ドイツは過去10年あまりで、シリアやウクライナの難民、東欧からの労働者など600万人以上の移民を受け入れた。言葉や習慣を教え、自立を支える中で新たな問題が浮上した。ドイツ語が満足に話せず、小学校の授業についていけない子供が続出する。
入学前の「ABC学級」
西部ノルトライン・ウェストファーレン州は4、5歳児に言葉を教える「ABC学級」の新設を決めた。1年生として入学するまで1年間、週2回通ってもらう。州内で一斉テストを行い、ドイツ語力が足りないと判断された子を対象にする。2028年に開始する計画で、親には子供を通学させるよう義務付ける。
ドロテ・フェラー州教育相は議会で「新入生の3分の1は言葉が十分ではないのです」と必要性を訴えた。教室で先生が「赤いボールを描いて」とクレヨンを渡しても、何を言われているのか理解できず、勝手にお絵かきする子が大勢いるという。
「ABC学級」は教員採用や通学バス運行で、年間約1億ユーロ(約186億円)の経費がかかる。州議会では「幼児を母親から強制的に引き離してよいのか」という懸念も出たが、保革連立与党は7月、法案を可決させた。同州は人口、経済規模とも国内最大の有力州で「ABC学級」は5万人の参加を見込んでいる。