TSB-司先生写真バトル-
【3/21 追記】
続きました!続編はよだつか風味になります。すみません。
→novel/27592607
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師弟ifシリーズの息抜きに、カップリング要素なしのコメディです。
若干いのつか・りおつかっぽさありますが、あくまで恋愛ではなく敬愛とかの愛情です。司先生愛され。弟子たちの愛がとても大きい。
CP無し時のタグはこれでいいのかな…?すみませんまだよくわかってないです。
あんまり更新頻度高いのよくないかなって思うんですが、どうせこんなに頻度高いのは今だけなのでノってるときに投稿しちゃいます。
シリーズの方も更新頻度ちょっと落としたいですね。ストック無くなっちゃうので…
これと同じ設定で、マウント取りまくる加護さんたちとか、後々参戦する夜鷹さんとか、そんな話も考えてます。考えてるだけで書けそうにない。いつか書けたらいいなと思います。
ちなみに、この写真を使ったゲームについてはオ●コ●の大好きな記事を参考にしています。「写真 デッキ」とかで検索すると出てきます。是非。
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ある日曜日のスケートリンク。いつものように早朝練習に来たいのりは、いつもは持っていない道具を首から下げて「司先生っ! 見てください!」と嬉しそうに声をかけた。
今日もいのりさんの笑顔は天才だな! とニコニコしながら挨拶を返した司は、言われた通りに視線を向けて目を輝かせた。
「わぁ、カメラだ! カッコいいね!」
「えへへ、お父さんが新しいの買うからって古いのくれました!」
「すごい! よかったね! 写真って思い出になるからなぁ……いい写真がたくさん撮れるといいね!」
「はいっ! 好きなものをいっぱい撮ります!」
早朝から元気いっぱいな仲良し師弟のやり取りに、周りで見ていたコーチ陣や生徒たちはほんわかと癒される。お日様のような二人の笑顔は朝浴びると健康にいい気がする、というのが早朝練参加メンバーの共通認識だ。たとえ今は効果がなくても、数年後には健康効果が証明されるだろう。
そんな癒しを周りに与えているとは知らず、いのりは少しもじもじしながら司を見上げた。
「それで、あの……司先生の写真を撮ってもいいですか!?」
「え、俺!?」
司は目を瞠り、困った顔をした。
なぜ俺を撮るのだろう。思い出に残すなら、家族や友達との楽しい出来事を撮ったほうがいいのではないか。それともフィギュアスケートの記録用だろうか。それなら俺よりも適任はいそうだし、なによりいのり自身を撮るべきだと思うけど……。
そこまで考えてハッとした。そうか、なるほど! もらったばかりのカメラだから、本番の撮影前に練習をしたいんだな! 納得! さすがいのりさん、写真撮影にも手を抜かないんだね!
そう、司は弟子がどれほど自分を慕っているか、未だに理解しきっていなかった。
「うん。俺でいいなら、いくらでも練習してよ!」
「やったぁ!」
にっこりと告げる司に、いのりは両手を上げて喜ぶ。彼の発言から誤解があることは察していたが、司のこととなると普段よりも考えが回るいのりは(練習じゃなくて本番ですって言ったら恥ずかしがって断られちゃう!)と気づいていた。
そして周りの人たちもまた、司が誤解していることにも、いのりがその誤解をあえて否定しないことにも気づいていた。が、別になにも問題はないので放置した。後で練習なんかじゃなかったと気づいた司が恥ずかしがることになるだけだ。
普段あれだけ尊敬され慕われているのに、現時点でいのりの撮りたいものが自分であると気づかない司が悪い。司以外が抱いた共通認識だ。
そんなやりとりをしてから、いつも通りに練習が始まる。いつもと違うのは、いのりが少し休憩を挟んだときに、司の写真を撮っていたことだ。
なんなら、最後には司に自分のプログラムを踊らせて完全に撮影会のようになっていた。オフシーズンでなければできない贅沢な時間である。いのりは興奮しすぎて変な声を上げながら、少し恥ずかしそうに踊る司の写真を撮りまくった。
それからしばらく経ったある日のスケートリンク。その日はホームリンクが使えないからとルクス東山の練習に参加しに来ていた理凰に、いのりはニマニマと笑いながら近づいた。
「な、なんだよその顔……」
「ふふふ……理凰くん、いいもの見せてあげようか」
いかにも怪しいいのりに警戒をしつつ、理凰は差し出されたものを覗き込む。どうやら何枚もの紙……というか、写真らしい。
こいつがこんな変な顔するなんていったいなんの写真だ、と。そんな考えは、見た瞬間に消え失せた。
「なっ……これは……!?」
そこに写っていたのは理凰が見間違えるはずもない、敬愛するコーチである明浦路司である。思わずいのりの手から全ての写真を奪い取る。
この髪の色、明るい笑顔、長い手足、鍛えられた胸板、誰がどう見たって見間違えるはずがない。日本人では、というか世界的に見ても、ここまで完璧なプロポーションの人間は早々いないだろう。しかも世界最高峰のスケーティングスキル付き。ずるすぎる、これでまだ世界に見つかっていない事実が信じられない。
正直言って構図は0点。ブレまくっていて評価がマイナスの写真も多い。ピンボケしているものもマイナス。しかし被写体が+10000000000点。この脚の長さ、姿勢の美しさ、表情の麗しさ、+無量大数点。間違いなく優勝だ。おめでとう、明浦路先生!
「あ、明浦路先生……! いつの間に生写真の販売を!?」
あまりの衝撃にありえないとわかっていることを口走る。いや、ありえないのは明浦路先生のブロマイドが発売されていないこの世界の方だ。一刻も早く発売すべきである。いやダメだ、そんなことしたら明浦路先生の奪い合いになってしまう。俺が全て買い占めないと……!
混乱する理凰に、いのりは明らかに自慢げな顔をして言った。
「へっへーん、いいでしょ! これ全部私が撮ったんだよ! もちろんちゃんと先生に撮影許可も取ってます!」
「はぁ!?」
まぁ、印刷許可は取っていないけど。それはそれ。当然悪用なんてしないし、お守りのような存在なので許してほしい。撮影を許可した時点で写真として形に残るのはほぼ確定しているようなものなので。
理凰は写真といのりを交互に見た。悔しい。俺だって明浦路先生の写真が欲しい。できればこんなブレブレの写真じゃなくもっといい写真が欲しいが、たとえブレブレであっても明浦路先生であることに変わらないので全て手に入れたい。
しばらく逡巡してから、理凰はグッと唇を噛み、いのりを見つめた。
「……い、いくらで買える……?」
「残念だけど非売品だから! 私だけの司先生だからね!!」
「ぐっ……! エビのくせに……!」
理凰は写真を持ったままその場で膝から崩れ落ちた。悔しさに号泣した。それでも写真に傷一つ、折れ目一つつけなかったのはさすがと言うべきだろう。
いのりはそんな弟弟子を見下ろし、ひたすら得意げにしていた。