行われた西武戦の試合前練習で、柳田悠岐選手(37)が次々と豪快なアーチをかけていた。バックスクリーンに放り込み、終盤には右翼方向へ5連発。振り返って打球の行方を確認した濱涯さんは目を細めた。
「ポンポン打ってくれる時が一番の快感」と濱涯さん。柳田選手は「濱涯さんはいつも同じような球を投げてくれる。だから、自分が再現性高く打つことができれば同じような打球を飛ばせるし、悪い打ち方をすれば悪い打球になる。(自分の状態が)分かりやすい」と感謝する。
打者は練習で、マウンドよりも数メートル手前から打撃投手が投げる球速100キロ前後の球を打つ。現在、チームに在籍する打撃投手は計11人。柳瀬明宏さん(43)ら元プロの投手だけでなく、面談や実技テストを経て入団した独立リーグなどの出身者もいる。長く採用に関わってきた簑原孝宏・球団統括本部副本部長は「実力を確かめて選んだ人材ばかり。うちの打撃投手は12球団で一番だと自負している」と胸を張る。
ダイエーで通算58試合に登板し、1999年シーズン限りで現役を引退した濱涯さんも、簑原さんが打撃投手にスカウトした一人だ。スピンが利いた直球やぶれの少ない投球フォームを見て「才能がある」と目を付け、すぐに転身を打診した。
濱涯さんの特長は傑出した制球力にある。試合前の打撃練習では20分で110球、キャンプでは30分で200球ほどを投げる。年間では2万球以上。この道27年目の濱涯さんは50万球以上を投げてきた計算になるが、一度も打者に球を当てたことはないという。