「いいね」を聞く幸せを31音で表し、現代屈指の恋する短歌として一目置かれる俵万智さんの一首「サラダ記念日」。本当に褒められたのは休日の野球観戦に持参した唐揚げという。カレーの風味が何にも勝る隠し味だったとか▲こんな優しい会話は赤いユニホーム姿で交わされたかも。何しろ熱いカープファンで有名な歌人だ。全力応援の合間、双方から弁当に手が伸びる情景が浮かぶ。ときめきと観戦熱に加え、腕によりをかけた一品への好評価。確かに特別な一日だろう▲うそじゃろ―と憤った逮捕を経て始動した今季。再起を期す新井カープが大逆転で開幕戦を制した。一枚岩で今後も粘りたい。皆でカバーし合い、若い力を伸ばして8季ぶりの栄冠へ▲客席がびっしり埋まった光景がいい。優勝が遠かった昨季は、日を追って空席も目立つように。勝つためには声の後押しが要る。赤く染まったスタンドこそ逆転を導く隠し味だと信じて▲何よりも赤ヘルに一喜一憂できる今を吉とせねば。俵さんの名歌集に載った秀歌〈我(わ)がカープのピンチも何か幸せな気分で見おり君にもたれて〉もコロナや戦禍では場違いになる。幸せを重ねた「球秋」に熱きコイの記念日を。

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