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この作品「そこが君の止まり木なら」は「あんさんぶるスターズ!!」「守沢千秋」等のタグがつけられた作品です。
そこが君の止まり木なら/はね@腐向けアカの小説

そこが君の止まり木なら

3,251文字6分

ついに明かされたちーちゃん先輩同室者の件で頭を整理した結果、こんなものができました。
久しぶりの突貫工事なのでお見苦しいところはご容赦ください。

ちーちゃん先輩の同室、奏汰さんとは言わないからせめて夢ノ咲元3-Aの誰かに……! って思ってたら後輩二人で、どうしようこれじゃちーちゃん先輩正義の味方をオフにする時間ないじゃん倒れちゃう(ちーちゃん先輩のイメージがヒーローショウと天球戯が強すぎる)と思ったんだけど、考えたら周りに気を付けるように頼まれてたらいいなって……そしてできればウッキーとアドニスくんには保護者枠に収まって欲しい……! と滾った結果がこちらになります。
読んでいただければ幸いです。

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『ウッキー、オッちゃん! お願いがあるんだけど!』
『おいこらスバル、いきなりじゃ二人ともびっくりするだろ。あーでも、頼みたいのは俺もなんだけどさ……』

『遊木殿、お願いがあるのでござる……』

『もう、せっかくゆうくんと会話しようって来たのに話題がこれだとかちょーウザいんだけどさあ。でも……』


『アドニスさんにこんなことを頼むのは気が引けるんだが、これじゃあ君にしか頼めないんだよなあ』

『アドニスくんに頼むのもアレなんだけどね。でも、奏汰くんも心配してたし、まあ俺もアレだよ? 人でなしじゃないし、だからさ……』




「守沢先輩、熱ありますよね?」

 とある朝。
 突然、寮の同室の後輩に言われて、守沢はぱちりと目を瞬かせた。
「どうしたどうした? 藪から棒に」
「いや、熱ありますよね? 守沢先輩」
 眼鏡越しの緑の瞳が、真顔でこちらを見つめてくる。いつもは笑顔の絶えない彼だが、こんな顔をしていると、なるほど綺麗な顔をしているのがよくわかる。元クラスメイトがご執心なのもわかる……と妙なところで納得しそうになって、いやいやと気を引き締める。
 今はそんな考察をしている場合ではない。
「熱なんてないぞ? 正義の魂は今日も真っ赤に燃えている! というわけで、仕事に行ってくるな!」
「いやいやいや、待ってくださいって!」
 一気にまくしたて、その勢いのまま部屋を出ようとしたが、思いがけず強い力で腕を掴まれた。
「うぉっ?!」
「あ、乙狩くん! そのまま守沢先輩のこと捕まえてて!」
 守沢の腕を掴んだのは、やはり同室の後輩で。遊木と違って力比べで彼に勝つのは、守沢にはちょっと分が悪い。
「わかった。――守沢先輩、俺もあなたは熱があると思う。体温が高い」
「だ、だから熱なんてない! 乙狩まで何を言っているんだ。というか離してくれ、このままだと遅刻する……!」
「熱がないっていうなら素直に熱計ってください! それで平熱だったら僕らも納得しますから……ちょっと乙狩くん、守沢先輩抑えといて!」
 乙狩に羽交い絞めにされている隙に、遊木が守沢の額に何か翳した。あ、それおでこで熱を測れるやつだろう。なんでそんな最新式を遊木が……と混乱している中で、無情にも体温計がピッと鳴る。表示された数字を見て遊木の表情が一変した。
「ちょ……守沢先輩! この熱で仕事行くつもりだったんですか!? 寝てなきゃダメですよ!?」
「見せてくれ、遊木。……守沢先輩、失礼する」
「ひょわ?!」
 守沢を押さえつけていた乙狩が、ひょいと守沢を姫抱きした。足が宙に浮いて、思わず変な声を上げた守沢だったが、そのまま部屋の中に連れ戻されベッドの上に降ろされたところで再び抗議の声を上げた。
「こら、いい加減にしないと怒るぞ!? 今日は打ち合わせが……」
「だ、か、ら!」
 乙狩の後ろについてきた遊木が、怒ったように声を上げてから、急にふにゃりと眦を下げた。
「すみません……でも、僕たち守沢先輩のこと心配してるんです。先輩が仕事に対してすごく真面目なのは知ってますし、社会人としての責任とか、僕たちみたいなまだ高校も卒業してない立場とは違って重いんだろうし。でも、今ここで先輩を仕事に行かせちゃって、あとで悪化したら、僕……」
「遊木」
 俯いてしまった遊木の肩に乙狩が手をかけた。そして、彼も守沢を見下ろした。
「守沢先輩。あなたが多くの責任を抱えていることは俺も知っている。でも、その責任のためにあなたが圧し潰されることは、誰も望んでいないはずだ」
「乙狩……遊木……」
 守沢は俯いた。
 後輩たちの言う通りだ。昨夜からなんとなく体が重く、気のせいだと振り払って、念のため売薬の風邪薬を飲んでから寝たものの朝になってもだるさは消えず、むしろ悪寒と頭痛といった熱の諸症状がはっきりと感じられた。でも、ESのアイドルとして、流星隊として以外にも個人で多くの仕事をいただいている身としては、たかが熱ごときで休むなどあり得ない。むしろ、熱を出すなんて自己管理のできていない証拠だと自責の念ばかりが強く。
 とにかく仕事に向かわなければと、自分は元気だと自己暗示のように思いこんで出発しようとした矢先だった。
「……しかし……」
 喉から零れた声は、そうあるべきと考える自分のイメージよりもずっと弱弱しかった。まるで、夢ノ咲の抗争時代の、何もできないちっぽけだった頃の自分のように。
「大丈夫だ。守沢先輩は俺から見ても働きすぎだ。疲れてしまっても仕方ない。ゆっくり休めば、その分強くなれる。だからゆっくり休んで欲しい」
「乙狩……」
 ベッドに半身を起こしたところで、肩に手をかけて止められる。でも、その力は強いものではなく、優しいものだった。
「守沢先輩、プロデューサーちゃんに連絡しましたから。今日の打ち合わせはもともとES内部のものだから、大丈夫ですって。ゆっくり休んでくださいって言ってましたよ」
「ゆ、遊木! でも……」
「大丈夫です」
 慌てた守沢を遮るように、遊木がにっこりと笑った。
「そうやって誰か一人で頑張りすぎないように、天祥院先輩たちはESを作ったんだって僕は思ってます。だから守沢先輩、今日は休んで、それでまた元気になってください」
 正義の太陽にだって、たまにはお休みは必要でしょう?
 そう悪戯っぽく笑う遊木に、守沢はぐす、と鼻の奥が熱くなるのを感じた。
 熱で弱っているのは、体だけではないのかもしれない。
「も、守沢先輩。大丈夫か?」
 乙狩があまり表情を変えないまま、おろおろとしているのがわかる。何か言わなければと思うけれど、言葉が出てこない。
「うんうん、熱がある時って悲しくなっちゃいますよね。さ、守沢先輩、とりあえず横になってください。あ、着替えた方がいいかな。ちょっと守沢先輩の服、出させてくださいね」
 遊木が手慣れた感じでてきぱきと世話を焼いてくれる。乙狩が守沢の背をさすり、横になるよう促してくる。
 張っていた気が抜けたのか、だんだんと瞼が重くなってくる。夢うつつで遊木が出してくれた部屋着に着替え、ベッドに横になる。柔らかい枕が、ずきずきしていた頭を優しい感触で包んでくれる。
「……そういえば、お前たち、学校は」
 ふと気づいて、うつらうつらしてきた意識を無理やり振り絞って尋ねると、遊木と乙狩は一瞬きょとんとしてから顔を見合わせて笑った。
「今日、祝日ですよ。あと僕は完全オフです」
「俺も今日は夜にインタビューが1件あるだけだ」
 そうか、自分は暦もよくわからなくなっていたのかと、改めて思う。そう、口に出したかもしれないが、だいぶ意識が遠のいてきたのでよくわからない。ただ、遊木と乙狩の優しい声だけ、完全に眠りに落ちる前の耳に届いてきた。
「今日は僕らが付いてますから、安心して休んでくださいね」
「ああ、体調が悪い時に一人は心細いものだからな」
 そうか、自分は一人ではないのか。
 そう思ったのを最後に、守沢の意識は完全に眠りの世界へと落ちていった。




『ちーちゃん先輩のこと、気を付けてあげて! あの人、結構ポンコツだから!』
『いやほらスバル、言い方……まあ、頼りになるけど無理しがちな人だから、ちょっと気を付けてくれると助かる』

『守沢殿のこと、何かあったらよろしくお願いしたいのでござる! すぐに無茶をする御仁であるからして!』

『守沢ってさあ、すーぐ無理するんだよねえ。ちょっと気にしといてくれる?』


『千秋さんなあ、無茶するわりに人に頼るのが苦手な子だから、気を付けてあげて欲しいんだなあ』

『もりっちってさあ、頑張りすぎて時々ぶっ倒れることあるんだよねえ……もしもりっちが無理してるようだったら、悪いんだけどベッドに叩き込んであげてくれない?』



(きみはみんなに心配されてるんだよ?)

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