国家情報会議設置法施行及びインテリジェンス・スパイ防止関連法制の検討についての会長声明
本日、国家情報会議設置法が施行された。
同法は、内閣に、重要な国政運営に資する情報の収集調査及び外国情報活動への対処に関する重要事項の調査審議を目的とする国家情報会議を設置し、同時に、その事務局機能を担う国家情報局を設置する法律である。
同法は、インテリジェンス機能の強化を目指すものとされているところ、もとより政府の意思決定は正しい情報に基づきなされるべきものであるから、インテリジェンス機能を強化すべきことを否定することはできない。
しかしながら、2026年(令和8年)2月20日付けで当連合会が公表した「現在、「スパイ防止法」として制定に向けた動きのあるインテリジェンス機関強化法制及び外国代理人登録制度についての意見書」でも明確に示したとおり、岐阜県警が発電所建設に反対する市民運動家の活動について調査等を行ったり、自衛隊の情報保全隊が年金改悪反対運動をしている市民について調査したりするなど、複数の事案において、日本の各インテリジェンス機関が市民のプライバシー等の人権を侵害するという事態が生じ、現に裁判所によってそれらの行為が事実として認定されている。
また、同法においては、各インテリジェンス機関が所属する行政機関の長による、国家情報会議に対する情報提供義務等(7条)が定められている。そのため、各インテリジェンス機関の有する個人情報等が国家情報会議、国家情報局、ひいては他のインテリジェンス機関に伝達されることも想定される。したがって、違法に収集された個人情報等も政府部内において共有され、更なる人権侵害が生ずるおそれが否定できない。
そのような人権侵害を抑止するために、インテリジェンス機関の活動内容及び収集した情報をチェックする第三者機関を設置すべきことは、上記意見書においても指摘したところであり、同法の国会審議においても多く指摘されたところである。
衆議院内閣委員会においては、同法に関し、プライバシーの侵害等を防ぐための具体的方策を政府の作成する文書に盛り込むべきとの附帯決議がなされているが、政府においては、インテリジェンス機関の活動ルール(被調査者に対する人権を強く制限する行為を禁止・制限する行動制限規定)の策定及び第三者機関の設置等、実効的な対策を文書に盛り込み、着実に実行すべきである。
なお、今後、外国代理人登録法を含むインテリジェンス・スパイ防止関連法制の立法化に向けた検討が予定されている(2025年(令和7年)10月20日「自由民主党・日本維新の会 連立政権合意書」)が、上記意見書でも指摘したとおり、制度の必要性や人権侵害の危険性を踏まえた慎重な検討がなされることを強く求める。
2026年(令和8年)7月31日
日本弁護士連合会
会長 松田 純一