最大震度7を観測した熊本地震の後で起きた大型商業施設「イオンモール熊本」(熊本県嘉島町)の爆発は、同施設で利用されていたLPガスとの関連が疑われている。高圧ガス保安協会(東京)などによると、ガス爆発に伴い大きな犠牲が出る事故は1970~80年代に相次いだが、その後は安全対策が進み、減少傾向にあった。それだけに、今回の爆発の原因に関する真相究明が急がれる。
「ガス爆発か確定できていない」
イオンの吉田昭夫社長は29日、イオンモール熊本で犠牲者が出たことを受け、「ご遺族の皆さまに深くおわび申し上げる」と謝罪した。一方、爆発については「ガス爆発の可能性が高いといわれているが、確定することはできていない」と述べるにとどめた。
国内でガス爆発を伴う事故は1970年代半ばに増えた。家庭で使われる燃料が薪や石炭から都市ガスやLPガスへの転換が進み、使用料が急増したことや、住宅の気密性が急速に向上した生活環境の変化が背景にあったようだ。
大規模事故のたびに強化された安全対策
大阪万博の開催中だった1970年4月に起きた「天六ガス爆発事故」は、工事中だった大阪市営地下鉄谷町線「天神橋筋六丁目駅」の現場で発生した。都市ガスが漏れ、引火したのが原因で79人が亡くなり、けが人が多数出た。
80年には静岡駅前の地下街で爆発が起き、15人が命を落とし、200人ほどがけがをした。83年に静岡県掛川市で起きた「つま恋ガス爆発事故」は、レクリエーション施設でのガス栓の閉め忘れが原因で発生した。14人が亡くなり、27人が負傷した。
大規模な事故が起きるたび、安全基準は強化された。天六での事故後、掘削工事でガス管がむき出しになったときの防護基準が新たに設けられた。静岡の事故後には、大規模な地下街や一定規模の地下室にガス漏れを感知する警報設備の設置が義務づけられた。
80年代半ばには、一定規模以上の飲食店などの業務用施設でLPガスを使う際、事故を防ぐための安全管理の窓口責任者(保安連絡担当者)の選任が、義務付けられた。
震度5程度の揺れで自動遮断
一般家庭での安全対策も一気に進んだ。九州を地盤とする都市ガス大手「西部ガス」(福岡市)などによると、震度5程度の揺れがあったときに自動的にガス供給を遮断する「マイコンメーター」が開発され、現在の普及率は「ほぼ100%」という。地震による破断が懸念される鋳鉄製のガス管は、折れにくく伸びやすい「ポリエチレン管」への取り換えが進んだ。本来は無臭の都市ガスに硫黄や玉ねぎの腐ったような臭いを付け、ガス漏れに気づきやすくする工夫も進む。
そうしたなかでイオンモール熊本の爆発は起きた。ガス漏れが原因だったとすれば、新たに安全対策が必要となる可能性もあるだけに、ガス事業関係者らの注目も高まる。