「洗脳されていた」 被害女性が問う学校の安全管理体制 小学館漫画原作者“性加害”問題~「こども性暴力防止法施行」まで半年
■学校側に求めることは―
Aさんは、こうした性被害によりPTSD(心的外傷後ストレス症)などに苦しんだとして、男性と学校法人を相手取り、損害賠償を求め提訴。札幌地裁は2月、男性に対して1100万円の賠償を命じた。一方、学校側については「不法行為は授業等と関連しない日時・場所で行われた」などとして請求が認められず、今後控訴審で争うという。 Aさんは、これは個人の問題ではなく、学校の安全管理の問題だと強く訴え、学校側に求めることを具体的に7つ挙げた。 ・独立した第三者による事実調査を行い、誰が、いつ、何を把握し、なぜ対応しなかったのかを明らかにすること。 ・被害を受けた人の安全と個人情報に配慮した上で、調査結果、学校側の責任、再発防止策を公表すること。 ・講師と生徒との私的な連絡、送迎、一対一の接触について、明確な規則を設けること。 ・全ての講師と管理職に対し、権力差、性的グルーミング、境界線、性被害、二次被害について、外部専門家による継続的な研修を行うこと。 ・学校から独立した相談窓口を設置し、相談した生徒が不利益を受けず、安全に保護される制度を整えること。 ・問題を把握した職員に、記録、報告、安全確保、外部機関への連携を義務づけること。 「私は、謝罪の言葉だけを求めているのではありません。学校側が、自らの不作為と組織上の問題を認め、同じ被害を二度と起こさないための、具体的で検証可能な改善を実施することを求めています」 ■「あなたは悪くない」被害が自己責任化される社会 Aさんが最後に、被害者の周囲や学校、そして社会全体に対して求めたことがある。 「被害を受けた側の反応を、被害の有無や重大性を判断する材料にしないでほしいです。逃げられなかったこと、明確に断れなかったこと、相談できなかったこと、相手に依存したこと、被害だと認識するまで時間がかかったことは、被害を否定する理由にはなりません。性的な知識や、自分に起きたことを説明する言葉を持っていなかったこと、性被害を口にすることに強い抵抗があったことも、本人の落ち度ではありません。相手が大人であり、教師や講師であり、学校での居場所や将来に影響を与える立場にあったのであれば、そもそも対等な関係ではありません。私自身も、自分を苦しめた本人に、苦痛を理解し、責任を取ってほしいという思いから依存していました。しかし、それは被害を望んだことや、自由に同意したことを意味しません。性被害は、身体や生活だけでなく、『自分は大切にされ、守られるべき存在である』という感覚まで奪うことがあります。さらに周囲が反応せず、被害を無視し、本人の性格や判断の問題として扱えば、被害を受けた人は、その苦しみまで自分の責任だと思わされます。私も、周囲の無反応によって、問題は相手や学校ではなく自分自身にあるのだと思い、回復するための足場を失いました。周囲の沈黙は、中立ではありません。被害を受けた人が自分を責めている状況では、何もしないことが、加害した側の説明を補強し、孤立と自己責任化を深めることがあります。社会に対しては、『なぜ逃げなかったのか』『なぜ断らなかったのか』『なぜすぐに相談しなかったのか』と、被害を受けた側を問い続けることをやめてほしいです。問うべきなのは、なぜ力を持つ側がその立場を利用できたのか、なぜ周囲や学校が止めなかったのか、なぜ安全な相談先がなく、問題を知った組織が動かなかったのかということです。 私は、この被害を、個人間の不幸として終わらせてほしくありません。被害を可能にした権力差、学校の不作為、被害を本人の責任へ押し戻す周囲のあり方を検証し、同じ被害が繰り返されない制度へ改めることを強く求めています。 同じような被害に遭い、苦しんでいる方へ伝えたい言葉があります。あなたが苦しまなければならないのではありません。あなたを苦しめている状況の方が、終わらなければなりません。あなたは悪くありません」