詩│こめとひかりのおにぎり
まだ
近くで惑星をみたことがないから言えるんです
真夜中 、空はうつくしいと
愛だけが終われない霞でおぼろな明かり、と
合鍵を渡される
鍵穴はつぶれている
せっかく腕があるんだから
底の抜けた紙コップに水をためてよ
、と眼が言っているのがわかる
それができるひと
だからといって、
一緒の網膜で景色を見たくない
一緒の肺で呼吸を続けたくない
痩せた顔から瞳を盗んで、点字ブロックの上の自転車を燃やして、老いていく首から喉を奪って、心臓に新鮮な息を埋めて、消毒済みのマイクを譲られる、世界に歌ってほしい曲は決まっている、自分にだけにやさしい響きのなかで鋼になるよね、自分にだけにてきせつな量で夜明けを踏みたいよね、ここにある一瞬を永遠だと誤解させるためのキスしか知らないよね、浮輪を投げられて、納得できる川下で溺れさせてくれないよね
そしていつも生きてしまう
自分を生きるひと
隕石を恐れて、紫と勘違いでつくられた要塞で頼む出前、オリーブオイルとフライパンのソテー、グリルとプロパンガスのステーキ、スプーンとバターナイフを持ったひとが、紙エプロンを結んで、天に座る、斜めに笑う、歯石の裏によだれがみえる、すごくお似合いだねって、八月の太陽より明るく言えるようにならないといけない
自分で拒んだ景色を守りながらちっぽけな天使でも恒星になれることを示すために、はるか遠くで輝かないといけないから、階段を一段飛ばしで昇る翼を止めないでほしい
もし 、という二文字が
放たれるたびに種を落とす植物園を
きれいだとおもってほしいです
そしてベンチに座って
いきなり冬になろう
よわいひと
みずうみに山を投げてはいけません
ソテーは喉に詰まりませんでしたか
ステーキは噛み切れましたか
窓の外をみてほしいです
芝刈りを忘れられた草むらがみえますか
明日、それぞれの口で、まなざしをつなぎながら
いっしょに、こめとひかりのおにぎりをたべよう
すこやかにねむりなさい、よわいひと



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