『三鬼』という小説に血湧き肉踊ったのは昨日。

三鬼
小林恭二
講談社
2026-06-24


そして今日、四谷くんに熱烈に薦め、一緒に本屋に行き、買ってもらうことに成功しました。

持ち合わせの足りないお客をATMに誘導し、お金を下ろさせることに成功した気分ってこんなんなんでしょうか。


この小説は、新興俳句運動の旗手であった、西東三鬼という俳人が主人公です。

三鬼、経歴が奇天烈すぎて、もはや胡散臭さが立ち上るほどの魅力を持ち合わせてます。もともとシンガポールで歯医者やってて、33歳で俳句はじめてすぐに新興俳句のトップになるって何...!?

三鬼が気になりすぎて、四谷くんが書棚から『三鬼』を手にしている横で、私は三鬼が自ら執筆した『神戸・続神戸』をカゴに入れていました。私も小説『三鬼』に営業をかけられて購買へと向かったわけです。

『三鬼』を読んで思ったのが、「俳句ってなんなん」ということです。


この本では、ギョッとするような俳句界の地図が筆者によって描かれます。

ボロカスに俳句の伝統を批判しまくった正岡子規。

その子規のフォロワーとして、巧妙な政治で一大俳句ネットワークの頂点に立った高浜虚子。

アンチ虚子としての新傾向の俳句運動。そこに現れた海のものとも山のものともつかない西東三鬼...!

そしてなぜか新興の俳句運動に目をつける特高の存在...!


「なんなん俳句やば」ってなります。

俳句は端的に言うと「日本の短い詩」です。

そんなシンプルな属性からは想像がつかないようなアクロバットな人間模様...!クラクラします。

杉田久女をモデルにした松本清張『菊枕』で描かれた俳句誌投稿者の物狂い、河東碧梧桐の弟子で、前衛的すぎて人が離れた「ルビ俳句提唱者」の風間直得の失踪などを思い出し、俳句に興味が湧き始めました。

作品そのものより、人間関係から入る私の野次馬根性が丸出しとなっているわけですが、『三鬼』かなり面白いのでぜひ読んでください。


三鬼
小林恭二
講談社
2026-06-24