「私はギャンブル依存症」 三菱UFJ貸金庫事件、元行員から手紙
<この度はお返事が遅くなりました事、深謝致します>
3月4日、記者の元に東京拘置所からの手紙が届いた。
送り主は三菱UFJ銀行の元行員(47)。貸金庫から顧客の金品を億単位で盗んだ女性だ。
<私に何かご協力できる事があればとの考えもございます>
手紙はこう記され「ギャンブル依存症」について、記者とともに考え、社会に問題点を伝えたいと続いていた。
被告とのやり取りが始まった。
全2回の前編です
後編「『賭けたのは家族です』 依存症の終着点」
事件後にギャンブル依存症の診断
取材を申し込んだのは、1審・東京地裁の裁判を傍聴したことがきっかけだ。
被告は2023年3月~24年10月、貸金庫で預かっていた顧客6人の金塊計約26キロ(時価総額約3億3000万円相当)や現金計約6145万円などを盗んだとして窃盗罪に問われた。
公判では動機を「外国為替証拠金取引(FX)」と認め、競馬も理由に挙げた。
損失を埋めるために顧客のカネに手を付け、膨らんだ「負け」を取り返そうと窃盗を重ねた。
ギャンブル依存症は脳内で快楽物質が分泌され、より強い刺激を求めて自分の意思だけではやめることが難しい精神疾患だ。
一般的にパチンコや競馬などで問題になることが多い。
FXはあくまで投資。たしかにギャンブルではない。
だが、短期間で大きな利益や損失が出る点で特徴は似ている。
被告側は公判で、事件後に精神科医からギャンブル行動症(依存症)と診断されたことを明かし、治療に取り組んでいくことを誓った。
25年10月の1審判決は懲役9年(求刑・懲役12年)。更生に向けた被告の意思を有利な事情としたが、ギャンブル依存症の影響は深く検討されなかった。
記者はこれまで依存症と、そこからの立ち直りを取材テーマにしてきた。特定非営利活動法人ASKが認定する「依存症予防教育アドバイザー」の資格も持つ。
被告の口から依存症の影響を確認したいと、1審判決後に収容先の東京拘置所に手紙を送った。
3月4日の被告の手紙は最初の返信だった。日ごろから書き慣れているのか、バランスがとれ、丁寧な文字だった。
「顔を合わせてお話ししたい」
被告は練馬支店で支店長代理を務めていた。そして、貸金庫の予備鍵を使える立場を悪用した。
<仕事も…
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