停職3日――。
個人情報を外部に持ち出した。公益通報によって組織を動かすには、何よりも証拠がいると思ったからだ。
それは、懲戒処分の対象となった。
司法の場で争い、正当性は認められた。今でも通報は間違っていなかったと思う。ただ、居場所は失ったままだ。
困っている人を助けたい
55歳の正さん(仮名)は30年近く、京都市役所で働いてきた。入庁以来、ある職場をずっと希望してきた。
市の児童相談所(児相)。育児や子供の発達などに絡む相談を受け付けている。とりわけ、よく知られているのは暴力やネグレクトなど虐待への対応だ。
母の手一つで育ててもらったことから、家庭環境と子供の成長がどう関わり合うのか、関心を持ち続けていた。
生活保護のケースワーカーなどを経て、入庁から15年の2012年、ようやく希望がかなった。
担当したのは虐待への対応だった。家庭内で何があったのかを調べ、親子に介入していく。時には子供の養育を考え、親子を引き離すこともある。
「忙しかったけれど、やりがいがありましたし、親子関係を修復できた時は、達成感で涙を流すこともありました」
困っている人を助けたい、なんとかしてあげたい。真っすぐな思いが仕事に向かわせていた。
こみ上げてくる怒り
児相に来てから2年がたった秋だった。見覚えのある顔が児相にあった。
ある児童養護施設の施設長だった。施設は親の育児が難しい子供たちが暮らす場所。正さんが以前に担当していた子供が入所していたこともある。
その施設長は、児相の所長と話し込んでいた。何か不祥事でもあったのか。胸騒ぎに駆られた。
子供たちの情報を管理するシステムにアクセスしてみた。すると、ある記録を見つけた。2カ月前に受け付けられた電話の内容が記されていた。
事態は思わぬ方向に転び始めます。その詳細は記事の後半で
「施…
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