幼児死亡の遺族は「被害者を苦しめる判決」…禁錮4年の被告「運転中の着替えは48回くらい」噴飯証言

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「かなり残念で、ものすごくどん底まで落とされた気持ちです」

判決後の記者会見で、1歳の幼児を亡くした遺族はこう悔しさをにじませた。

7月15日、高知地裁は自動車運転過失致死傷罪に問われている無職・竹崎壽洋被告(62)に禁錮4年の判決を下した。事故が起きたのは2024年9月だ。竹崎被告は高知県香南市の高知東部自動車道で、運転中に両足の靴を履き替えようとするなど「ながら運転」。不注意により対向車線の乗用車と正面衝突し、対向車に乗っていた1歳の神農煌瑛(こうえい)ちゃん(当時1)が死亡したのだ。

「同乗していた煌瑛ちゃんの両親や姉も骨折などの重軽傷を負いました。竹崎被告は法廷で、以前に何度も運転中に着替えをしていたなどと信じられない証言をしています。検察側の求刑は禁錮7年。しかし裁判官は『悪質な運転態様』としながらも、竹崎被告が罪を認めていることなどから禁錮4年の判決となったんです。

判決後に会見を開いた煌瑛ちゃんのご両親は『被害者を苦しめる判決でした』と語りました。『裁判官の方たちはどういう思いで裁判に取り組んでいるのか、あらためて疑問に感じました』と。遺族の弁護士は『明らかに理由の説示を欠いており、結果として著しい量刑不当』とも話したんです」(全国紙司法担当記者)

被告の「ながら運転」により尊い幼児の命が奪われた今回の事故。ジャーナリストの柳原三佳氏は、高知地裁で行われた裁判を傍聴し遺族からも話を聞いている。4月に行われた被告人質問について柳原氏が執筆した『FRIDAYデジタル』の記事を以下に再録し、事故の詳細や竹崎被告の呆れた言動を紹介したい――。

「時間短縮のために……」

4月13日、高知地裁で行われた被告人質問。厳しい口調で問いただす検察官に淡々と答える竹崎被告。そのやり取りは異様で、信じがたいものでした。この日検察官は、被告が車を運転中、日常的に行っていた「ながら運転」について、以下のような質問を次々と浴びせました。

検察:(運転中の)服やズボンの着替えは、合計何回くらいやったのか。

被告:月平均2~3回、2年間だと、まあ48回くらいですかね。はっきり覚えてはいません。

検察:どうして運転中にやるんですか?

被告:時間短縮のために……。

検察:到着後でもいいですよね。なんでそんなに横着なことをするんですか!

被告:すみません。時間短縮のために……。

「ながらスマホ」の危険性が大きな社会問題となり、ここ数年、罰則も強化されてきました。しかし、自動車専用道路を運転中に「ズボンの履き替え」までするドライバーがいたとは……。法廷で語られる常軌を逸した運転行為の数々に、傍聴席からは思わずため息が漏れるほどでした。

事故は2024年9月21日、午後0時50分ごろ、高知東部自動車道で発生しました。午前中にゴルフを終え、自車(クラウン・クロスオーバー)を運転していた竹崎被告は、突然、中央線を突破して対向車線に飛び出し、家族4人が乗った対向車に正面衝突したのです。その瞬間は、被害車のドライブレコーダーに鮮明に記録されていました。

この事故で運転席の神農諭哉さん(当時33)と助手席に乗っていた妻の彩乃さん(同37)が重傷、後部座席に乗っていた長男の煌瑛ちゃんが死亡、煌瑛ちゃんの隣に乗っていた姉が軽傷を負ったのです。

竹崎被告が在宅起訴されたのは事故から11ヵ月後のことでした。起訴状によれば、被告は自車に搭載された「レーントレーシングアシスト(LTA)」という車線中央付近を走行する運転支援システムを過信し、走行中に革靴からサンダルに履き替えようとシートベルトを外して助手席に手を伸ばした際、ハンドルを右に切って対向車線に飛び出したとされています。

起訴内容を認めた被告は、「事故を起こしたことについては大変申し訳なく、取り返しのつかないことをした。自分は刑務所に行くべきだと思っています」などと反省の弁を述べ、法廷で神農さん夫妻に謝罪しました。しかし、「事故当時のことはまったく記憶がない」「車内で何をしたかも覚えていない」と繰り返し、結果的に自らの言葉で事故時の様子が語られることはありませんでした。

「ズボラでした」

この日は、1歳になったばかりの我が子を亡くし、自身も重傷を負った彩乃さんが、被害者参加制度を利用して竹崎被告に直接質問を行う場面もありました。

「あなたはなぜ、常習的に危険な運転をしていたのですか」

振り絞るように発せられた母親のこの問いに対して、竹崎被告はうつむきながらこう答えました。

「自分がズボラでした。すいません……」

「自動運転」という言葉を頻繁に耳にするようになった昨今ですが、現在、日本国内で販売されている車は、レベル1とレベル2の「運転支援システム」のみ(最高レベルは5)で、あくまでも「ドライバーの監視」が必要とされています。

つまり、車に「レーントレーシングアシスト(LTA)」という機能がついていても、ドライバーがハンドルから手を離したり、ましてや走行中にズボンや靴の履き替えを行ったりすることは前提としていないのです。

スマホの使用をはじめ、運転中にこうした「ながら運転」を行い、重大事故を引き起こした場合、「過失」ではなく「危険運転」とみなして処罰すべきではないかという声も、ここ数年で一気に高まりました。しかし、今年3月末に閣議決定された「危険運転致死傷罪」の改正法案に、「ながら運転」という類型は盛り込まれませんでした。

4月の公判後に行われた記者会見で父親の諭哉さんはこう訴えました。

「今日の裁判中は怒りで体が震えました。ゴルフ場に発泡酒を持ち込んでひと口ふた口飲んだという話も出て、飲酒運転する気満々だったこともわかりましたし、運転中にズボンをどうやって履き替えるのか、目の前でやってみろやって思いました。なんでこんな人間に息子は殺されたのか、どこまでバカにされ、我慢しないといけないのか……。

そして、こんな危険な『ながら運転』が、今回の法改正で『危険運転致死傷罪』の項目に入らないというのも、本当に理不尽極まりないと改めて感じました。命って一度奪われたら帰ってこないんですよ。本当に、もっとみんなが考えていかないと変わらないと思っているので、亡くなった息子のためにもできる限り動いていけたらと考えています」

――冒頭で紹介した判決を受け、神農さんは控訴に向けた署名活動を始める予定だ。

取材・文:柳原三佳(ジャーナリスト)