侮辱罪の構成要件・成立要件|どこから成立するか簡単に解説
侮辱罪とは簡単に言うと 侮辱罪は、刑法231条に定められた犯罪です。 簡単に言えば、具体的な事実を示さずに、公然と人…[続きを読む]
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SNSや掲示板で、人を「障害者だろ」「あいつは発達障害者」などと書き込む投稿が見られることがあります。
結論からいえば、状況によっては侮辱罪が成立し得ます。 ただし、常に犯罪になるわけではありません。大切なのは、「障害者」「発達障害者」という言葉そのものではなく、どのような文脈・態様で使われたのかです。
侮辱罪は、刑法231条に定められた犯罪で、公然と、事実を摘示せずに、人に対する軽蔑の表示をすることが問題になります。単に「嫌な気持ちになった」というだけで直ちに成立するわけではありません。
一般に、侮辱罪が問題になるかを考えるときは、次の点が重要です。
この3点を満たすかどうかが、侮辱罪の成否を考える出発点になります。
まず整理しておきたいのは、「障害者」という言葉自体は、本来は中立的な法的・社会的用語であるという点です。
制度、福祉、支援、権利保障などの文脈で使うこと自体が、直ちに違法になるわけではありません。
問題になるのは、その言葉が相手を見下し、人格を貶めるために使われている場合です。たとえば、「お前は障害者だろ」「あいつは障害者だから話が通じない」などのように、障害の有無を劣等性や価値の低さと結びつけて用いる場合には、侮辱的意味合いが強くなります。法務省の侮辱罪事例集でも、「おい障がい者」といった表現が処分例として掲載されています。
公開アカウントのSNS、掲示板、コメント欄、口コミサイトなど、不特定または多数人が見られる場所で、特定の人物に向けて「○○は障害者だろ」などと投稿した場合は、公然性が認められやすくなります。
この場合、「障害者」という語が侮辱的意味で用いられていると判断されれば、侮辱罪が成立する余地があります。
実名で書かれた場合は、成立しやすいです。
また、被害者側の実名が出ていなくても、アカウント名、返信先、引用投稿、前後の文脈などから、第三者が「誰のことか」を認識できる場合には、対象の特定性が認められる可能性があります。
逆に、完全に抽象的で、誰を指しているのか分からない場合には、特定性が否定されることがあります。
「障害者」という語が、福祉や制度の説明ではなく、相手をばかにするために使われている場合には、侮辱性が強くなります。
たとえば、「障害者だから理解できない」「障害者みたいで気持ち悪い」など、人格や能力を低く見る趣旨で用いられる場合は、単なる言及ではなく、軽蔑の表示と評価されやすくなります。
DM、個別メッセージ、電話など、第三者が認識し得ない場面では、公然性が否定される方向に働きます。そのため、刑事の侮辱罪は成立しにくいです。
もっとも、刑事の侮辱罪が成立しにくいからといって、直ちに問題がないとは限りません。民事では別の評価がされることがあります。
実際に障害のある方について、制度や配慮、支援の必要性などを中立的に述べること自体は、侮辱には当たりません。
ただし、障害の有無に関する情報は、場面によっては要配慮個人情報やプライバシーの問題を生じ得ます。
そのため、「事実だから書いてもよい」と単純には言えません。侮辱ではなくても、別の法的問題が生じる余地があります。
たとえ侮辱罪が成立しない場合でも、民事上の不法行為として損害賠償請求の対象になることがあります。
特に、相手の人格的尊厳を傷つけるような表現は、名誉感情侵害として違法と評価されることがあります。裁判所も、社会生活上受忍すべき限度を超える侮辱行為であれば、名誉感情侵害として不法行為が成立し得ると整理しています。
ここで注意したいのは、民事では、刑事の侮辱罪のように「公然性」が明示的な成立要件として置かれているわけではないという点です。
もっとも、公開範囲や発言の態様は、民事でも違法性判断の重要な事情になります。したがって、1対1のDMでも、内容や経緯によっては慰謝料請求の余地が生じることがあります。
実務では、「発達障害」「障害者」という語が使われたという一点だけで自動的に結論が出るわけではありません。
重要なのは、
といった事情です。単なる制度説明や中立的言及ではなく、相手を劣った存在のように扱うために使われていれば、侮辱罪や民事上の不法行為が問題になりやすくなります。
「障害者呼ばわり」は、それだけで自動的に犯罪になるわけではありません。
しかし、
には、侮辱罪が成立し得ます。
また、刑事の侮辱罪が成立しにくい場面でも、民事上は名誉感情侵害として損害賠償請求の余地が残ることがあります。大切なのは、言葉そのものよりも、文脈、態様、公開性、相手への意味づけです。ネット上の投稿は残りやすく、拡散もしやすいため、軽い気持ちの書き込みでも法的責任が問題になることがあります。