トップオピニオン社説れいわ代表選 大衆迎合主義を改めよ【社説】

れいわ代表選 大衆迎合主義を改めよ【社説】

 れいわ新選組の創設者である山本太郎氏が代表を辞任した。それに伴う代表選が行われ、幹事長の山本譲司衆院議員が新代表に選ばれた。

 2019年の結党以降、初のトップ交代となった。

れいわ新選組の代表選に立候補した(左から)山本譲司氏、阪口直人氏、石井礼子氏(画面)=17日午後、国会内(時事)
れいわ新選組の代表選に立候補した(左から)山本譲司氏、阪口直人氏、石井礼子氏(画面)=17日午後、国会内(時事)

党本部主導で支持者離れ

 山本太郎氏は今年1月、健康上の理由から参院議員を辞職。また道交法違反で検挙され、7月に代表辞任を表明した。党創設以来、絶対的だった存在の引退は、一つの政党の代表交代にとどまらず、個人に依存してきた政党の在り方が根本から問われる局面だ。

 れいわは結党以来、既成政党への不信を背景に急速に支持を広げた。消費税廃止や反原発、安全保障関連法の廃止など、反政府・リベラル色の強い急進的政策を掲げ、一定の支持層を獲得した。

 その政治手法は「左派ポピュリズム」だ。過激なパフォーマンスや情緒的な訴えで国民の政治に対する不安をあおり、SNSなどを活用して支持を広げた。

 政策そのものより、山本太郎氏個人の強烈な発信力やカリスマ性が支持を集めた。候補者選定から党運営、資金集めまで、同氏の求心力が党そのものを支えてきた。

 政権を強く批判する一方で、どう制度を変えていくのか、財源はどうするのかなど、実現性のある政策を示せないところに限界があった。財源の根拠も実現性もない公約であると国民は見抜いているのだ。

 今年に入って政党支持率は1%を割り込んでいる。2月の衆院選では1議席にとどまり、惨敗した。その後、共同代表の大石晃子氏をはじめ、10人以上の国会議員や地方議員が離党している。党本部主導で物事が決まり、地方やボランティアの声が届きにくいとの不満があった。

 わが国は、少子高齢化、安全保障環境の悪化、財政の悪化、エネルギー政策など、難題を数多く抱えている。耳当たりのよい給付や減税などのばらまき政策では国の将来は支えられない。責任ある政党には、財源や制度設計を含めた現実的な政策を国民に提示する義務がある。

 代表選は党の出直しのチャンスである。だが、実際に期待感は乏しかった。代表選には山本譲司氏のほか、阪口直人元衆院議員、東京都三鷹市議の石井礼子氏が立候補した。

 どの候補も「みんなで決める体制」を掲げた。これまでの党運営が代表に大きく依存していたことへの反省に基づくものだ。だが何がどう生まれ変わるのか、どういう路線にかじを切るのか、将来ビジョンを欠く代表選だった。

創設者頼みを脱却せよ

 新代表の就任を機に党名が変わる。政党として定着するには、誰が代表になっても基本理念や政策が共有され、組織として安定的に運営されることが欠かせない。

 わが国では、創設者の人気に依存する新党が少なくない。日本維新の会は、元大阪府知事の橋下徹氏の影響から脱却するまで長い時間を要した。国民民主党も玉木雄一郎代表への依存度は高い。ポスト山本太郎体制となってその真価が問われる。

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