「AI隠し翻訳」に批判殺到…韓国の古典文学アプリ全額返金で炎上、広がる波紋
【08月03日 KOREA WAVE】韓国で、文学翻訳に生成AIを使いながら利用者に知らせていなかった古典文学アプリ「チェクドドゥク」をきっかけに、出版物でのAI活用をどこまで認め、読者にどう告知するかをめぐる議論が広がっている。
2025年末にサービスを始めた同アプリは、1万9800ウォン(約2200円)の買い切りプランなどで数百冊の古典を読める点を売りにしていた。しかし、利用者からAI翻訳ではないかとの疑念が相次いだ。
運営側は当初、作品を読み、修正と再翻訳を重ねていると説明し、有名大学の学生や新人文学賞出身の小説家が翻訳を整えているとしてAI利用を否定した。だが、その後、翻訳過程でAIを使ったことを認めて謝罪し、既存利用者への全額返金と新規登録、決済の停止を発表した。
議論の焦点は、AIの使用そのものより、事前に知らせなかった透明性にある。韓国のAI基本法にはAI生成物を識別できるようにする義務が定められているが、出版業界がAI事業者か利用者に当たるかは曖昧で、翻訳出版物への適用にも解釈の余地がある。
専門家は、著作権が切れた原文をAIで翻訳すること自体は一般に禁じられていないとしつつ、文学翻訳では翻訳者の解釈や語彙、文体、時代背景への理解が商品の品質と価値を左右するため、AI利用を告知しなければ表示・広告上の問題になる可能性があると指摘した。
ロシア文学を長年翻訳してきたキム・ジョンア氏は、AI翻訳は表面的には滑らかでも、作家が意図的に崩した文章や語順、その中に込めた感情までは十分に移せないと説明した。特に語順で強調点が変わるロシア語では、作品全体の文脈を踏まえた解釈が欠かせず、「文学は誰が翻訳したかが重要な分野だ」と強調した。
一方、出版現場では、海外原稿の概要確認や出版可否の検討などで、すでにAIが補助的に使われている。業界関係者は、AIを完全に排除するのは難しいとしながらも、翻訳の主体はあくまで人であるべきだとの見方を示している。
こうした中、韓国の一部出版社は翻訳契約書にAI利用条項を盛り込み始めた。資料検索や参考目的での使用は認める一方、翻訳の主要手段として使う場合や一定水準を超えて利用する場合は、出版社への告知を求める内容だ。
韓国出版人会議も、翻訳だけでなく挿絵やデザインなど出版制作全般を対象に、AIをどの工程でどの程度使用したかを読者に示す基準づくりを検討している。文化体育観光省が改定を進める出版標準契約書に、翻訳過程でのAI利用基準を盛り込む案も議論されている。
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