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ことの発端は、「Bloggerでブロガーになろう」に書かれていた雑記でした。「ドメイン取得をしていないBlogger(blogspot.com)の記事はインデックス登録されにくいという事実であると思っています。」という一文がありました。
そのブログのタイトル下には、大きくこう書かれています。
「徹底解説」。頼もしい言葉です。Bloggerは日本では情報が少ないマイナーなプラットフォームなので、こういうサイトを見つけると素直に嬉しくなります。
ただ、実際に読んだ記事の中身は、インデックス登録数の増減に一喜一憂しながら「なんでだよ!」と嘆き、根拠のない一次情報をもとに対策を手当たり次第に試した記録……というものでした。データの裏付けもなければ、結論もない。率直に言えば「徹底解説」というより「体験の垂れ流し」に近い内容でした。
気になったので、ブログ主に直接問い合わせてみました。
返ってきた答え
「私自身が初心者で、初心者に向けたブログ方針をとっています」
なるほど、と思いました。そしてその記事についてはこう続きます。
「今回の記事は雑記として分類しています。『データがない』『体験の垂れ流し』『情報がない』で合っています。不確かなことが多いので雑記としています。確証があればそういう記事として書き上げていますが、その段階にはありません。わざわざデカデカ『雑記』と記してあるので、そこから正確な情報を得ようと思われても困ります」
論理としては筋が通っています。カテゴリを分けて、確証のない話は「雑記」と明示している。読者側がそれを無視して鵜呑みにするなら、それは読者の読み方の問題だ、という主張です。
でも、何かが引っかかる。その正体を考えてみました。
「雑記」というラベルで読者は納得するのか
問題は、サイトの入り口にあります。
このブログにたどり着く読者の多くは、検索エンジン経由で「Blogger 使い方」「Blogger カスタマイズ」といったキーワードから来るはずです。そのとき最初に目にするのは個別記事のカテゴリ表示ではなく、ブログタイトルの下に大きく掲げられた
というキャッチコピーです。
このコピーが読者に約束しているのは、「ここに書いてあることは信頼できる」という期待です。カテゴリが「雑記」かどうかを確認してから読み進める人は、おそらく多くありません。サイト全体のブランディングが「解説サイト」である以上、個々の記事に小さく「雑記」と添えるだけでは、読者の期待値を十分に調整できていないのではないか——それが引っかかりの正体だと思います。
もうひとつ気になったのは、「私自身が初心者です」という前提が、サイトのどこにも書かれていないことです。タイトル下のコピーには触れられていません。それどころか、運営者プロフィールには「ブロガー歴7年。」と書かれていました。
これは単なる情報の欠落ではありません。「ブロガー歴7年」は、読者に対して「長く発信を続けてきた、経験のある書き手だ」という印象を積極的に与える記述です。一方で問い合わせへの回答は「私自身が初心者」。
おそらく本人の中では「ブロガーとしては7年だが、Bloggerに関しては初心者」という区別があるのかもしれません。そこに関しての言及はなかったため実際にどうなのかはわかりません。
ただ、その区別はサイトのどこにも明記されておらず、読者からは「7年のベテランブロガーが徹底解説してくれている」ようにしか見えません。伏せられているのではなく、むしろ逆方向のメッセージが前面に出ている状態です。
雑記というラベルは、記事内容の確度について正直な自己申告です。それ自体は誠実な行為だと思います。ただ、発信者自身が初心者であるという、読者が情報の重みを判断するうえでもっと重要な前提が伏せられているなら、ラベルだけで免罪符にはならないのではないでしょうか。
初心者が初心者に教えることの意義
とはいえ、これは一方的に否定できる話でもありません。
初心者が初心者に向けて発信することには、明確な価値があります。ある分野に長くいる人は、初心者が最初につまずくポイントを忘れてしまいがちです。「なぜここで詰まるのか分からない」という感覚とセットで書かれた情報は、同じ立場の読者にとってはむしろ実感が伴っていて分かりやすいことも多いはずです。私自身、Web開発は独学なので、この価値は実感としてよく分かります。
問題は「初心者が発信すること」自体ではなく、「検証されていない体験談」が「徹底解説」という看板のもとで、確度の高い情報であるかのように届いてしまう構造のほうにあると思います。
通説になっていく体験談
これは、以前に自分がまとめようとしていたテーマとも重なります。
検証されていない体感が、断定的な言葉で発信されることで、いつのまにか通説のように扱われていく——という現象です。今回のケースで言えば、独自ドメインでなければサーチコンソールのインデックス問題は解消されない。
一次情報や根拠のない伝聞に基づいた対策が、確証のないまま試され、記事化され、検索結果に載り、また別の初心者に参照される。この連鎖の中に検証のプロセスが挟まっていないと、体験談は静かに「知識」へと格上げされていきます。
発信者が「雑記です」「不確かです」と断っていても、検索エンジンやSNSはその文脈ごと運んではくれません。切り取られた見出しや結論部分だけが独り歩きすることは、ブログを運営していれば誰でも経験があるはずです。
発信者に必要なのは「隠さないこと」
ここまで考えて、たどり着いた結論はシンプルです。
初心者が発信すること自体は問題ではありません。問題は、その立場を隠したまま、確度の高い専門サイトであるかのような看板を掲げてしまうことです。
- 自分がその分野の初心者であることを、プロフィールなど分かりやすい場所に明記する
- 「ブロガー歴」のような経験年数を示すなら、それがどの分野・どのプラットフォームでの経験なのかを区別して書く。「発信歴」と「その分野での知見」は必ずしもイコールではない
- 検証済みの情報と、個人の体験・仮説を、カテゴリだけでなく文章内でも明確に区別する
- 「徹底解説」のような確度の高さを約束する言葉は、実際にその確度がある記事にだけ使う
これだけのことで、読者が情報の重みを正しく判断できる余地はずっと広がります。雑記というカテゴリ分けは、その第一歩としては悪くありません。ただ、サイト全体の看板と、個別記事の中身に落差があるままでは、いくらカテゴリで線を引いても、読者にとっての「見え方」は変わらないのではないかと思います。
自分自身、当ブログでは自身が実証見聞できる内容、もしくは実際に実装可能かつ一次情報として再現性が確認される内容を記事として公開する方針を取っております。
そして、公開する時点で自己評価が満点のものしか出さない、という運用にしています。それでも時間が経てば自己評価が下がることはりますし、その時はリライトする。完璧な情報だけを発信できているとは思っていません。
だからこそ、「これは確証がある話なのか、まだ検証中の体験談なのか」を、書き手自身が意識し続けることが、結局のところ一番の対策なのだと思います。
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