陸自部隊の情報収集 「愛国心や性的嗜好は記録する必要ない」「身分隠して収集なら違憲の疑い」 木村草太・東京都立大教授に聞く
陸上自衛隊中央情報隊(東京・埼玉、朝霞駐屯地)の対外情報部門「現地情報隊」が、日本人の大学教授らを対象に思想信条などの個人情報を組織的に調査・収集しているとみられる問題が浮上している。「愛国心」や「性的嗜好[しこう]」などの情報収集は、プライバシー権を侵害していないのか。東京都立大の木村草太教授(46)=憲法学=に聞いた。(聞き手・迫田真帆) -現地情報隊が民間人の愛国心など極めて個人的な情報を収集し、保管しているとみられます。 「目的を明確化し、必要な範囲で内心を調査するのは自衛隊の任務として正当化され得る。ただし、収集手段や管理が適切でなければ思想弾圧につながりかねない。過剰な情報収集はプライバシー侵害にもつながる。愛国心の情報を収集・保管する場合、目的外利用の禁止と漏えい防止を徹底しないと、弾圧的な利用の危険が生じる。思想弾圧は始まると止まらない。抑制的であるべきだ」 -なぜ自衛隊が愛国心などの情報を必要としているのでしょうか。
「今回のデータベース(DB)は、各地の情報に精通した相談相手候補のリストに見える。愛国心などの情報は、相談相手として、信頼できる人物か見定めるために記録したのではないか。ただし、接触したいなら本人の連絡先や経歴、専門分野を盛り込んだデータで十分だ。信頼できなさそうなら、リストに掲載しなければいい。愛国心や性的嗜好を記録する必要はないはずだ。こうした個人データ保護の原則が自衛隊内に浸透していないことが問題の根幹だ」 -現地情報隊は身分を隠して調査対象者に接触するケースもあったとされます。 「身分を隠して、あるいは虚偽の目的を告げて、プライバシー情報を収集していたとすれば違憲の疑いがある。『行政機関の長等は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない』と定めた個人情報保護法に違反する可能性もある」 -収集した情報は「個人BSD(ベーシックソースデータ)報告書」にまとめているようです。