熊本県によりますと、29日午後7時の時点で、今回の地震による死者が12人、心肺停止の状態が6人で、けが人は64人にのぼっています。また、安否不明となっている人が少なくとも4人いるということです。
このうち、煙突が倒壊するなどした八代市の日本製紙の八代工場では、11人が閉じ込められて、これまでに7人が救助されましたが、このうち5人が亡くなったということです。
ほかの4人の安否は、わかっていません。
また、地震のあとに爆発が起きた嘉島町の「イオンモール熊本」では、10人が救助され、このうち20代の女性2人など、3人が亡くなり、1人が心肺停止の状態となっています。
県や甲佐町によりますと、甲佐町の工場で屋根から落ちた鉄骨にあたった、男性1人が死亡しました。
このほか、氷川町で5人が心肺停止の状態だということです。
警察や消防などが、引き続き捜索にあたっています。
《人的被害の情報》
甲佐町で作業員の男性1人死亡
熊本県甲佐町によりますと、地震の影響で町内にある金属加工会社の屋根の鉄骨が落下し、下敷きになった作業員の男性1人が亡くなったということです。
このほか甲佐町では複数の場所で道路の亀裂が確認されていて、通行止めとなっている場所もあります。
八代市内で7人安否不明 2人心肺停止 (午前11時時点)
今回の地震で震度6強の揺れを観測した熊本県八代市は29日、市役所で災害対策本部の会議を開きました。
この中で市は、午前11時の時点で、市内で7人が安否不明、2人が心肺停止だと明らかにしました。けが人の人数については不明だとしています。また、住宅の被害が28件、土砂災害が3件、火災が1件、確認されたということです。八代市は引き続き、被害の全体状況の把握を急ぐとしています。
氷川町 5人が心肺停止の状態
震度7の揺れを観測した熊本県氷川町では、NHKの現地取材で複数の建物が倒壊するなどの被害が確認されていますが、町は調査中だとしていて、被災の詳しい状況は分かっていません。
28日の地震で震度7の揺れを観測した氷川町は、人口1万余りで、町内のほぼ全域で停電と断水が続いています。
29日午後5時の時点で町は確認できている家屋の被害については、倒壊などで救助活動が行われた合わせて19棟だとしています。
また、県によりますと29日午後7時の時点で、町内では5人が心肺停止の状態になっているということです。
NHKが現地で取材したところ住宅など複数が倒壊しているのが確認されていて、壊れた住宅が道をふさいでいたりブロック塀が崩れて、がれきが散乱したりしていました。
壊れた家の前に建てたテントの中や地面に敷いたシートの上で過ごしている人の姿も見られましたが、町は調査中だとしていて、被災の詳しい状況は分かっていません。
取材中、携帯電話の通話がつながりにくく、インターネットのデータ通信も利用が難しい状況になっていました。
断水については、町に水を供給している浄水場が被災したためしばらく続くとみられています。
86歳の女性は、「地震で家が大きく揺れて、とても怖かったです。大きな音がしたので外に出てみたら小屋が崩れていました。とめていた車が巻き込まれてしまったので、水や食料を運ぶことができないので困っています」と話していました。
また、染め物の工房を構えている71歳の男性は、自宅の隣にある作業場で地震で散らばった道具の片づけに追われていました。
男性は「地震当時は縦揺れや横揺れで立っていられないほどでした。電気がないと夜でも暑いですし、早く復旧してほしいです。食料の備蓄にも限りがあるのでスーパーなどが早く再開してくれるとありがたいです」と話していました。
ベトナム人実習生1人が死亡 ベトナム外務省発表
ベトナム外務省は29日、福岡県にある総領事館からの情報として、今回の地震によりベトナム人1人が死亡し、複数のけが人が出ていると発表しました。
国営メディアによりますと、死亡したのは、ことし1月に技能実習生として熊本県内の団体が受け入れていた男性で、勤務していた工場でクレーンが落下し、下敷きになったということです。工場にはほかにも7人のベトナム人が働いていましたが、無事が確認されているとしています。
また、熊本県宇城市でベトナム人女性1人がけがをしたほか、県内に住む多くのベトナム人から住宅が被害を受けたとの報告があったということです。ベトナム外務省は、支援が必要なベトナム人に対して大使館や総領事館に連絡するよう呼びかけています。
美里町 住宅の1階部分がつぶれ 女性が家屋に挟まれる
震度6強の揺れを観測した熊本県美里町では家の1階部分がつぶれ、柱がむき出しになり大きく傾くなどの被害が出ています。
この家に住む75歳の男性によりますと、当時、自宅に70歳の妻が1人でいて、地震のあと男性が慌てて戻ると、妻は壊れた家屋に挟まれていたということです。
地震からおよそ2時間半後に妻は救出されて病院に運ばれましたが、大きなけがはなかったということです。
男性は「10年前の熊本地震の時とは比較にならない横揺れで急いで自宅に帰りました。妻の声がだんだん出なくなっていくのがとても怖かったですが、助かって本当によかったです」と話していました。
中学生や高校生など9人が軽いけが
文部科学省が、29日午後5時時点で、学校や文化財関連の被害状況をまとめたところ、熊本県内で中学生や高校生などあわせて9人が軽いけがをしたほか、熊本を中心に、226校で柱のひび割れなどの被害が出ているということです。
具体的には9人のうち、部活中にトタン屋根が崩れ中学生1人が目の上を数針縫う軽いけがをしたほか、高校生2人は、避難の際に打撲などの軽いけがをしたということです。
また、熊本県内で教職員など7人が、地震で倒れた物の下敷きになるなどしてけがをし、このうち2人は骨を折る大けがだということです。
さらに、柱がひび割れするなどした学校の被害は、
▽山口県で2校、
▽福岡県で16校、
▽長崎県で16校、
▽熊本県で137校、
▽大分県で7校、
▽宮崎県で29校、
▽鹿児島県で19校と、
あわせて226校に上っています。
地震の影響による休校や短縮授業は、
▽福岡県で6校、
▽長崎県で3校、
▽熊本県で37校、
▽宮崎県で1校となっています。
《建物被害などの情報》
「八代城跡」の八代宮 拝殿や境内にある灯ろうが崩れる被害
今回の地震で震度6強を観測した熊本県八代市では国の史跡に指定されている「八代城跡」にある八代宮で被害が出ました。
八代宮では拝殿や境内にある灯ろうが崩れたり、狛犬が台座から落下したりしていたほか、「八代城跡」の石垣も複数の場所で崩れているのが確認されました。
八代宮によりますと、地震が起きた当時は観光客はおらず、けが人はいなかったということです。
八代宮の禰宜の竹原正崇さんは「揺れを感じて外を見た瞬間、拝殿がドーンという大きな音とともに崩れました。5年や10年で復旧はできないほど甚大な被害です」と話していました。
「江藤家住宅」の壁はがれる被害
文部科学省によりますと、文化財では、熊本県や鹿児島県であわせて8件の被害が報告されています。
このうち、2件は国の重要文化財で、熊本県大津町にある「江藤家住宅」では壁がはがれるなどの被害が確認されているということです。
このほか文部科学省は、避難所として利用されている学校の体育館などは冷房が設置されていないところも多く、熱中症が懸念されるとして教室などを活用した被災者の受け入れを検討するよう、教育委員会などに通知しました。
町の重要文化財 江戸時代の石橋の一部が壊れる被害
震度6強の揺れを観測した熊本県美里町では町の重要文化財に指定され観光名所になっている江戸時代の石橋の一部が壊れる被害が出ています。
美里町の山あいには、江戸時代後期に造られ町の重要文化財に指定されている高さ8メートルの「二俣橋」と呼ばれる石橋があり、観光名所になっています。
美里町社会教育課によりますと、この橋の、石でできた欄干の一部が崩落したということです。
町は今後の地震でさらに橋が崩落するおそれがあるとして、規制線を張る対応をとっています。
《けが人の受け入れなどの状況》
宇城総合病院で少なくとも111人受け入れ(午前10時まで)
震度7の揺れを観測した熊本県宇城市の宇城総合病院によりますと、29日午前10時までに地震でけがをした少なくとも111人を受け入れたということです。
重症が3人、中等症が17人、軽症が91人で、このほかにすでに帰宅するなどして症状が確認できなくなった人が複数いるということです。
病院は停電などによりこれ以上の救急対応が難しくなっていて、一時的に受け入れを停止しているということです。
宇城市の熊本南病院“停電や設備損壊 病院間搬送終える”
熊本県宇城市松橋町にある熊本南病院には地震が起きる前に高齢者を中心に127人が入院していましたが、地震の影響による停電や柱や設備の損壊で病院としての機能が停止しました。
病院は急きょ入院患者全員を転院させることを決め、余震などによる被害を防ぐために応急的に屋外にベッドを置いたりマットを敷いたりして待機してもらい、その状態は13時間あまり続いたということです。
病院によりますと、29日午前8時までに入院患者のうち一部の自宅に戻った人を除くおよそ120人は別の病院に受け入れてもらう「病院間搬送」を終えたということです。全員、症状は安定していて容体に大きな変化はなかったとしています。
病院の管理課長は28日夜の時点で「まるで野戦病院のようになってしまっていて受け入れ先の病院を探しているものの見つかるかはわからない」と話しています。
また患者のなかには人工呼吸器が必要な人もいたということで、管理課長は「非常用の発電機2機を使って人工呼吸器など生命維持にかかわるものはかろうじて動かせているが、発電機を稼働させる重油は3日間分しかなく今後、手に入れられるか不安だ」と話していました。
入院患者「病院間搬送」にあたったDMATの医師は
29日の夜明け前に熊本県に入った福岡大学のDMAT=災害派遣医療チームの野村竜也医師は、地震で被害を受けた熊本南病院から入院患者を別の病院に搬送する活動にあたりました。
野村医師は「病院の壁や柱には大きなひびが入り、一部が崩れ落ちていて、病院の機能維持は到底難しい状況だった。まさに搬送のさなかにもドーンという音とともに大きな余震があって、危険なシーンもあった」と話していました。
また、病院の外の様子については「ところどころで、地割れが起きていたり道路に段差ができていたりして車の走行は注意が必要だった。給油をする際にはガソリンスタンドが渋滞になっていた。簡易トイレや水が足りていないという情報もあり生活物資が十分ではない状況もみられた」と話していました。
野村医師によりますと29日午前中には無事全員の搬送を終えたということです。
今後の活動について野村医師は「まだ全容が見えていないこともあり、問題点を洗い出しながら、しらみつぶしに対応にあたっているところだ。被災地の人たちが医療を十分に受けられる環境を少しでも支えていきたい」と話していました。
合志市の熊本再春医療センターにも「病院間搬送」
合志市の熊本再春医療センターは28日夕方、地震で大きな被害を受けた宇城市の熊本南病院から入院患者の受け入れ要請があり、29日午前8時すぎまでに21人を受け入れたということです。
ただこの病院では地震の影響で6機あるエレベーターがすべて停止していたため、DMATが到着した患者を担架に乗せて病床のある6階まで階段で搬送したということです。
現在はエレベーターが復旧し外来や入院も通常どおり診療しているということで、病院の事務局は「今後もできるかぎりの患者の受け入れをしていきたい」と話していました。
八代市の熊本総合病院で約100人受け入れ(正午まで)
震度6強の揺れを観測した熊本県八代市の熊本総合病院では、29日正午までに地震でけがをしたおよそ100人を救急で受け入れたということです。病院では電気は復旧したものの水とガスが止まっているということです。
また、エレベーターや血液検査などに使う機器も故障していて、受け入れたおよそ100人のうち緊急の対応や手術が必要な重症の患者25人は熊本市内のほかの病院への搬送を始めています。
しかし、救急車が足りず搬送は難航していて、DMATの車両やヘリコプターなどでこれまでに4人を搬送したということです。
熊本市 熊本赤十字病院で129人受け入れ(午前8時半まで)
震度5強の揺れを観測した熊本市東区にある熊本赤十字病院によりますと、今回の地震のあと29日午前8時半までにけがをした129人を受け入れたということです。
重症が19人、中等症が39人、軽症が71人で、骨折していた人が多くいたほか、建物内の閉じ込めや停電の影響による熱中症の疑いがある人や、打撲ややけどと診断された人もいるということです。
この中にはイオンモール熊本で被災してけがをした人や病院機能が停止している宇城市の熊本南病院からの「病院間搬送」で受け入れた13人も含まれているとしています。
現在のところ病院の設備やライフラインに異常はみられず、治療などに影響は出ていないということですが、病院は29日から31日まで一般外来の患者の診療と予定入院患者の受け入れを一時中止する予定です。
熊本市民病院で72人受け入れ(午前10時まで)
震度5強の揺れを観測した熊本市東区にある熊本市民病院によりますと、29日午前10時までに地震でけがをした72人を受け入れたということです。
病院が行ったトリアージで緊急の対応が必要な重症と判断されたのは9人いて、中等症は41人、軽症は22人だったということです。
熊本市 済生会熊本病院では(午前8時時点)
震度6強の揺れを観測した熊本市南区にある済生会熊本病院では、28日から29日8時ごろにかけておよそ120人の救急患者を受け入れ、このうち30人余りについて緊急の対応が必要な重症だとして入院させているということです。
病院によりますと、一夜明け救急外来を受診する人が相次いでいて、受け入れ人数の限界を超えたため急きょ、トリアージのためのブースを拡張して治療にあたっているということです。
病院の職員が28日夕方に撮影した院内の写真や映像には、病院の1階の広場に設けたトリアージブースで多くの医療関係者が対応する姿や血液検査などを行う検査室の天井が水漏れする被害が起きて精密機器にブルーシートをかける応急の対応をしていた様子が記録されています。また、病院の図書室では、大型の書棚が倒れて床に本が散乱しています。
8886人が避難 停電約3万4880戸(午後2時時点)
熊本県によりますと29日午後2時の時点で、開設している避難所は432か所で、8886人が避難しているということです。また、県内では約3万4880戸で停電が発生しているということです。
《救助活動や安否確認の状況》
「緊急消防援助隊」345部隊1138人が現地で活動
今回の地震を受けて総務省消防庁は28日夜遅くまでに、九州と中国地方のあわせて9県の消防に対し、大規模な災害の際に救助活動を行う「緊急消防援助隊」の出動を要請しました。
規模はあわせて345部隊1138人で、順次現地で活動を始めています。
このうち福岡県と佐賀県から派遣された隊は、嘉島町の「イオンモール熊本」で活動しているということです。
震度7観測の宇城市 消防団員らが地域をまわり安否確認
今回の地震で震度7の揺れを観測した熊本県宇城市では、被害の全容が分かっておらず、地元の消防団員や民生委員らが被災した地域をまわって、住民の安否確認を進めています。
宇城市では一夜明けた29日も被害の全容をまだ把握できておらず、朝から地元の消防団員や民生委員らが住宅などの被害が大きい地域を中心にまわって確認を行っています。
このうち宇城市松橋町の島地区ではブロック塀が崩れたり、屋根瓦が落ちたりするなどの被害が相次いでいて、消防団員たちは「大丈夫ですか」とか「体調に問題はないですか」などと大きな声で呼びかけていました。
そして、被災した住宅にとどまっている住民の中には水が少ししか残っていないという人もいて、消防団員らが「あとから水を届けます」と伝えていました。
警察庁が広域緊急援助隊の活動の様子を公開
警察庁は熊本県内の災害現場に派遣された広域緊急援助隊の活動の様子を撮影した映像を公開しました。
震度6強の揺れを観測した熊本県八代市の家屋の倒壊現場では、崩れた建物のうえに隊員たちがのぼり、瓦が落ちて穴があいた屋根の隙間から中の状況を確認している様子がうかがえます。
震度7を観測した氷川町の現場では、コンクリートの土台の上の住宅が完全に崩れ、隊員たちはがれきを取り除きながら、中に取り残されている人がいないかなどを確認しています。
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