バッファロー製Wi-Fi 7ルーターがAmazon売上1位、1万2980円のエントリー機が人気
ネットワーク機器大手のバッファローが販売するWi-Fi 7対応ルーター「WSR3600BE4P/NBK」が、Amazon.co.jpの「無線・有線LANルーター」カテゴリでベストセラー1位を獲得した。7月24日時点の販売価格は1万2980円と、最新規格対応機としては手頃な価格設定が支持を集めている。同機の発売時期は2025年5月で、投入から1年以上を経てなおランキング上位を維持している格好だ。
第7世代の無線通信規格「Wi-Fi 7」に対応した本製品は、3本のアンテナを内蔵し、5GHz帯と2.4GHz帯を状況に応じて使い分ける設計が特徴だ。高速通信に適した「2バンド同時モード」と、安定性を重視する「2バンド切替モード」を搭載し、スマートフォンやゲーム機の通信を効率的に処理する。この2つのモードは、いずれもWi-Fi 7の中核機能である複数リンク同時利用(MLO)に基づくもので、バッファローの製品情報では前者がMLMR(Multi-Link Multi-Radio)、後者がMLSR(Multi-Link Single-Radio)と明記されている。加えて変調方式が従来の1024QAM(10bit)から4096QAM(12bit)に引き上げられており、通信効率と通信遅延の改善により、日常的な動画視聴やウェブ会議で体感速度の向上が期待できる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応規格 | IEEE 802.11be/ax/ac/n/a/g/b |
| 対応周波数帯 | 5GHz・2.4GHz(6GHz帯は非対応) |
| 最大転送速度(5GHz) | 2882Mbps(160MHz幅・2ストリーム) |
| 最大転送速度(2.4GHz) | 688Mbps(40MHz幅・2ストリーム) |
| 内蔵アンテナ | 3本(5GHz/2.4GHz共通2本+5GHz専用1本) |
| 有線ポート | INTERNET 1Gbps×1、LAN 1Gbps×3 |
| MLO対応モード | 2バンド同時(MLMR)/2バンド切替(MLSR) |
| セキュリティー | WPA3 Personal、ネット脅威ブロッカー2 ベーシック |
| メッシュ | Wi-Fi EasyMesh対応 |
| 外形寸法・質量 | 幅43×高さ148×奥行133mm、約280g |
| 消費電力 | 最大14.1W |
| 発売時期 | 2025年5月 |
註:数値はバッファローの公式仕様書に基づく。通信速度は理論上の最大値であり、実際の転送速度を示すものではない。外形寸法・質量は本体のみで、付属品および突起物を除く。
2つのMLOモードの使い分けは、次のような関係にある。
設定はスマートフォン向けの「AirStationアプリ」をインストールし、案内に従うだけで完了する。ネットワーク設定に不慣れなユーザーでも迷わず導入できる点が、初めてWi-Fi 7ルーターを購入する層に訴求している。背面には1Gbps対応の有線LANポートを3基装備し、これとは別に回線側のINTERNETポートを1基備える。据え置き型ゲーム機やデスクトップパソコンを有線接続したいユーザーの需要にも応える構成だ。
本体サイズは幅43×高さ148×奥行133mm、質量は約280gとコンパクトで、付属のスタンドを背面に取り付けることで壁掛け設置にも対応する。設置場所の自由度が高く、リビングや寝室など限られたスペースにも無理なく配置できる。バッファローは国内メーカーとしてサポート体制も充実しており、エントリーモデルとしての安心感が購入の後押しとなっている。同社の無線LAN製品「AirStation」シリーズは累計出荷台数6500万台を突破しており、本機は晋遊舎の「家電批評 2025上半期ベストバイ」でWi-Fiルーター(1万円クラス)カテゴリーの大賞も受賞している。
「Wi-Fi 7対応」でも6GHz帯は使えない
もっとも、価格の手頃さは相応の割り切りの上に成り立っている。Wi-Fi 7が想定する3つの周波数帯のうち、本機が対応するのは5GHzと2.4GHzの2帯域のみで、6GHz帯には対応しないデュアルバンド機だ。Wi-Fi Allianceが2024年1月8日に認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED 7」を開始した際、目玉機能のひとつとして挙げた320MHz幅の超広帯域通信は、6GHz帯を開放している国・地域でのみ利用できる仕様であり、本機では使えない。INTERNET Watchの検証記事も「320MHz幅(2ストリーム時最大5764Mbps)の通信には対応していない」と指摘し、高いパフォーマンスを求めたり多数の機器を接続したりする環境向けの製品ではないと位置づけている。有線ポートが全て1Gbps止まりである点も、同じ割り切りの延長線上にある。
その代わり、実測性能はエントリークラスとしては堅実だ。INTERNET Watchが木造3階建て住宅の1階に本機を設置し、iPerf3で計測した結果は以下の通りとなっている。
| 測定場所 | MLO接続 上り/下り | 5GHz専用接続 上り/下り |
|---|---|---|
| 1階(設置フロア) | 932/943 | 946/945 |
| 2階 | 623/768 | 673/739 |
| 3階入口 | 337/557 | 363/569 |
| 3階窓際 | 61.7/35 | 160/255 |
註:単位はMbps。2025年5月のINTERNET Watch検証記事より。「MLO接続」は2.4/5GHz共通SSID、「5GHz専用接続」は速度重視SSIDでの計測値を指す。
有線側が1Gbpsであるため設置フロアでも900Mbps台が上限となるが、2階でも下りで700Mbpsを超えている。一方、最も遠い3階窓際ではMLO接続が2.4GHz帯へ切り替わって速度が落ち込むのに対し、5GHz帯を維持する専用SSIDのほうがむしろ高速という逆転が生じている。本機は用途別に複数のSSIDが設定済みで出荷されるため、どのSSIDにつなぐかで体感が変わる点は覚えておきたい。
一方で、同社は新たな周辺機器として、USB Type-C端子を有線LANに変換できる「LUAMC-U3CGシリーズ」を8月上旬より順次出荷する。ケーブル全域に磁気吸着機能を備え、使用後に丸めるだけでコンパクトにまとまる設計が特長だ。変換アダプターとLANケーブルが一体化しており、出張先やカフェなどWi-Fi環境が不安定な場所で、ドライバーインストール不要ですぐに有線接続できる利便性を提供する。
製品は1mの「LUAMC-U3CG10BK」と2mの「LUAMC-U3CG20BK」の2種類を用意し、価格はオープン。最大1000Mbpsの通信速度に対応し、爪折れ防止カバーとメッシュケーブルの採用で耐久性も高めている。
Wi-Fi 7は、Wi-Fi Allianceが2024年1月8日に認証プログラムを開始した最新規格で、従来のWi-Fi 6/6Eと比較して最大通信速度や同時接続効率が大幅に向上している。同団体がIDCの調査を引用して示した見通しでは、Wi-Fi 7対応機器は2024年に世界で2億3300万台が市場に投入され、2028年には21億台に達する。スマートフォン、パソコン、タブレット、アクセスポイントが先行して対応を進めており、ルーターの先行導入によって将来の通信環境を整備する動きが広がっている。
WSR3600BE4P/NBKは、プロゲーマーが求めるような超高帯域・超低遅延のハイエンド環境には及ばないものの、一般的な家庭での動画ストリーミングやオンライン会議、カジュアルなオンラインゲームでは十分な性能を発揮する。1万2980円という価格は、Wi-Fi 7ルーターの普及を加速させる水準といえる。
バッファローは無線ルーター市場で長年の実績を持ち、法人向けから家庭向けまで幅広い製品ラインアップを展開している。今回のAmazonベストセラー1位獲得は、最新規格への移行期における消費者の信頼感と、価格と性能のバランスに対する高い評価を示すものだ。
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