2026年5月

未来を守るために、今できること ──ワクチン接種啓発活動

街から人影が消え、人に会うことさえもためらわれたコロナ禍の日々。すっかり元の生活が戻った今も、ウイルスが消え去ったわけではありません。インフルエンザ、百日咳、そして未知の感染症など、私たちの暮らしには、今も感染症の脅威が潜んでいます。
一方で、感染症を予防するワクチンについては、インターネットやSNSに情報があふれ、何を信じ、どう判断すべきか、戸惑う人も少なくありません。

そうしたなか、80年にわたり感染症と向き合ってきたMeiji Seika ファルマは、一つの大きな決意をしました。それは、社会にワクチンを届けるだけでなく、ワクチン接種について「正しい情報をもとに考え、判断できる力」を届けること。
啓発活動の最前線に立つ担当者の想いを紐解きます。

吉川 和彦

Meiji Seika ファルマ株式会社
広報・渉外部長

多賀 沙代子

Meiji Seika ファルマ株式会社
広報・渉外部 広報グループ長

目次

  1. 1パンデミックによって痛感した使命
  2. 2話したいのに話せない。生活者と医師のすれ違い
  3. 3「#話そうワクチン」で、対話のきっかけづくりを
  4. 4感染症と向き合い考える力を、次世代に伝えたい
  5. 5命のインフラ企業として、100年先の健やかさを

パンデミックによって痛感した使命

「私たちにとって、この5年間は自らの使命を根底から問い直される日々でした」
広報・渉外部長の吉川は、静かに振り返ります。

2020年に世界を一変させた新型コロナウイルス感染症によるパンデミック。当時は誰もが「ワクチンさえあれば、この苦しい生活が終わるのに」と切望しました。しかし、実際にワクチンが登場し感染拡大が収束するにつれ、社会には安堵と同時に、困惑も広がりました。

「ワクチンに関してSNSなどで真偽の入り混じった情報が溢れました。感染症のリーディングカンパニーとして、私たちはワクチンをつくるだけでなく、正しい情報の発信や、生活者の皆さんとのより丁寧なコミュニケーションをしなければいけない。そう痛感し、これまで行ってきた啓発活動をいっそう強化しようと決意しました」(吉川)

話したいのに話せない。生活者と医師のすれ違い

啓発活動を強化するにあたり、まず取り組んだのは「人々の声に耳を傾けること」でした。2025年6月、一般生活者・医師1,600名を対象に大規模な意識調査PDFを別ウィンドウで開きますを実施。そこで浮き彫りになったのは、意外な「すれ違い」でした。

「多くの方が『ワクチン接種について専門家のアドバイスが欲しい』と願い、医師も多くが『積極的にアドバイスしたい』と思っていることがわかりました。しかし、実際に相談できている方は、わずか3割です。この深いコミュニケーションギャップを少しでも埋めるために、私たちに何ができるか。部内で議論を重ねました」(吉川)

広報グループ長の多賀が続けます。

「ワクチンを接種するかどうか迷うのは、自分や家族を大切に思えばこその自然な葛藤だと思います。大切なのは、一人ひとりが信頼できる医師から正しい情報を得て、不安や疑問に感じることは相談しながら、納得した上で判断することです」(多賀)

身近なかかりつけ医と対話するきっかけづくりを、サポートしたいと考えたんです。(多賀)

そこで企画したのが、「#話そうワクチンPDFを別ウィンドウで開きます」プロジェクトでした。医師との対話を通じて最適な判断ができる機運を高めることを目指す、啓発活動です。

「#話そうワクチン」で、対話のきっかけづくりを

2025年8月に実施した「#話そうワクチン」の第1弾は、あえて答えを提示しない、下記のような「問い広告」でした。

どうして、私はワクチンを打つんだろう?
どうして、私はワクチンを打たないんだろう?

「ワクチンを接種するか、しないかに、正解はありません。一人ひとりが考えて判断することなので、答えを押し付けるのではなく、自分が納得できる答えを見つけてみませんか、というメッセージを込めました」(多賀)

続く第2弾は、「問い」広告に対するMeiji Seika ファルマとしての「アンサー広告」を展開。特設サイト別ウィンドウで開きますも立ち上げ、複数の医師からのメッセージを掲載しました。

「きれいな飲み水を除き、ワクチンほど多くの命を救ってくれたものはありません」
「接種は自分だけでなく、大切な人や地域の健康を守る行動」
「ワクチンについて話すことで、『賛成』『反対』だけではなく、病気を予防することの意義について考えて」

「これらは一例で、ほかにもたくさんの医師の方々が素敵なメッセージを寄せてくださいました。『とても良い取り組み。頑張って』といった応援もいただき、とても励みになりました」(多賀)

プロジェクトは第3弾、第4弾と続き2025年度秋冬シーズンまで展開。駅などでの交通広告、新聞広告、テレビCM、X公式アカウントなどで広く発信されました。一般生活者を対象に実施した調査では、プロジェクト期間中に「医師と対話したい」と回答した方の比率が上昇するなど、大きな反響がありました。

「#話そうワクチン」の交通広告

「#話そうワクチン」のCM動画

感染症と向き合い考える力を、次世代に伝えたい

「#話そうワクチン」プロジェクトのほかにも、さまざまな啓発活動に取り組んでいます。なかでも注力しているのが、次代を担う子どもたちへの教育です。

自分自身や周囲の大切な人の健康を守るために、感染症やワクチンに関する正しい知識を身につけてもらいたい――。その想いから、中学・高校生の企業見学を受け入れてワークショップを実施するほか、昨年は小・中学校の保健室の養護教諭に向けて、ワクチンリテラシーをテーマに学術集会でランチョンセミナーを開催しました。

「セミナーは非常に好評で、受講された小学校の先生から『ぜひ子どもたちにも企業から直接授業で伝えてほしい』という声をいただきました。実際に、小学3年生を対象に、感染症予防の基本となる手洗いの授業を実施しています」(多賀)

また、ワクチン製造を担うグループ会社、KMバイオロジクスも、地元・熊本を中心に小・中学校での出張授業を行っているため、今後は、グループ連携によって、感染症の仕組みや予防について学ぶ機会を、全国へと広げていく方針です。

「単発ではなく継続的に、子どもたちの考える力を育てていくことが重要だと考えています」(多賀)

小学校での出張授業で、感染症の予防についてレクチャー

命のインフラ企業として、100年先の健やかさを

コロナ禍において日本は、ワクチン供給の多くを海外に依存せざるを得ませんでした。国産ワクチンが切望されるなか、Meiji Seika ファルマは全社を挙げてコロナワクチンの開発に取り組み、2024年に供給をスタート。あわせて、将来起こりうる新たなパンデミックに備え、国内で安定的にワクチンを供給できる生産基盤を構築しました。

「人々の健康を守るという観点はもちろん、安全保障の観点からも、国産ワクチンの意義は非常に大きいものです。感染症を『予防するワクチン』と『治療する抗菌薬』の両方において、国内で十分な供給力を持つ企業は、明治グループを含めて数社。次のパンデミックに備えることは、私たちの重大な使命です」(吉川)

Meiji Seika ファルマは、公衆衛生を支える「いのちを守るインフラ企業」としての強い使命感を自覚しています。だからこそ、医薬品の提供にとどまらず啓発活動にも今後さらに力を注いでいく考えです。

「『国産ワクチンや抗菌薬を提供しているMeiji Seika ファルマなら安心』と、信頼していただける活動を広げていきます」(多賀)

目指すのは、感染症のリスクやワクチンの有用性・副反応、接種のタイミングなどについて、正確な情報をもとに一人ひとりが考え、判断できる社会。決して短期間で実現できるものではありません。

地道な情報発信と対話の積み重ねが、未来の社会を守る力になると信じています。(吉川)

Meiji Seika ファルマの企業CM動画