同志社国際高校の研修旅行中に沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆し同校2年の武石知華(ともか)さん(17)ら2人が死亡した事故を巡り、同校を運営する学校法人同志社が設置した特別調査委員会(第三者委員会)が31日に調査報告書を公表した。安全管理を巡る想像力の欠如、他人任せ、前例踏襲…。調査報告書からは、生徒の命を守るべき同校や学校法人の安全管理意識の希薄さが改めて浮き彫りとなった。
遺族との面談で感じた「悲しみと怒り」
調査報告書は163ページ。第三者委の委員長、渡辺徹弁護士は「社会的関心が非常に高い事案。事故がなぜ起きたのかを明らかにすることを最優先にし、かなり突っ込んで調査、認定した」と説明した。
第三者委は約4カ月の調査期間で、乗船プログラムに参加した生徒や学校関係者ら48人への聞き取り、デジタルフォレンジック(電子鑑識)などを実施。知華さんの両親とも面談した。渡辺氏は「(遺族から)深い悲しみとともに大きな怒りを感じた」といい「その気持ちに可能な限り応えることが、仕事だと身を引き締めた」と振り返った。
事故が起きた乗船プログラムは、令和5年3月から事前の下見をせずに実施する状況が続いていたが、船に乗った生徒の感想文には、恐怖を感じたり、警備中の船から注意を受けたりしたとの記載があった。
渡辺氏は、「乗船プログラムでは『危ない』、『やめておくべきだ』と気付くポイントが多くあった」と指摘。「生徒らが危険を感じたことがことごとくスルーされており、安全管理に関する意識が抜け落ちていた。事故が起きた大きな原因の一つだと改めて感じた」と述べた。
金井氏の関与「適切とはいえず」
渡辺氏は、抗議船の船長である金井創牧師(71)=事故で死亡=について、「高校生の研修旅行に関わるのは適切だったとはいいがたい」と言及し、学校側の組織風土について「反対意見を言いにくい雰囲気があった」と断じた。
一方、同校の男子生徒の父親(42)は報告書で安全管理の不備を指摘された学校側に「非常に大きな衝撃と憤りを感じている。子供の生命と安全に関する基本的な確認は当然行われていると信頼していたが前提が崩れた」と批判。「学校自身の言葉で認定された問題と今後の対応を説明してほしい」と求めた。
報告書を公表した学校法人はホームページで「調査報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め、十分に精査するとともに、再発防止策の拡充などの検討を行ってまいる」とのコメントを発表した。(小野田銀河、塚脇亮太、東九龍)