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女子陸上選手の画像 生成AIで性的画像に加工か 逮捕の会社員

事件・事故

生成AIを使って陸上競技のユニフォームを着た女子高校生の画像などを裸に見えるように加工し、SNSに投稿したとして会社員が逮捕された事件で、会社員は、女子の陸上競技選手の画像ばかりを集めていたSNSのグループで投稿などを繰り返していたことが捜査関係者への取材で分かりました。

兵庫県姫路市に住む会社員、井元健太容疑者(32)はことし2月、陸上競技のユニフォームを着た18歳の女子高校生3人の画像を生成AIを使って裸に見えるように加工し、SNSに投稿したとして名誉毀損の疑いで逮捕されました。

また、体操服を着た12歳の女子中学生の画像を同様に加工・投稿したとして児童ポルノ禁止法違反などの疑いも持たれています。

捜査関係者によりますと、これまでの調べで会社員は、「陸女」と名付けられた女子の陸上競技選手の画像ばかりを集めていたSNSのグループに参加し、画像の加工や投稿のやり取りを繰り返していたとみられるということです。

警視庁は、グループ内のほかの参加者が加工を依頼する書き込みをし、それに会社員が応じていたとみています。

調べに対して「陸上部のユニフォームは露出が多く加工しやすかった」などと供述しているということです。

一方、画像を示して「中学生を集めました。お願いします」などとSNSに書き込み、加工を依頼したとして鹿児島県に住む17歳の男子高校生についても児童ポルノ禁止法違反などの疑いで書類送検しました。

依頼を受けた井元容疑者は3日程度で完成させて投稿していたということです。

女子の陸上競技選手に対する性的な目的での盗撮や画像の加工などは、各地で問題になっていて警視庁は会社員がスマートフォンに保存していた画像や動画およそ3800点の中にも陸上の大会などで盗撮されたものも含まれていたとみて調べています。

事件の舞台 SNSグループ 違法行為温床のおそれ

事件の舞台になったSNSのグループには、女子の陸上競技選手の画像が高校や大学のほか個人の選手ごとに投稿できるようになっていて、競技場などで撮影された選手たちの写真が大量に投稿されています。

警視庁によりますと、書類送検された男子高校生はこの中から自分の好みの選手を集めたうえで会社員に加工を依頼していたとみられています。

グループでチャットをしていた利用者は多いときにはおよそ1000人の規模だったということです。

警視庁は違法行為の温床になっているおそれもあるとしてこのSNSグループなどへの警戒を強めています。

専門家 “児童ポルノ禁止法を適用 大きな一歩”

今回の事件のうち体操服を着た12歳の女子中学生の画像を裸に見えるように加工・投稿したとされる行為に児童ポルノ禁止法が適用されたことについて専門家は着目する点があるとみています。

インターネット上の表現をめぐる問題に詳しい金沢大学法科大学院の長瀬貴志教授によりますと、児童ポルノ禁止法は、実在する児童の保護を目的としていて、実在しない児童の絵などには適用されないことから、生成AIを使って作られた子どもの性的な画像への法律の適用は議論になっていて名誉毀損の罪で処罰されるケースが多かったといいます。

また、生成AIで加工した裸の画像などが、「児童ポルノ」にあたるかどうかについては、体つきが児童かどうかが重要な要素になるということです。

警視庁によりますと、今回、児童ポルノ禁止法を適用するにあたって、画像にうつっていた学校名などの情報から被害に遭った子どもを特定し、本人にも画像を見せて確認することなどで被害者が実在することを確認したり、画像を医師に見てもらって裸が児童の体つきであるとの意見を得たりしたということです。

長瀬教授は、「児童ポルノ禁止法」を適用した今回の事件について、「児童を守るという意味では大きな一歩だと思う。『児童ポルノ禁止法』は、悪質なものであれば、名誉毀損罪以上の法定刑も科されるので、より強い処罰をしたいという捜査機関の思いが表れているのではないか。児童の保護に向けて一歩踏み出したという捉え方ができ、裁判でどのようなかたちで判断されるかが非常に注目される」と話していました。

そのうえで、「児童ポルノ禁止法ができた時代には生成AIが想定されていなかった。表現の自由にも絡む話なので、幅広く議論をしていくことが非常に重要だ」と話していました。

スポーツ庁「絶対に許されないものだ」

スポーツ庁は「選手の写真の悪用や加工された写真のSNSへの投稿は絶対に許されないものだ」とした上で、「女子中学生や高校生が出場する陸上競技の大会では、大会主催者が写真撮影を禁止しているほか見回りの実施やポスターなどでの啓発を行っていると聞いている。引き続き、大会主催者などの関係団体と連携して取り組んでいきたい」とコメントしています。

「性的ディープフェイク」被害広がる

生成AIなどの技術を悪用し、実在する子どもなどの写真を使って性的な画像を作り出す「性的ディープフェイク」の被害が広がっています。

警察庁のまとめによりますと、去年、18歳未満の生徒や児童らの画像が悪用された「性的ディープフェイク」をめぐる警察への相談などは114件に上ったということです。

被害者の年代別でみますと、
▽中学生が66件と最も多く
▽高校生が32件、
▽小学生が6件などとなっています。

確認されたうち画像を悪用していたのは、被害にあった生徒や児童と同級生や同じ学校に通っていた生徒だったケースが多かったということです。

具体的には、男子中学生が、女子生徒がSNSに投稿した画像を生成AIを使って裸の画像に加工し、ほかの男子生徒に販売したケースや、成人男性が男子高校生から女子生徒の画像の加工依頼を受けて性的な画像を作成したりSNS上で公開したりしたケースなどがあったということです。

また、警察庁はことしに入り、ことし6月までに警察に寄せられたこうした相談などの件数を3日公表し、あわせて123件とすでに去年1年間を上回ったほか、去年の同じ時期と比べると2倍以上に急増しました。

被害者の年代別では、中学生が79件と6割あまりを占めて依然として最も多くなっています。

警察庁などは、生成AIを使った画像加工やSNSなどでの拡散がトラブルや犯罪、人権侵害につながるケースがあるとして注意を呼びかけています。

以前から問題視 競技中の画像 性的目的でネット上に拡散

アスリートの競技中の画像などが性的な目的でインターネット上に拡散されていることについては、以前から問題視されていて、6年前には、JOC=日本オリンピック委員会や、高体連=全国高等学校体育連盟などスポーツに関連する7つの団体の代表者がスポーツ庁を訪れ、対策に協力を呼びかけていました。

また、5年前には、東京オリンピックを前にJOCと警視庁の担当者らが意見交換を行い、アスリートが安心してトレーニングができるよう、警察への情報の提供など連携を図っていくことを確認していました。

こうしたなか、各競技団体では、大会などでの盗撮行為を防ぐために撮影の許可制や警備員の巡回などの対策を進めていましたが、生成AIの普及により、画像を勝手に性的に加工されるケースが出てくるなど問題が深刻化していました。

日本陸上連盟はことし6月、「迷惑撮影行為は、アスリートの人格や尊厳を傷つけ、プライバシーを侵害するだけでなく、健全な競技環境を脅かす極めて深刻な問題です」などとする声明文をホームページに掲載していました。

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