【独自】情報収集に「愛国心を利用」 陸自情報部隊の元隊員が証言 法的根拠なく葛藤も 「違法、もしくはグレーとの認識」
陸上自衛隊中央情報隊(朝霞駐屯地)の対外情報部門「現地情報隊」が、市民を対象に、思想信条に関する情報を組織的に調査・収集しているとみられる問題が浮上した。元隊員が熊本日日新聞の取材に応じ、活動の実態を具体的に証言した。(植木泰士、小山智史、迫田真帆) -現地情報隊とはどのような部隊で、何をしていますか。 「2003年から自衛隊がイラクへ派遣された時、現地の情報が乏しかったことを教訓に、海外での情報収集の目的で07年に創設された。自衛隊の中で唯一、ヒューミント(人的情報収集活動)をする専門部隊で、規模は50~60人と小さい。海外派遣で派遣部隊に先行して現地入りし、現地の人の協力者を獲得して情報を収集する」 「ただ、実際には派遣人数は非常に限られていた。私がいた頃は(アフリカ東部の)ジブチに2人しか派遣されず、ほとんど活動がなかった。そのため残りの隊員は日本国内にとどまり、アジアやアフリカ地域の比較的情報が少ない国について情報収集していた。ヨーロッパは対象にしていない」
-国内での情報収集は、どのような人を対象にしていましたか。 「自衛隊が想定している派遣先に関して知見や人脈がある一般人だ。具体的にはその国を専門に研究している大学教授などの有識者らで、NPO法人の関係者も含まれる。対象者の友人に接触して紹介してもらうこともあった」 -どのように情報収集していましたか。 「部隊で接触計画を作り、接触する口実やどのような情報を収集するのかを定めて上司の決裁を取った。その後、メールや電話でアポを取ったり、学会や会合に参加したりして、対象者と徐々に関係を構築して情報収集していた。特に親しくなった対象者は居酒屋に呼び出すこともあった。偶然を装って会うこともある」 -収集する情報はどのようなものですか。 「現地の情報はもちろん、対象者の氏名、住所、電話番号、愛国心といった思想信条、交友関係などを収集し『個人BSD(ベーシックソースデータ)』と名付けられた成果報告書に記録して報告していた。記録は朝霞駐屯地に全て保管されている。個人情報の収集と保管について対象者の同意は得ていない」