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夜の太陽は冷凍庫で待機/ととたの小説

夜の太陽は冷凍庫で待機

15,044文字30分

原作軸謎時空よだつか。デキています!
よだつかでバレンタインをやろうとして、チョコレートを買う話です。繊細なのは🦅のほう。
大注意:バレンタイン・チョコレートについて相当素人です

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正しいかたちを続けていれば、本物になる。


夜鷹純は明浦路司を愛している可能性がある。
この一文には問題がある。
愛している可能性がある、と言っているのは夜鷹純本人である。
愛している可能性があるというのは他者から見た時に出やすい言葉だ、たとえば鴗鳥慎一郎など近しい人間から。
本人が「僕は彼を愛している可能性があるね」というのは、変だ。自分の事やでわからんのかいな、というところ。
なお鴗鳥慎一郎は、「純くんは、明浦路先生を特別に思っているんだね」と目を細くして静かに頷いただけ。
彼は親友の特性を理解しているのでこうした物言いをすることが多い。
まあ自分の一番の理解者は自分であると言う人もいれば、自分のことがさっぱりわからないという人もいるだろう。
問題はまだある。


「おはよう」
「おはよう、純くん」
補足だが17:00を過ぎて、もうあたりは薄暗い。
野良猫のように鴗鳥家の庭先へ滑り込んでくる夜鷹を、慎一郎は温かい茶でもてなしてくれる。
さすがに二月ともなればウッドデッキはパネルヒーターやひざ掛けではしのげないほど寒いため、リビングのテーブルへついた。
「バレンタイン……」
それだけ夜鷹がつぶやいた、人とお話しする時のお作法をまるでご存じないかのようだが、これで現役時代はインタビュー等はちゃんとしていた。
つまり慎一郎に甘えているわけで、慎一郎もそれをわかっているし少し嬉しいとも思っているから構わない。
「そうだね、大きなイベントだから」
「……ハァ、」
ハァ……と夜鷹は肺をひっくり返すようなため息をついた。
続く言葉を慎一郎は待つ。
「……慎一郎くん、彼に贈るためのバレンタインデーのチョコレートを買いに行きたいんだけど」
「!いいとも!」
「慎一郎くんは毎年たくさんチョコレートを買うよね、おすすめを教えて欲しい」
「それならアムール・チュ・ショコラだね」
「アムール・チュ・ショコラ」
素直に夜鷹は繰り返した。チュ。
「そう、名古屋で一番のチョコレートの祭典!チョコのオリンピックみたいなものかな。今年は私も特に気合が入っているんだ、一緒に買いに行こう!」
アムール・チュ・ショコラ。とある名古屋の有名百貨店で行われる、日本有数の大規模なチョコレートの祭典である。
国内外を問わず一流ショコラティエや最高級ブランドがその数150を超えて集められ、老舗の伝統から最新のチョコレートトレンドに至るまでを網羅しつくす。ごく一部では『チョコのコミケ』とわかりやすく呼ばれた。
「僕にチョコレートの良し悪しはわからない。慎一郎くんが一緒に来てくれるのはとても助かる。……ありがとう」
「うん!二人でアムール・チュ・ショコラを勝ち抜こう!」
慎一郎がぐっと拳を作った。
「……勝負の話?」
「エイヴァに今年一番のチョコレートを食べさせてあげたいんだ。もちろん理凰や汐恩にも。ああ、光には純くんから渡してもらえると嬉しい」
「いいよ、僕も……彼の分と、それから、君たちの分を買う」
「……まさか純くんのバレンタインチョコを一緒に買いに行くことになるなんて思いもしなかった」
「僕もだよ」
「明浦路先生、きっと喜ぶよ」
「……」

問題のひとつ、既に夜鷹純と明浦路司は恋人である。
ライリー・フォックスの言葉を借りるならこうだ。
「えっ、つまり愛していない可能性もある状態でお付き合いしてるってことですか?ヤバ~」


ここで、夜鷹純の恋人である明浦路司についても説明をしておくべきだろう。
データ上の彼については今となっては多くの人間が識っているので、ここでは内面に触れる。
まず、明浦路司は夜鷹純に恋をしていた。
明浦路司は14歳の時、直接どころかリアルタイムでもなければノーカットでもない、切り抜かれた夜鷹純の演技動画を見ただけで『人生が変わるような』思いをした。
俺はあの人のようになりたい、あの人がいるところへ行きたい、あの人のようになりたい、なりたいんだ!
そして誰に手を引かれるわけでも、背中を押されるわけでもなく歩き出した。
司が目を開いた時すでに夜鷹純は現役を引退し、世界から隠れてしまっている。
輝ける一番星の導きすらもなく、ただ司は脳内の夜鷹純と向き合い続けた。
『司くん、夜鷹純にまるで恋しているみたいだね』
誰が一番最初に言ったか思い出せないが、その言葉は司に深い納得をもたらした。
恋を構成する要素、盲目、無謀、やみくも、純粋、苛烈、一途……
司が抱く想いは確かに恋の要素を満たしている。
「そうかもね」
だから司は頷いた、恋心と名前をつけた。
そうか俺は夜鷹純とスケートに恋をしている。
司の恋心は夜鷹を想うたびに塗り重ねられ、二重の殻を持つ卵のようなものだった。


麦茶の香りとともに司は夜鷹に対面した。たまげる、というのは漢字で魂消ると書くがそんな感じ。
あれを運命と言うのは簡単すぎると今でも司は思っている。
「なんだろうな、君の顔見て……思い出すくらいには記憶に残る演技だった」
かけられたその言葉に消えた魂が震えた、
「……信じられない……貴方が……俺なんかを」
純粋な驚き、動揺、そして、嬉しさ。この言葉で恋心が報われてしまうかもしれなかった。
なのに、
「一生かけようが君が光に勝てる事はないよ」
成仏しかかった恋心は直後、地面にたたきつけられた。塗り固めた恋にぱきりとヒビが入る。
「俺たちは勝ちます」
一生に足りる恋をしたはずの相手に、司は啖呵を切る。選手としての自分だったらこんなことは言えなかった。
ひとりじゃない、いのりさんとふたりぶんの人生なのだ。


「喋りすぎだよ慎一郎くん――ねえ、誰に何を話しているの?」
そしてヒビの入った恋心を抱えて、二度目の邂逅があった。これはもう運命って言いたくなるよなあと司も思う。
ここで司の恋心は壊れた、自分で作りだした憧れや尊敬はバラバラになった。
これは失恋したと言っていい。
失恋、恋を失う、だが失ったわけではない、壊れただけ。
そして、司は新しい恋をした。
えっなんでそこで恋をするんだよと思うかもしれない、何しろ司が一番困惑したぐらいだ。
神様に捧げていたような恋が終わって、人としての恋が始まってしまった。としか言いようがない。
そこまではギリ、許せる。だがこの恋は性愛――冒涜も含む恋だった。
十四歳の自分にそんなことを言ったらぶっ殺されるだろうな、とどこか達観している。



「……よく恋人やれてますね……?」
教え子である狼嵜光はとうとう言った。
光のことばは彼女の気づいていないところで真ん中を射抜いている。
光自身は司のことを好きではない、けれど賢いので夜鷹が誰かと恋人関係を結ぶという事は途方もない事だということはわかる。
夜鷹は誠実に教え子に――そう二度目の教え子となった彼女へ答えた。
「……どうかな」
「どうかな?」
これ以上は答えない。なぜって夜鷹にもわからないからだ。
紆余曲折、艱難辛苦、さまざま、
こんな四文字に全てを込めるには無理があるが、夜鷹純と明浦路司は恋人になって、恋人をやっている。
夜鷹純と明浦路司は恋人になれた。双方の合意も同意も取れている。
だが、夜鷹純は明浦路司の恋人をやれているだろうか。
なんのことはない結局夜鷹はスケート以外の自分に自信がないのだ。気付きたくはないが目を背けるわけにはいかない。
「自信があるのかないのかわかりませんね、コーチって」



「君は僕に何か特別な感情を抱いている。……言って」
その時。とあるきっかけを踏んだ夜鷹は、司の腕を掴むなりこのように要求した。
司がひた隠しにしているその心を言葉にしろと詰め寄ったのだ。
心の一番奥底のひみつの宝箱へ、次から次へと司が詰め込んできた恋心を。
目は口程に物を言いとはよく言ったものだ、夜鷹は司の目に宿る熱を見つける。見つけて、見逃さなかった。
「言って」
二度夜鷹が言葉を繰り返すことは少ない。
「俺は……あなたを、」
司は口を開くが、そこで踏みとどまってしまう。
名誉のために言うが、他人から拷問されたって司はこの恋心を押し隠して人生を全うすることができた。
だが、夜鷹に睨まれてとうとう司は宝箱に自分の手で鍵を差し込む。
夜鷹純とは司の心の奥に深く刺さったまま抜けない鍵のようなものだ、本人が触れたとしたら司は開けるしかない。
「はい、俺は……貴方のことがずっと好きです」
好きでしたと過去形で言えば逃げられただろうか、逃がしただろうか。
ところどころ声が掠れ、呼吸にもつれ聞き取りづらいことこの上なかったが、夜鷹にとってはじゅうぶんだった。
唇の動きに脳内で声を乗せるだけのこと。
彼の表情、まなざし、声、ことば、ふるえ、夜鷹の脳に疲れるほど情報を送り込む。
自分の目に誤りはなかったという一瞬の満足があった、だがこれは、させてしまった告白もいいところだ。
ならば返事をしなければいけないだろう、この時夜鷹は少し焦った。
追い込んで跳ばせたまではよかったが、自分も跳ばされたような。
「……そう、僕は君の事が好きかどうかはわからない」
明浦路司は夜鷹純に嘘をつけない。
夜鷹純は嘘をつかない。
「はい」
こくんと司は素直に頷いて、泣きも笑いもしなかった。
返事は終わったのだからそこで打ち切ってもよかっただろう。だが夜鷹は続けて聞いた。
「君は僕に抱かれたいの」
「えっと……わかりません」
明浦路司は夜鷹純に嘘をつけないはずなのに、嘘をついた。
人としての夜鷹純に恋をしてしまった。
美しい額その特別な生え際の星に口づけたいと願ったし、脚に触れたいと悶えた。
とっくに落ちている。
貴方に見られたい、微笑まれたい、ゆるされたい、触れられたい、求められたい、それらの細い欲望の行きつく先にきっと、抱かれたいはある。
夜鷹純は嘘をつかなかったが、同時に己の無自覚なことについては触れることができない。
僕に抱かれたいのかと聞いたのは、どこかで司に「抱かれたい」と言って欲しかったという気持ちがあったのかもしれない。
などというと二人の上下だのトップボトムだのタチネコだのが決まっていないように聞こえるかもしれないが、とっくに夜鷹は司を抱いている。

しょうがないな、君が求めるならあげてもいい。
あげてもいい、という態度を崩さないまま夜鷹は司を抱いた。
「……あげてもいいって態度にしては回数多かったですよねぇ!?」
若い子は回復が早いな、夜鷹は元気いっぱいに詰められて、彼にしては珍しく苦し紛れにいった。
「普通だよ」
どこのなにの普通の話だ。


いまのところ夜鷹純は明浦路司の恋人をやっている。
やることはやっている。やれることをやっている。
夜鷹には恋愛がわからない。だから夜鷹は学習を繰り返す。
恋人とは、恋人とは、恋人とは。


「それじゃ、アムール・チュ・ショコラについて説明するね、純くん」
「うん」
「はいパンフレット」
慎一郎は部屋から持ってきた冊子のうち一部を、夜鷹へ差し出した。予想以上の厚み。光沢のある表紙にはハート形の赤いチョコレートが一粒だけ。
受け取って開けばずらずらとチョコレートの写真が短い説明書きとともに並んでいる。慎一郎の説明にも熱が入ってきた。
「初日は去年と比べて比較的空いていたかな、でも初出展はこことここ、ここと、ここ。平日でもここは混むだろうな。一回につき一か所が限界だった」
ペンを持ち出して、地図に〇をつけていく。会場内の混雑を考えてかちょうど四か所はばらけて配置されているのがわかった。
「もう行ってきたんだね」
「うん、初日は偵察程度に、それから先週……二月に入るとバレンタイン向けのお客さんも多くなるんだ」
「……?これはバレンタンイン向けの催事ではないの」
夜鷹の中のバレンタインについての知識はつい最近まで、聖人の名前を冠しているが恋愛イベントになっているということぐらいだった。
日本においては女子が男子に向けてチョコレートを贈る儀式だったこと。
チョコレートには本命、義理という区分があったこと。
進化を遂げるうちに、友人にも贈る友チョコなる区分も増えたこと。
そして最近では、男性が女性に向けて贈る、逆チョコというものもあること。
以上が学習の成果だ。
かいつまんで伝えると、親友はうん、と一つ頷いてから補足した。
「アムールという名前も入っているから一見恋愛イベントのように聞こえるね、実際そういう人もいるだろうしお客さんのほとんどは女性だけど、このイベントのお客さんの多くは『チョコレートが好きな人』なんだよ」
「そうなんだ」
夜鷹は学習を惜しまない。『必要とあらば』がつくが。
夜鷹純は過去『どうすれば貴方のように強くなれるのか』という答えに困るようなインタビューに対し、このように回答をした。
『必要なことを行い、不要なことを行わない』
何が必要で、何が不要かを判断するのに夜鷹はとびぬけて優れていた。
彼は自らの肉体を俯瞰するように把握することができる、自らと向き合う事で自分の目指す道へのルートを導き出す事が得意だ。
とはいえ彼もしんじつ人間である、不要なものを抱え込みかけることはある、損切りが早いが、無傷と言う訳にはいかない。
夜鷹は時間が有限だということを知っている。
誤りを正す際に持ち出されるのは犠牲だった。たとえば、友達との他愛ないおしゃべり、たとえばアニメやゲーム。
必要なものを選び、不必要なものを捨てる。

「会場は確かに華やかに見えるかもしれないけれど雰囲気は結構緊張感があって、……少し殺伐としているかな、少し大会に似ている。どこを買ってどこを買わないか、予算、時間……この日のために真剣に調べている人も多いよ」
「へえ……」
夜鷹は脚を組み替えがてら椅子に座り直した。
一ミリたりともチョコレートに興味はないけど、選りすぐりの品をちょっと買えればいいかな、などと思っていたがどうやらそんな簡単ではないようだ。
「彼女に連れてこられて別に興味もないのに来ました、みたいな顔をしている人に対して当たりが強くなることもあるかもしれないね」
まるで言い当てられたようで夜鷹はやや気まずい。だがこれはどこの世界でもそうだし、男女が逆転しても当てはまる。

「面倒だな……」
「やめておくかい?別にアムール・チュ・ショコラでなくてもチョコレートはどこでも買えるよ。この時期はコンビニにもGodivaが並ぶくらいだ」
「……」
「ああ、そうだ、それか、このパンフレットから選んでくれたら僕が代わりに買ってきて……」
「ふっ」
夜鷹はとうとう鼻から息を抜いて笑った。苦笑である。
「ねえ、そう言われて僕が、じゃあお願いって言うと思うの。ちょっと演技が過剰だった」
「ばれたか。でも、僕の下手な挑発に純くんはいつも乗ってくれるから」
「恋人へのチョコレートをコンビニで間に合わせたり、人に買ってきてもらうのは正しくない」
「正しくないとまでは言わないよ、ひとには時間や予算の都合と言うものもあるからね」
この律儀な男は恋愛ひとつとってもこうなのだ、名前の通り純な親友が慎一郎はこの上なくかわいく思われる。
明浦路先生、貴方は僕の親友をこんなにかわいくしたんですよ。
「本命チョコは現地に行って目についたものを買うのはあまりお勧めしない、選択肢が多すぎると迷ってしまう」
「……うん」
「僕も経験があるけど、入り口からついついどれもこれもと買ってしまっているうちに奥の方までたどり着かないまま終わってしまうってこともあるからね」
ここ、と入り口から一番奥にあるブースを指さした。
「人気店はだいたい奥にあるんだ、」
「……ああ、」
百貨店の催事場の多くは上層階に配置される事が多い。そこを起点に顧客を下層階へ誘導するマーケティングはシャワー効果と呼ばれる。
上下と奥手前と違いはあるものの、似たような事だろう。
ぺらりとパンフレットのページを捲って見たが、心はまったく浮き立たない。
メロスには政治がわからないが、夜鷹にもチョコレートがわからない。
こんな気持ちでチョコレートを買うのは正しくないんだろうな……などと、胸に暗がりが広がり始める。
気を取り直して、チョコレートを渡した時に彼がどんな反応をするのかを想像してみた。
学習には角度というものがある、手ごたえがない時はすっぱりと別から攻めてみるのだ。
イメージトレーニング。
『えっ、これ、俺に……?』
想像の中で司は差し出された袋か箱を戸惑いがちに受け取る。
『わぁ、いいんですか……バレンタインのチョコレート……』
じわじわと顔が赤らんでいく、そう、バレンタインのチョコレートだよ。
『……高いんじゃないですか』
いいから。
『嬉しい、大事にします。一緒に食べませんか』
食べ物なんだから食べなよ。僕は要らない。食べない。司は必ず、一緒に食べないかを夜鷹に聞く。断ったらすぐに引き下がる。
『甘くてとってもおいしいです』
笑顔。そう。よかったね。
『ありがとうございます、だーい好き、キスしたいです、ちゅ』
……イメージがとてつもなく稚拙になってしまった。味覚や恋愛方面のイメージが乏しいためだろうか。
しかし喜ぶ司のイメージははっきりと掴んだ、そして、やるべきだという思考より、やりたいという衝動が生まれた。
いける。そのままパンフレットを眺めると、ひとつ、これはというチョコレートに目が留まる。
「……慎一郎くん。これはどうだろう」
「とてもいいね、すごく……」
「何?」
「君に『ロマンチックだね』なんて言える日がくるなんてね」
「……僕も驚いているよ」


夜鷹純は明浦路司を愛している可能性がある。
夜鷹純は愛と言うものの存在を知っているし触れたこともある。
だがわからない、わかっているかわからない。だから学習をする。
幸運なことに身近には親友鴗鳥慎一郎とエイヴァ夫妻の美しく優しい愛がある。
夜鷹のこれは本物なのだろうか。わからない。真に、自分のがらんどうな、スケートしかなかった心に生まれたものなのだろうか。
わかっていることもある。
明浦路司が自分に背を向けるのは、嫌だ。
明浦路司が誰かのものになるのも、嫌だ。
明浦路司が笑うと嬉しい。
状況証拠の愛を夜鷹は集めて積み重ねている。

ネットで学んだ愛の形で何回か失敗もしたけれど、夜鷹はせっせと愛を学んで、司に披露した。
慎一郎も真摯に愛について自分が思うところを説明する、夜鷹がまだ形を確かめている状態なのを正しく理解して決めつける事はしない。
幼かった理凰が自分の感情と言葉を結び付けられず泣いていた時に、「悲しい気持ち?」「痛い?」と選択肢を出し、ことばを見つけさせていた時のことを思い出した。
ほほえましい。言えば負けず嫌いな夜鷹は頼ってくれなくなってしまうかもしれないから、頬の内側をキュッとして。
とはいえあまりに遅咲きな情緒の発育に、ついつい「それは好きって事だよ!」とか「ごめんなさいしたかい!?」とか「あーあ……あーあ……」とか言っちゃうこともある。
夜鷹純の愛情を自転車に喩えるならば、鴗鳥慎一郎は補助輪になりたかった。
いつか「もう大丈夫、そこから先は自分で考えるんだよ」と手を離して背中を押す日まで。
うーん、思ったより歩みは遅い、氷の上では誰より上達の早かった男が。
こんな親友が恋人のために、普段寝ている時間に起きて、バレンタインにチョコレートを買おうとしている!
応援せずにいられるだろうか、これが!


夜鷹は慎一郎からペンを借りて地図に〇をつけた。こうして本命チョコレートは決まった。
「当日は開場30分前に集合しようね、ここ、それから事前にお手洗いを済ませておいた方がいいよ、混んでいると入場規制がかかる事も多いから、持ち物は……会場を出た時は……」
「帰りたいな……」
「まだ行ってもいないよ純くん」



そして約束の当日。
慎一郎は待ち合わせ場所へ現れた親友に声をかけた。
「おはよう純くん!時間通りだね、地図は持ったかな!お手洗いは済ませた?エコバッグはある?冷えるからカイロを使って」
「ぉはよぅ……持ってる……すませた……持ってる……ありがとう……」
朝9:30に集合するために、夜鷹は今日7:00に起床した。普段の6:00就寝では1時間しか眠れないことになってしまうため、数日をかけて少しずつ眠る時間を前倒しに調整してこの場に臨んでいる。
それでも5時間睡眠でいつもの半分以下の睡眠時間になった。非常に眠い。
タクシーで移動したまでは良かったが開店30分前だというのに、百貨店玄関前には吹きさらしの中もう人がぎしぎし並んでいる。
平日のはずなのに。おまけに絶えず「アムール・チュ・ショコラにお越しのお客様は四列に並び、前の方との隙間を開けずに」などと整理係の声が飛ぶ。
人が多い、寒い、うるさい、眠い、煙草吸いたい、寒い、人が近い、ざわざわしている、並ぶ、なに、嫌だ、帰って眠ってそれからリンクに行きたい、
「……帰りたいな……」
「まだ始まってもいないよ!」
慎一郎はきびきびとパンフレットの地図につけた〇とメモを見比べて最終チェックだ。
事前に説明は受けていたものの、どこか夜鷹の中にしぶとく残っていた『好きな男のために頑張ってチョコレート買っちゃうぞ~キャッキャッ』というイメージはここで完全にぶっ壊された。
並ぶ客のほとんどはたしかに女性だ、だが全員ふわふわどころか厳しい顔をして慎一郎と同様にメモを手にしている、複数人で来ているらしきグループは手分けの相談に余念がない、全員なにかの選手だろうか。
逆に夜鷹のように『チョコあげたら喜ぶかな~なんて思って~ちょっと早起きして来てみた』みたいな人間の方が目立つ。
そわそわ……足踏みを繰り返す。夜鷹の革靴は靴底が薄く、立ったままだと地面から寒さが伝わるのだ。
「試食は断っていいからね、苦しくなったら壁を目指すんだよ、必ず壁はあるからね、こことここはパフォーマンスをするからすごく混雑する、避けた方がいい、なるべく立ち止まらないように、人にぶつかるかもしれない」
「うん」
「純くんが行くのはここだよ、ここ!まっすぐいって、こう!迷ったら二個買うといい、僕等へのチョコレートは無理しないでいいからね」
慎一郎が大柄な体格ながら、周りに配慮しつつ身振り手振りでまっすぐいって、こう!と説明した。
夜鷹は眠たい頭を揺らして、うん、と頷く。
ちょうど彼らの前に並んでいた五十代女性はそのやり取りを背で受けながら警戒をゆるめた。

どうやらこのひとたち、転売や物見遊山ではないらしいわね。ふん。ようこそ。
そうよ、ここはチョコのコミケ――コミケとは日本最大の同人誌即売会である――なんだから。
全世界の一流ショコラティエが自慢の商品をひっ提げてカチコミに来てる、デッカいシノギの場よ。修羅場よ。
だから「マジかよこれに並ぶのかよォ~~みんな本気すぎんだろ~~マジで~~」みたいな態度のやつは帰りなさいよ、すっこんでな、こっちは本気よ。転売ヤー?殺すわ。
初出展は全部買いたいし、推しショコラティエにも課金したい、顔見知りになっているところは少し会話もするだろう、限定品はどのタイミングに入れるか――こっちはこの日のために構成を練りに練った。
つい先週は東京のサロン・ドゥ・ショコラにも行って予算を上回ってしまった、その分こっちは控えめに――いや、無理。
気付けば買っている、チョコレートってそういうものだから。
「帰りたいな……」
「純くん頑張って」
「……」
「明浦路先生のためだろう?」
「うん……」
どうやら背の高いほうは妻帯者らしい、いいなあ、甘いもの大好きで自分のためにも家族のためにも早起きしてチョコレート買ってくれる旦那さん。
そしてもう一人の真っ黒なシュッとしたほうは参加が初めてで、恋人のためにチョコレートを買いに来たらしい。
チラッと見れば地図に〇が一つだけついている、一点狙いか。ついている〇の場所的にあそこね。あそこまだ三回目くらいの出展だったはず――
通販もやってないし、いいチョイスよ!買えるといいわね、太陽のチョコレート。おいしいわよ、すっごく。彼女さん絶対に喜ぶから。絶対。
チョコレートを貰ってうれしくない人間なんかいないって、こっちは本気で信じてる。
ようこそチョコレート沼、新規のオタクは大歓迎。
「開場10分前でーす、入場されたら決して走らないでください、絶対に走らないでください」
時計を見れば本来の開店より5分前倒したらしい。いくわよ。
「それじゃあ、純くん、後で」
「うん」
がんばれ彼氏、エールを送ってこちらも戦闘開始。



僕はいま酷い目にあっている。夜鷹は自分を見下ろしてそう思った。
こんなに精神にねっちり負荷をかけたこと、夜鷹のこの数年の間そうそう無かったはずだ。
氷から降りて生きなければいけないことに絶望はしたし、生きているだけで息苦しくストレスを抱えもした。
夜鷹を今も支援しているパトロン達は夜鷹に基本的に要求をしてくることはほとんどない。
現役時代ともなれば笑えだの食事を一緒にしろだの求めてくる人間は一定数いてそれに応じたこともあったが。
彼らが願うのは夜鷹が苦しまない事、快適でいられる事なのだろう。直接聞いたことはないが。
なお夜鷹は彼らに年賀状を出している、直筆だ、この仕事を司に手伝わせるつもりはない。
「はあ」
ため息もつきたくない、息というのは吐いた分吸わなければならないからだ。
むせかえるようなチョコレートの香りで、入場して数分ほどで鼻の奥がべったりと麻痺している。
混雑している店舗に並んでいる女性が手のひらに収まるほどの小瓶を嗅いでいるのを夜鷹は目にした。
なんだろうと思ってよく見ればその瓶にはコーヒー豆が入っていた、ああして定期的に嗅覚をリセットしていたのだろう。
筋トレにストレッチ、そして氷の上の貸切、夜鷹は世間一般の四十代男性平均と比べれば何倍も体を動かしているし、間違いなく体力は夜鷹の方がある。
だが疲れる。思ったように動けない、まっすぐ進めない、阻まれる。
人間も食事もどちらも好まない人間が嗜好菓子の祭典に足を運んだら疲れるだろう、ある程度覚悟はしていた。
だが想像していた数倍疲れる。
居並ぶチョコレートたちはどれもこれも薫り高く、見るものの胸をときめかせ手を伸ばしたくなるように作られているのがわかる。
チョコレートと取り合わせて使用される食材も、花びらや果物から変わりどころでは柿の種などさまざま。黒コショウを使ったものなんていうのもあった。
五感情報が洪水みたいに押し寄せてくる。
道中、大人のチョコレートと銘打って酒をふんだんに使っているブースがあったのには閉口した。夜鷹は酒が飲めない、好まないというわけではなく、ある種の酒は喉や肌に異常をきたす。
香りを嗅いだだけで喉がヒクりと拒否感を示す、急いで抜けたいところだが人気らしく立ち止まらざるを得ない。
ここがリンクならたったの数回氷を押すだけでたどり着けるはずなのに。帰りたい。
だが後には退けない、恋人にチョコレートを買う、目的はこの先だ。そのあと親友一家と教え子にも買う。
入り口で別れた慎一郎はどうしているだろうか、彼もまた鬼のような顔をしてチョコレートを買っているのだろうか。
これでもかと疲弊しながらついに夜鷹の鷹の目は見つけた、周囲と比べてやや見劣りが否めない手作り感のあるポップを。
ほとんど黒に見えるダークカカオ色に、月の黄色ではなく太陽の黄金色の半円。
『夜の太陽』と大きな文字で書かれている。小さな画像データをひきのばしたのか、よく見ると文字が歪んでいて画像も荒い。
「いらっしゃいませ」
「夜の太陽をふたつ」
用意していた言葉を舌にのせる。口を開くだけでチョコレートの香りが体内に取り込まれる気がした。
「ありがとうございます、紙袋は有料ですがご入り用でしょうか」
「ください」
『夜の太陽』とは要するにショコラオランジュ、薄切りにしたドライオレンジのチョコレートがけだ。
オレンジにチョコレートをかけるアイディア自体は斬新どころかありふれたものだ。
ではなぜこれに夜鷹は目を付けたか、ただ単に名前と見た目である。
オレンジを太陽に見立て、半分夜に見立てたチョコレート。
慎一郎の家でパンフレットを見た時、これだと夜鷹は確信したのだ。
これほど自分が彼に贈るチョコレートとしてふさわしいものはないように思われた。
繰り返しになるが夜鷹はチョコレートに興味がない、良し悪しもわからない。
太陽の夜という商品名だったら買わなかったかもしれない、夜が太陽を覆い食んでいる、こうであるべきだ。
それにオレンジの円形がメダルみたいに見えるのもいいだろう。
夜空を思わせる濃紺の箱を同じく濃紺の手提げ袋に入れ、夜鷹に差し出される。賞味期限などについての説明があったがほとんど聞いていない。
「ありがとうございました」
受け取った夜鷹は浅く会釈をし、そこから猛然と壁を目指した。壁。休もう。




なんとか壁に張り付いた夜鷹はぐったりと疲れていた、手首の時計を確認したらなんとまあ入場してから30分も経っていない。
『さすがに平日だから人が多くなくてよかったね』
入場前に慎一郎がつぶやいた言葉が改めて恐ろしい。
自分の全身から甘い香りがしている気がした、感染症対策にマスクはしているがそのマスクの生地にも染みているような。
ああ、一刻も早く煙草を吸いたい。服を脱いで風呂に入りたい、風呂から上がってもう一本煙草を吸いたい。
壁に張り付きながら夜鷹は慎一郎に『買えた』とLINEを入れた。普段仕事中でもない限りすぐに既読がつく彼にしては珍しく、既読がつかない。
帰りたいな……夜鷹は心底帰りたかった。
だがまだ司のためのチョコレートを一個買っただけで、慎一郎や鴗鳥一家、光のためのチョコレートを買えていない。
事前に慎一郎は『純くんはお目当てを買えたらそのまま帰っていいからね』と言ってくれていたが。
だがさすがに、事前に丁寧な説明をしてくれたうえ、もともとあと何回か来るつもりだったとは言っていたものの夜鷹のために朝から一緒に並んでくれた親友を置いて帰るなんていくらなんでもできない。
少し休んだら目の前の店舗でチョコレートを買えばいいと思ったが、会場入り口まで戻って、すぐに出られるところで買おうと思い直す。荷物はぎりぎりまで少ないほうがいい。
慎一郎は一番奥の店を目指すと言っていたから入り口付近のものを買うとちょうどいいだろう。
予想外だったのは、夜鷹のように一点狙いの客は少ない事、そしてまだ開場して間もないためにどんどん人が入ってきて帰りは行きの倍時間がかかることだ。
人の波に逆らって歩くことがこんなに大変だとは思わなかった。
ああもう少しで出口だ、夜鷹が小さく喘ぎかかったところ、見知って見慣れた金色の頭が催事の入口を覗き込んでいるのを見つけた。
彼だ。頭一つ分周りより身長が高いのですぐにわかる。
向こうもこちらに気付いたらしい、彼は夜鷹を見落とさない。大きな目が驚きに見開かれ、大声を上げる。
「あれ、どうしたんですかこんなところで!」
司は思わず脚をとめかける、すると背後からドスンとぶつかられたらしく傾いた。ぺこぺこと頭を下げている。
夜鷹は顎と視線を使って、邪魔にならないよう一旦外へ出ろと司へ促した。司がうなずく。伝わったらしい。

夜鷹も司を追って会場を出た。
「おはようございます、こんなところで会えるなんて驚きました」
司の後ろを通った若い女性がじろりと司を睨む、『こんなところ』呼ばわりされたことへの怒りだろう。
もちろん司は夜鷹と午前中の百貨店そして催事場という組み合わせに驚いて言ったのであるが、そんなことは伝わるはずもない。
「慎一郎くんと来た。彼はまだ中だけど――君こそ何をしているの」
司は軽く頭に手をやった。
「いやあ、バレンタインなんだし貴方にチョコの一つでも贈れって色んな人から言われまして、俺男なのに」
あっけらかんと言ってのけるから、夜鷹は怒った。怒った?怒っている。
夜鷹がどれだけ、正しくあろうと思ってスケート以外に向かない頭を動かして、調べ、親友に相談して、早起きをしてこんな思いをしたと思っているのか。
なのに君は人に言われてここに来た。
「チョコレートどころか食べ物が嫌いな人だから贈ってもって言ったんですけど。でもこのイベントすっごく有名らしいし、休みだし一応覗いてみようかな~と、そしたらものすごい人だし、いやあ」
パァン!夜鷹は司の尻を叩いた。
しかも諦めようとしかかっていた。僕はチョコレートなんか食べないよ。だけど。
「痛ぇ!……なんで?」
ハァ……。ドス濁ったため息が出た、そのせいでまた肺が甘ったるくなる。会場の外に出てもまだまだ空気はカカオと砂糖にまみれてる。
「アムール・チュ・ショコラ――アムールって単語が含まれるから浮かれた恋愛沙汰のイベントだと思ったかもしれないけれど、それは間違いだよ――」
「そ、そうなんですか……チュって言った……」
「だいたい、バレンタインのことを女が男にチョコレートを贈るだけのイベントだと思っているのが誤りだ。男から女に贈る事も多い、友達同士でも贈る、――それに今日ここに来ている人間の多くは自分のためにチョコレートを買う人がほとんどだ」
「ああ!逆チョコとか友チョコとか言いますもんね。じゃあ夜鷹さんは鴗鳥先生への友チョコを買いに来たんですか?買えました?」
あどけない顔で聞いてくる、この男。
パァン!
もう一度夜鷹は司の尻を叩いた。僕は君の恋人だろうが。
「痛ぇ!!なんで!?」
「慎一郎くん達へのチョコレートと、それから光のチョコレート”は”これから買う。……僕は詳しくない、君が選んで」
「はい!いいですよ!といっても俺も全然詳しくないですが……鴗鳥先生喜ぶでしょうね、うーん、せっかく来たし俺も羊さんのために何か買おうかなぁ!」
叩かれたことに文句を言うのも忘れ、二つ返事で請け負う、この男。
パァン!
さらにもう一度夜鷹は司の尻を叩いた。君は僕の恋人だろうが。
「痛ぇ!なんで!!?DVですよ!?」
VDにDV?笑えないよ。
ともあれ夜鷹と司は入場列に並ぶ。横に立つ夜鷹の、少し低い位置にある顔を見て、
「……あっ」
短く司が口を開き、すぐに閉じた。何か言いかけたな、夜鷹にはお見通しである。
「なに」
「……いやあのっ……これ、デートですね……へへ」
てれてれと目じりを下げて微笑まれ、とっさに夜鷹は答えられない。まあねと一言頷けば良かっただけなのに。
自分のためにチョコレートを夜鷹が買いに来たなどと思いもしないこの男。
そのくせ何を嬉しそうな顔をして。まだチョコレートは渡していないよ。
「やっぱり俺、貴方に買ってもいいですか?食べるのは俺がやりますから」
「……それ、なにか意味あるの」
つい冷たい口調になってしまう。
「まあ、そうですね……」

僕にあんな啖呵を切ったくせに簡単に折れるな。
もう一発その掴みがいのある尻にくれてやろうか、夜鷹が振りかぶりかける。

「でも、買います!」
「……好きにしなよ」
「ハイ!……あれ、列が止まった……?」
「混雑しているからね、入場規制がかかったんだよ。そんなことも知らずに来たの」
「へえ~そうなんですね」
また待たされる。その隙に夜鷹は素早く慎一郎にLINEを送った。
『彼がいた デートしている だからすごくゆっくりでいいよ あとでね』
不親切な文章だ、だけど慎一郎には伝わる。親友だから。既読がついて、少ししてから『OK!』のスタンプ。


と、空いている夜鷹の右手をきゅっと握るものがある、もちろんそれは隣に立つ恋人のあたたかい手である。
なに。きみは、こんな混雑した会場で手を繋いで歩こうって言うの、まったく状況が見えていないんだね。
言ってやるつもりだったが、さすがに彼もそこまで周りが見えていないわけではなかったのかすぐに手を離す。
スマートフォンから顔を上げた夜鷹に恋人は悪戯っぽく頬をゆるませた。ニコ!
違う。状況が見えていないのではない、見えているからこそだった。こんな人込みでは見られないだろうと思って夜鷹の手を握って来たのだ。この恋人は。

よく見えているね、なのに、僕が持っている紙袋に気付かない。

「今回初出展はこの四つ。慎一郎くんはここを買っているはずだよ、だから僕はまだ買えていないこっちを買いたい」
「はいっ!」

もう正しいかたちとか本物かどうか、どうでもよくなってきたな。いくよ。アムール。

コメント

  • *遼*
    6月15日
  • 蟻酸

    行ったことあるのですごい解像度で笑いました!素敵な作品ありがとうございます!

    2月26日
  • 蟻酸
    2月26日
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