「社会そのものがデザインでできている」――クリエイター・佐藤可士和の整理し続ける人生
その結果、一緒に生み出したのが「LifeWear」という概念だ。 「要するに、究極の普段着。『スポーツじゃない、ただのカジュアルじゃない、コモディティーじゃない。それを何というんですか、可士和さん』と言われて。『ヒントは何ですか』と聞いたら、『ヒントはない。ないから聞いてるんです』と。『また来週考えましょう』と言いながら、ロンドンやパリに旗艦店を出したり、『UT』というブランドを作ったり……。そんななか、一緒にやっているUCLAのマイケル・エメリック教授が『LifeWear』という言葉を発案されました。さまざまな取り組みを重ねるうち、こういうことを組み合わせて表現すれば究極の普段着をブランド化できるんじゃないか、『LifeWear』という新しい意味を形成できるんじゃないか、と実感を持てるようになったのです」
疲れた時は皿洗いで頭がスッキリ
寝ている時に仕事の夢を見るほど、いつも考えている。仕事とプライベートに区別はなく、マネージャーは妻が担う。 「クリエイターを職業だとは思っていません。生き方だから。僕の中では、ワーク・ライフ・バランスはないです。頭の中はずっと稼働しているから、脳の疲労はすごくあります」 どのように頭を休めるのか尋ねると、皿洗いを挙げた。 「僕の仕事は混沌とした社会問題やクライアントの課題を整理することなんですが、まあなかなか難しい。疲れた時、皿洗いをすると完璧に整理できてスッキリするんです」 「整理こそクリエイティブ」だと語る。 「前提として、世の中とか宇宙は、そもそもカオスなんですよ。エントロピーがブワーッと増大するので、どうやっても散らかっていく。その中で、たまたま何かが整理されて秩序が生まれ、星や人間ができあがる。クリエイティブとは、ゼロからものを作るというより、何かを整理して組み合わせてできるものだと僕は思っています。何らかの基準やコンセプト、意思を持たないと整理はできないので、その行為をクリエイティブと呼ぶのかなと」