恐竜博物館の調査研究
岩手県久慈市から発見された恐竜時代の哺乳類化石とその重要性
久慈琥珀博物館と早稲田大学等が行う、岩手県久慈市の久慈層群玉川層(後期白亜紀の初期:約9000万年前)の共同発掘調査により、2種類の哺乳類化石が発見され、共に哺乳類の進化と多様性に関する重要な資料であると判明しました。2種のうち一つは、植物を主食とする絶滅哺乳類(多丘歯類)の化石であり、もう一つは現生哺乳類の祖先に近い種類(原始的な真獣類)の化石です。多丘歯類化石の発見と研究は愛媛大学が、真獣類化石の発見は福井県立大学恐竜学部の中村英人准教授によるもので、福井県立恐竜博物館の宮田和周副館長(調査展示)が真獣類化石を研究しています。
徳島県勝浦町から発見された日本最古級のトカゲ類化石について
福井県立大学が徳島県立博物館や福井県立恐竜博物館などと共同で行っている徳島県勝浦町の恐竜化石含有層発掘調査で、トカゲ類の化石を新たに発見しました。発見された化石は小さく繊細で、化石を岩石から取り出すクリーニング作業が困難であったため、福井県工業技術センターにてX線CT撮影を行いました。3Dデータを用いた研究を進めたところ、この化石はトカゲ類の下あごの骨であることが判明しました。
タイ王国の大型肉食恐竜シャムラプトルの脳函形態の解明と展示について
福井県立恐竜博物館と福井県立大学恐竜学部、およびタイ王国のコラート化石博物館は、タイ王国で発見された約1億2000万年前の大型肉食恐竜の頭骨の一部を研究し、それがシャムラプトル・スワッティの脳函(脳をとり囲む骨)であることを突き止め、その解剖学的特徴を明らかにしました。
第四次恐竜化石発掘調査事業の成果報告
福井県では、1989年から福井県立博物館(1999年まで)および福井県立恐竜博物館(2000年から)が主体となって勝山市北谷町に分布する手取層群北谷層(前期白亜紀)において恐竜化石発掘調査事業を実施してきました。このうち、2013年〜2023年までの11年間実施した第四次恐竜化石発掘調査事業について、下記のとおり結果を取りまとめましたのでお知らせします。
勝山市北谷層で発見されたデイノニコサウルス類足跡化石について
勝山市の北谷層における恐竜化石発掘調査で産出した足跡化石の中に、国内初となるデイノニコサウルス類の足跡化石が含まれていることが判明しています。(2023年2月発表済)
この度、この足跡化石のさらなる調査研究の結果、足跡化石分類群の中でもベロキラプトリクヌスの一種に同定されました。
その研究成果が、2025年10月29日に国際学術雑誌「Cretaceous Reserch」に掲載されましたのでお知らせします。
長崎市の新たな鎧竜化石について
福井県立恐竜博物館と長崎市恐竜博物館(長崎市教育委員会恐竜研究所)の共同発掘調査により、長崎半島西海岸の三ツ瀬層(後期白亜紀:約8000万年前)から新たに鎧竜の歯の化石2点が発見されました。
九州初産出の恐竜時代の昆虫化石について
熊本県上天草市および長崎県長崎市から、恐竜時代(中生代)の昆虫化石が発見され、福井県立大学恐竜学部、福井県立恐竜博物館、天草市立御所浦恐竜の島博物館、長崎市恐竜博物館およびロシア科学アカデミーによる共同研究により論文が発表されます。
タイ王国で発見されたアジア最古級のマクロナリア類(竜脚類恐竜)の化石について
タイ王国東北部チャイヤプーム県で2008年7月に発見された、中期ジュラ紀(約1億7000万年前)の竜脚類恐竜の頸椎(首の骨)が、アジア最古級のマクロナリア類のものと分かりました。アジアと他の大陸地域をまたいだ竜脚類恐竜の進化と多様性を知る重要な資料であり、その成果の一部は本年6月の日本古生物学会でも発表されました。
大野市の国内最古級(前期白亜紀)の新たなトカゲ類化石について
福井県大野市の荒島岳東方の手取層群伊月層(前期白亜紀:約1億2900万年前)から、国内では最古級となる新たなトカゲ類の化石(左上顎骨)が発見されました。伊月層からは既に上腕骨や脊椎骨などのトカゲ類の化石が2020年に報告されていますが、詳しい分類に役立つ頭部の骨の化石は初の産出です。研究の結果、この化石は国内のトカゲ類とは異なる特徴があり、ドリコサウルス科の未記載種と考えられます。日本の恐竜時代の陸生脊椎動物の多様性を知る重要な資料であり、その成果の一部は本年6月の日本古生物学会でも発表されました。
タイで発見されたオルニトミモサウルス類の四肢骨~タイ共同発掘における成果~
福井県立恐竜博物館及び福井県立大学恐竜学研究所とナコーン・ラチャシーマ・ラジャバット大学付属珪化木鉱物資源東北調査研究所(通称:コラート化石博物館)は、タイ王国における共同発掘調査でオルニトミモサウルス類の四肢骨を発見し、その成果を報告した学術論文が当館紀要に掲載されました。
日本初のプロアドクス属カメ化石について
2021年8月に福井県勝山市の恐竜化石発掘現場で行われていた第四次恐竜化石発掘調査において発見されたカメ類化石が、国内初(世界で2例目)となるプロアドクス属(カメ目・アドクス科)であることが明らかになりました。
福井県勝山市から発見されたゴニオフォリス科(ワニ形類)化石について
福井県立恐竜博物館は、福井県勝山市に分布する下部白亜系北谷層で継続的に発掘調査を行なっています。この度、第三次〜四次調査で発見されていたワニ形類化石を、連携博物館である徳島県立博物館との共同調査の結果、恐竜時代に生息したゴニオフォリス科であることがわかりました。その成果が、2024年2月27日に国際学術雑誌「Annales de Paléontologie」の特別号に掲載されました。
日本初のティラノサウルス科の下顎骨化石について
天草市立御所浦白亜紀資料館と福井県立恐竜博物館の共同調査により、熊本県天草郡苓北町の姫浦層群下津深江層(後期白亜紀:約7400万年前)から、ティラノサウルス科(獣脚類:肉食恐竜)の部分的な下顎骨が発見されました(図1)。これまで国内のティラノサウルス科は、歯の化石のみから知られていましたが、今回のような顎の骨の発見は国内で初めてとなります。発見された化石はアジアのティラノサウルス科の時代と生息域の広がりや、後期白亜紀の大型獣脚類の分類と比較に役立つ重要な資料となります。
勝山市北谷層で発見されたイグアノドン類幼体の足跡化石について
福井県立恐竜博物館は、福井県勝山市に分布する前期白亜紀の北谷層で継続的に発掘調査を行なっています。この度、第四次調査で発見されていた足跡化石の中に、イグアノドン類の幼体によって残されたものがあることがわかりましたのでお知らせします。
酸素濃度の上昇と動物の初期進化制御に関する論文が発表されました
当館の静谷研究員は、東北大学の海保邦夫名誉教授らを中心とした国際研究グループの一員として、先カンブリア時代~カンブリア紀の世界的な大気・海洋酸素濃度の変化と動物の初期進化への影響との関係性に関する論文を発表しました。
白亜紀の草食恐竜はどんな植物を食べていたのか? ――歯の微細な傷が解き明かす食性の時代変化――
当館の柴田主任研究員は、沖縄科学技術大学院大学の久保 泰スタッフサイエンティスト(元福井県立恐竜博物館研究員)、東京大学大学院新領域創成科学研究科の久保麦野講師と英国リンカーン大学の坂本学上級講師らを中心とした国際共同研究グループの一人として、鳥脚類の歯に残された微細な傷(マイクロウェア)を解析し、白亜紀に入り、被子植物を摂取する量を増やしていた可能性を指摘しました。