―SS企画Extra― ※キャラ、世界観無効の可能性も……!?なお楽しみ企画 

『幽閉』

 前略、『灯』のメンバーたちは「セ〇クスしないと出られない部屋」に閉じ込められてしまった‼ 具体的な説明がなくても伝わるのが、こういうネタの良いところだよね!


「いや、よくないです。説明プリーズ」と呟くのはリリィ。

 白い壁に囲まれ、扉と巨大なベッドしかない空間。そこに突如として『灯』のメンバー全員が閉じ込められたので、もはや混乱しかない。ある朝起きていたら、そこに転移していた。クラウスでさえ気づけないという。

 そして、部屋の上部には『セ〇クスしないと出られない部屋』という説明書き。


「もう嫌な予感しかしないんですが……」

「その通りね、大変なことになったわね」

 リリィのぼやきに、顔をしかめたのはティア。

「例の部屋ね。恋人未満の二人組を非日常空間に閉じ込め、その葛藤を観察するための妄想空間……‼ やがて義務的に始めたセックスは次第に熱を帯びていき、終いには扉が開いても気づくことなく――」

「逆に、なんでテメェはそんな詳しいんだよ⁉」とジビア。

 批難の声を上げる仲間の中、グレーテは「なるほど……」と考え込むように視線をベッドに注いだ。そして、ちらりとクラウスの方を見る。

 クラウスが小さく手をあげた。

「性行為は、異性間でなくとも認められるのか?」

「まだ何も言ってないのですが……⁉」と目を見開くグレーテ。

「成立するわ。正直『セックス的であれば』なんでもありよ」

「なんでテメェは伏字を使わねぇんだよ⁉」

 淡々と状況確認を進めるティアとクラウスに、再度吠えるジビア。

 が、それ以上の発言はそこで途絶えた。なんにせよ、『灯』の誰か二人が交わらないといけない事態。互いに互いの顔を見つめ、緊張と羞恥を堪える時間。


 ティアが「結論は一つしかないわね」と深く頷いた。

「とっととモニカは、リリィに行為を迫りなさいよ」

「そんな雑に振っていい話題じゃねぇから‼」とジビア。

 モニカは心底不服そうに腕を組み、舌打ちをする。

「断る。絶対にしないから」

「そうですね。まずは、もっと別の方法を探りましょうよ」

リリィ冷静さを取り戻したように、堂々と口にする。

「他に方法がないなら、やむなしですが」

「「「――⁉」」」

 驚愕で言葉を失う仲間に、「他に方法がないなら‼」と顔を赤くして主張するリリィ。

あくまで任務のため現実的判断、とらしい。モニカは複雑な反応をしていた。

あらあら、とティアが頬を手で押さえた時、サラが「いや!」と顔を真っ赤にして叫ぶ。

「そもそもこの手の部屋って、割と色んなパターンで脱出してませんか⁉」

「え? そうなんです?」とリリィ。

「そうっす! 案外どうとでもなるんですって!」

 もしかしたらモニカの精神的負担を配慮したのかもしれない。

 誰よりも必死に部屋を観察し「例えばっ!」と部屋中に響き渡る声で叫ぶ。

「――部屋の壁を壊せるとか!」

「ダメでーす」ティアが腕でバツ印を作る。「部屋は鉄製です」

「――扉の鍵を解除できるとか! あるいは、最初からかかってないとか」

「ダメでーす」ティアが腕でバツ印を作る。「そもそも内側に鍵はありません」

「――外部から助けが来るとか!」

「ダメでーす」ティアが腕でバツ印を作る。「ここは宇宙空間とお考えください」

「この空間、頭『夢語』なんすかあああぁ⁉」

「いや、サラちゃん詳しすぎません?」「ボクの弟子、案外むっつりじゃん」

 怒号をあげるサラに、冷静なツッコミを入れるリリィとモニカ。

『テメェらのために必死に模索してんだよ』と殴りかからなかったサラは実に立派だった。ジビアだけが「よく頑張ったな」と慰めている。


 なんにせよ文字通り、ここはセ〇クスしないと解放されないという。

 ご機嫌でバツ印を作っているティアを、とりあえず全員で縛った。特に脱出には関係ないが、とにかく、うるさかった。

 そんな作業を終えたあとで「仕方がない」と場をまとめたのは、クラウス。

「僕が責任を取るよ。ボスとして部下が辱められる展開は見過ごせない」

「さすがの責任感」「我らがボス」「その場合、誰と……?」

「常在菌と」

「「「微生物⁉」」」

 さすがに止めるメンバーたち。「こう掌を指で突けば、その、なんだ、愛撫したことにならないだろうか……?」と微生物と性行為を始めたクラウスは面白過ぎるが、「わたくしは微生物に負けるのですか……⁉」と涙目で訴えるグレーテがいささか不憫だ。


 騒々しくなった部屋の片隅で、アネットが欠伸をかました。

「俺様っ、飽きてきたので――ぱくっといきます‼」

「「「「「え?」」」」」

 その直後、メンバー全員が呆気に取られる光景が展開された。

「の……?」

 ――アネットが、エルナの右耳を口に咥え出したのだ。

そのまま唇をぐちゅぐちゅと動かし、エルナの右耳をしゃぶっていく。

「のおおおおおおおおおおおおおっ⁉」

「あむあむあむあむあむあむあむ」

 嬌声をあげるエルナに構わず、アネットは耳をしがみ続ける。次第に唾液塗れになるエルナの耳。それは子ども同士のじゃれ合いと呼ぶには、どこか淫らな光景だった。


 その三分後、扉の鍵が開く音がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る