「もう一生働かない!」と会社を辞めた〈資産1億円・40歳男性〉、移住先で「お金があっても意味ないんだよ…」と涙したワケ
資産1億円を築き早期リタイアを果たしたものの、待っていたのは満たされない日々――。お金という絶対的な自由を手に入れたはずの人が、なぜ不安に苛まれてしまうのでしょうか。ある男性の事例から、経済的自立の裏に潜む落とし穴についてみていきます。 【ランキング】47都道府県「貯蓄額」1〜47位…2026年最新
「お金さえあれば自由になれる」と信じていた
「もう一生働かなくていいんだ!」 40歳の誕生日を迎える直前、そう決めた男性がいます。佐伯健太さん(40歳・仮名)。東京都内のIT企業でシステムエンジニアとして働いていた佐伯さんは、20代後半から資産形成に力を入れてきました。 年収は30代後半で900万円前後。高級車には乗らず、外食も控える。会社の飲み会にも必要以上には参加せずに、質素倹約をモットーにしてきました。 「周囲からは、何のために働いているのかと言われることもありました。でも、自分の目的ははっきりしていました」 目的は、会社を辞めること。40歳までに資産1億円を築き、仕事に縛られない生活を手に入れることでした。株式投資と積立投資を続け、資産は目標額に到達します。 金融経済教育推進機構『家計の金融行動に関する世論調査2025年(単身世帯調査)』によると、40代単身世帯(金融資産保有世帯)の金融資産保有額は平均1,281万円、中央値は400万円です。また、佐伯さんと同水準である「年収750万〜1,000万円未満」の層で見ても、保有額の平均は3,022万円、中央値は2,350万円にとどまります。 これらと比較すると、40歳という若さで独力で築き上げた「1億円」という資産は、同世代や同収入層の中でも群を抜いて突出した圧倒的な水準です。 「結婚!? 自分には向いていないと思っています。家族を持つことを否定していたわけではありません。ただ、仕事をしながら誰かと暮らす未来を想像できなかったんです」 佐伯さんにとって、人生で必要なものは明確でした。自由な時間と、それを支えるお金。そう考えていたのです。 退職後に選んだ移住先は、人口5万人程度の地方都市。自然の多い場所で、生活費を抑え悠々自適に暮らすことができる――そう考えて決めました。家賃4.5万円の2LDKの賃貸アパートに引っ越し、毎月の生活費は約15万円。資産1億円、想定している運用益があれば、無理に働く必要もありません。 「毎朝、満員電車に乗らなくていい。それだけで幸せいっぱいでした」 いつ何をするのも自由。人混みとは無縁。そんな生活が半年ほど経ったころ、少しずつ違和感を覚えるようになりました。 「時間の使い方が分からなくなったんです」 佐伯さんはそう話します。会社員時代は、本人が望むかどうかに関係なく、予定がありました。 月曜日には部の全体会議があり、週末の金曜日には同僚と食事に行く予定が入ることも。携わっているプロジェクトには期限があり、後輩から相談を受ける場面もありました。 仕事を辞める前は、それらを「自由を奪うもの」と感じていました。しかし、すべてから解放されたとき、予定がなく、目標もない。壁にかけているカレンダーをめくってもめくっても、何も書かれていません。 朝起きる。散歩する。買い物をする。動画を見る。料理をする。食事をする。眠る――平凡な毎日に幸せを感じていましたが、何となく満たされない感覚が残っていたのです。 「お金さえあれば、自由になれる、幸せになれる、そう思っていました。でもお金だけあっても、意味はなかったんです……」 この先10年、20年、同じ日が続いていく――そう考えると不安になり、なぜか涙がこぼれることもあったそうです。
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