たのきんトリオが爆発的人気に
そのヒントは、前出の1位獲得シングルの顔ぶれに隠されている。80年の春に6週連続1位を達成した海援隊の『贈る言葉』だ。
周知のように、これは79年秋から半年間放送されたドラマ『3年B組金八先生』(TBS系)の主題歌。
このドラマは「歌」だけでなく「人」もヒットさせた。その筆頭が、生徒役を演じたジャニーズ事務所(当時)の三人(田原俊彦・野村義男・近藤真彦)だ。
彼らは「たのきんトリオ」と命名され、ドラマ終了直後のイベントでは、ファンが定員の30倍以上も集まって中止になるほどの人気者となった。5月からはドラマ『ただいま放課後』(フジテレビ系)に出演。一種の「たのきん特需」が生まれるなか、6月21日、田原が先陣を切るかたちで歌手デビューするわけだ。
とはいえ、そのデビュー曲『哀愁でいと』が売れるかどうかは未知数だった。アイドル以上に、ジャニーズ事務所が冷え込んでいたからだ。
75年に郷ひろみが移籍して以降、歌で売れるアイドルを輩出できなくなり、ブロマイド売り上げ男性部門1位の川崎麻世ですら、シングルの最高位は45位にとどまっていた。
『哀愁でいと』が米国の人気アイドル、レイフ・ギャレットのカバーだったのも、売れそうな要素をなるべく加えたかったからではないか。また、そのB面『君に贈る言葉(アフター・スクール)』は田原のソロではなく、たのきんトリオによる台詞中心のナンバー。タイトルも含め「金八」パワーをセールスにつなげようとする苦心がうかがえる。