子どもへの性暴力を許さないという考えこそ重要、防犯カメラや性犯罪歴確認はそのためのツールに過ぎないと専門家が指摘
子どもへの性暴力を防ぐ新しい法律が来年12月に施行されるのにむけて、学校や保育所などが行うべき対策の詳細を盛り込んだガイドライン案が22日、おおむねまとまりました。教育政策の研究者で子どもへの性暴力対策に詳しい末冨芳さん(日本大学教授)は「防犯カメラなどは対策のごく一部に過ぎず、大切なのは子どもへの性暴力を許さないという考えを社会全体にシェアできるかだ」と強調しました。 【画像】子どもへの性暴力を防ぐ スウェーデンが進める“初犯”を防ぐ取り組み 末冨教授は、12月17日、埼玉県の西川口榎本クリニックでの講演で、子どもへの性暴力をなくすために大切なことについて、「防犯カメラや日本版DBS(子どもと接する職員の性犯罪歴を調べる仕組み)についてばかり語られるが、それは対策のごく一部に過ぎない。防犯カメラを設置すればそれでOKではない。子ども性暴力防止法はあくまで“ツール”(道具)であって、それを稼働させるには、大人の側が“子どもへの性加害を許さない”という考えを持って行動し、それを社会全体にシェアできるのかにかかっている」と強調しました。 子ども性暴力防止法のガイドライン案には、子どもへの性暴力事案が起きた場合には、事業者はまず、警察に連絡することが明記されましたが、これについて末冨教授は初動調査のノウハウを持っている警察にまず協力をあおぐのは適切だと評価しました。一方で、「その後、加害者を治療につなげることや被害者へのケアを行う必要があるが、専門家や支援団体は東京や大阪など大都市に集中し、地方にはこの分野の知識を持った弁護士、公認心理師、ソーシャルワーカーなどがいない」と指摘。地域間で対応に大きな差が出てしまう、と警鐘を鳴らし、今後、地方自治体が正規職員としてこうした専門職を採用する、各地の大学病院の精神科などが、被害者のケアを担うほか、加害者を(依存症患者ととらえて)治療できるようにする必要があると訴えました。 そして、子どもへの性暴力を未然に防ぐための「一次予防策」としては、包括的性教育と子どもの権利の教育が必須だと主張。また、子どもの盗撮やわいせつ行為をしてしまう人が一定数いるという前提にたつと、糾弾するだけでは解決しないとして、そうした人が相談しやすい環境を作り、相談してきた場合には、身分を保ったままで異動させ、とにかく子どもから遠ざけるようにすべきと提起しました。