「検察がおかしくなってる」暴言、性暴力、証拠隠し…“異常事態”相次いでも会見なし「黙秘権の行使」続く
●再審法改正に抵抗、公文書も廃棄
冤罪をめぐっても、不信は深まっている。 前川彰司さんが再審無罪となった福井女子中学生殺害事件では、有利な証拠が長年にわたり隠されていたと認定された。 法務省刑事局は、再審制度の見直しが避けられないとみるや、「証拠の全面開示」や「証拠の目的外使用の禁止除外」などを盛り込まず、その内容に被害者や遺族から「改悪だ」との批判が噴出した。 さらに、自民党に示した改正案の検討資料を短期間で廃棄していたことも判明し、国会で問題視されている。
●会見を開かない組織、「黙秘権を行使している」内部からも批判
異様なのは、これだけの問題が続きながら、検察庁が記者会見を開いて説明や謝罪をすることがほとんどないことだ。 山口地検岩国支部が検察審査会の審査員11人の氏名を外部へ流出させた問題では、自ら公表しなかっただけでなく、毎日新聞の報道後に開いた臨時レクでもカメラマンの入室を認めず、録音も禁じたという。 捜査対象者には強大な権限を行使し、ときには暴言や圧力で自白を迫る一方、自らの非には口を閉ざす──。 ある現職検事は、過去の取材にこう語っていた。 「検察庁は組織として黙秘権を行使している」
●再審無罪の袴田さんを「犯人視」、検事総長談話で弁護団が提訴
組織のトップ自身の言動も、非難の的だ。 1966年の静岡一家4人殺害事件で死刑が確定し、半世紀以上にわたって無実を訴えてきた袴田巌さんは2024年9月、再審で無罪になった。判決は、捜査機関による証拠のねつ造まで認定した。 しかし検察は控訴を断念する一方、畝本直美検事総長は談話で「強い不満」を示し、「控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容」とまで表明した。 弁護団は「無罪になった袴田さんを犯人視するもの」と反発し、2025年9月、国を相手取り550万円の損害賠償と謝罪広告を求めて提訴している。
●「検察の正義を全否定した」内部からも批判
この談話には、検察内部からも批判が漏れた。 「裁判所の認定の間違いを主張しながら、袴田さんのために上訴しなかったなどと、およそ法律家の書く文章じゃない」 ある検察関係者はこう続けた。 「あの談話は、これまで積み上げてきた検察の正義を全否定したに等しい」
●鈴木宗男氏「検察組織はおかしくなっている」
直近でも、東京地検特捜部に在籍していた検事が、捜査対象の女性と不適切な関係を持っていた疑いが発覚した。 7月9日の参院法務委員会では、与野党を問わず、検察への追及や苦言が相次いだ。 自民党の鈴木宗男議員は「今回初めてじゃないんです」と切り出し、こう声を強めた。 「私は、検察組織は今、おかしくなっていると思いますよ」 検察は今、そのあり方そのものが厳しく問われている。
弁護士ドットコムニュース編集部