「検察庁に対する組織批判」後に、無罪主張に転換
2024年の被害申告の後、2カ月後には北川被告が逮捕されている。起訴から初公判までは半年ほどで、これは他の事件と比べて特段遅いということはない。
状況が一変したのは初公判後にひかりさんが記者会見を開いてからだ。北川被告の代理人弁護士は無罪主張に転換した理由を会見でこう説明している。
「北川さんが第一回公判期日で公訴事実を争わないと答弁していますが、それはそうすることで、事件関係者、検察庁にこれ以上迷惑かけたくないということにありました。
しかし、その後の検察庁に対する組織批判により、北川さんはこのような方針が間違っていたのではないかと悩み、自らの記憶と認識に従って主張することにしました。
北川さんとしては、内心としては相手が抵抗できない状態とは思っていなかったし、その行為を受け入れている、つまり同意があると思っていたと。この点が争いになります」
ひかりさんが会見を開いて女性副検事の二次加害に言及し、北川被告個人ではなく検察組織の問題に触れたことが無罪転換の理由だった、と受け取れる。
通常であれば、検察は被告人と対峙し、求刑を行う。しかし今回の事件においては被告人が守ろうとしているものが検察のメンツである、というねじれがある。ひかりさんや代理人が検察の姿勢を疑いたくなるのも無理はない。
その一つが、準強制性交等致傷罪への訴因変更が行われないことなのである。
◇中編「【大阪地検・元検事正の性暴力事件】PTSDは「死ぬような恐怖を体験したことによって起こる脳機能の異常」」では準強制性交等致傷罪への訴因変更が行われないとはどういうことなのか、田中弁護士の話とともにPTSDと性暴力の裁判についてお伝えする。
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