“福岡県政のドン”蔵内勇夫・県議会議長に新疑惑 推進した巨大公園の高額モニュメント設置に「高校時代の恩師」が関与、浮かび上がる身内を県事業に参加させる手口
「九州のセントラルパークにしたい」
実際に赴くと、玄関の壁に「株式会社アシスト九州」のスチール看板が貼ってあり、別のスタンド看板に「芸術の森デザイン会議」を含めほか3つの名前が書かれている。 アシスト九州とデザイン会議は、県に作らせた施設の管理に蔵内の身内企業を参入させたパターンが共通している。 加えてB氏はこのスキームを成り立たせる"回路"の一部としても重要な貢献をしている。 2021年3月25日、「筑後広域公園モニュメント計画策定検討会議」が県庁舎ではなく、少し離れた場所にある県中小企業振興センター4階の会議室で開かれた。5人の委員の1人だったB氏が、持論を展開する。 「ニューヨークのセントラルパークは、200haあり、筑後広域公園も完成すると約200haとなるため、筑後広域公園を九州のセントラルパークにしたいという思いがあります」 人口5万人足らずの筑後市をニューヨークになぞらえる大風呂敷はB氏の夢だったのか。 だが、県当局にとってより重要だったのは、その後に続いた「提案いただいたアートモニュメントロードの実現を期待しています」との発言である。原案を評価するこの言葉は、事業を急ぎたい県側にとって、お誂え向きのお墨付きとなった。 議事録としてはA4判4ページと短く、結論ありきが臭う。ただ第1回はまだましで、5日後の第2回は議論どころか、書面による採決で終わり(全員賛成)。いかにも年度内決着ありきの行政のアリバイづくりと映る。 一連の流れは、税の使い道に疑問を抱いた市民団体「福岡減税会」のメンバーが情報公開請求した資料で明らかになった。 こうしたやり方に問題はないのか、蔵内事務所に質問状を送ると、「お答えすることはございません」と回答。 また福岡県庁は、「指定管理者の選定にあたっては、外部有識者で構成する委員会において、適正に選定を行なっています。筑後広域公園モニュメント計画策定検討会議につきましては、本来、検討会議の資料及び会議録を公開すべきでしたが、これまで公開に至らなかった点を反省しております」(建築都市部公園街路課)とし、筆者の取材後に資料と議事録を公開した。 北九州市と福岡市という政令指定都市に住民の視線が集まる福岡県では、県庁や県議会は有権者から縁遠くなりがちだ。 住民の監視が行き届きづらい構造にメスを入れない限り、蔵内がコケても、新たな権力の怪物を生む可能性は残るだろう。 【プロフィール】広野真嗣(ひろの・しんじ)/ノンフィクション作家。神戸新聞記者、猪瀬直樹事務所スタッフを経て、フリーに。2017年に『消された信仰』(小学館)で第24回小学館ノンフィクション大賞受賞。近著に『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか』(講談社)。 ※週刊ポスト2026年8月14・21日号
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