金銭授受問題に揺れる“福岡県政のドン”蔵内勇夫・県議会議長に新疑惑浮上 地元に整備した筑後広域公園の指定管理者は身内企業、利益相反の可能性
県議団の内側でも如才なかった。 「当時、ドンと呼ばれた三木清・県議の下足番をして気に入られて頭角を現わしていった」(ベテラン県政関係者) 三木は、1980年代から90年代にかけ、革新県政と対峙した自民党県議団の実力者だ。元総務省幹部が補う。 「1983年に革新系の奥田八二県政が誕生すると、危機感から三木さんの下で自民党が結束を強めたんです。議会で奥田氏を追及したわけだが、その強い議会の慣習が後々まで引き継がれ、後の保守系の知事も苦労することになった」 三木の引退後、この強い県議団のバトンを受け継いだのが2001年に1度目の議長(2度目は現在)、2003年に県議団会長に就任する蔵内だ。通常なら2年の任期を異例の15年間の長きにわたって務めた。 2003年に新人県議となった告発者の吉松源昭・県議が語る。 「最初の2年で交代期が来た頃、次に候補に挙がったのが蔵内氏の側近県議でした。その側近は、『私を推してくれるなら、私の2年はもう一度蔵内会長にお願いしたい』と言う。そう言われたら、他の県議は否定できません。おそらく蔵内氏自身のシナリオです。その辺りは実に上手い」 情報は実権を持つ者に集まる。選挙区の困りごとも、知事提案の厄介な議案も門前払いせずに世話をすると、世話を受けた者は次も案件をこの権力者に持ち込み、そこに情報が集まる。 こうしたスパイラルを続けるうち、そこを通らなければ物事は決まらない、という求心力が確立されるのだ。 そして、県連会長に上り詰めると、国会議員の公認にまで強い影響力を握った。 個性の強い保守系の政治家同士も覇を競い合う福岡という土壌にあって、ポストや調整の代償として求められるハードルや金額相場もつり上がっていったのではないのか。
公園の指定管理者は身内企業
一強体制の綻びにつながる変調は2つあった。 1つは地元紙・西日本新聞の渾身の調査報道だ。 高額海外視察の報道を踏まえた吉松は3月の県議会で「第三者委員会をつくって無駄があれば税金を返すべきだ」と提案。議会も県庁もスルーしたが、意外なところから反応がきたと吉松が言う。 「6月議会が終わった翌日に県警から連絡があり、『海外視察について県民から刑事告発がきている』と言われたんです。こちらが議長就任時の金銭の話まで伝えると、間もなくどこからかそれを聞きつけた西日本新聞の記者が『県警に話されたんですよね』と取材にきた」 これが7月5日のスクープにつながった。 もう1つは、選挙の民意だ。2023年4月の直近の県議選で蔵内は無投票ではなかった。それどこか、「トリプルスコアで勝つ」と嘯いていた陣営の思惑をよそに1600票差まで詰め寄られた。 巨象に挑んだ元副市長の北島一雄に聞くと、 「副市長の時、県のコロナ対応の遅さに頭に来ていました。それに肥料の高騰対策で県が補助を出したのですが、支給の条件が『ワンヘルスの承認』。蔵内氏の踏み絵を踏まされたのです。もう腹が立ってしまって」 地元の筑後では、「蔵内氏に睨まれると補助金がつかなくなる」とまで囁かれてきたが、こうした神話が崩壊しつつある。 冒頭の筑後広域公園に足を運ぶと、連休初日なのにスケボー場は利用者ゼロ。本格的なBMXコースも4人の小学生だけだった。なのに、管理料だけで年間4.9億円に上る。指定管理者として県が協定書を結んだ相手は「筑後広域公園振興事業団」なるグループだ。 グループを構成する5社を調べていくと、興味深い事実に突き当たった。
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