育休を取得する習慣はない
では、女性にとって働きやすい国なのだろうか。
実は、現地では、育児休暇を取得するという感覚はなく、妊婦も出産の1か月前くらいまで働き、出産後も、日本のように育児休暇を1年間取得する習慣はない。男女が平等に昇進する代わりに、出産後、赤ちゃんとゆっくり過ごす時間もない。
その分、シンガポール人は、ウィークデーは保育所+祖父母の自宅で過ごし、週末のみ両親が連れて帰り面倒をみるといった習慣がある。
つまり、祖父母がシンガポールに住んでいない日本人には、ワンオペになりがちかもしれない。日本人駐在員の帰宅が遅く、奥様が育児ノイローゼーになり離婚した例も多い。
それでも精神的にも体力的にもたくましく、積極的に異文化コミュニティに入り込める人には向いているかもしれない。
給与は高いが、物価も高い
もう一つの問題は物価高である。
シンガポールの給与は、平均で750万円から800万円ほどであり、日本の1.5倍から2倍と高く、上昇率も4~5%である。
しかし、物価はそれ以上に高い。
英米に比べるとそこまで高い英語力を求められておらず、日本企業などに採用されやすい。しかし、現地採用の場合、家賃手当が出ないケースもあり、いくら給与が高くても生活コストが払えないこともあるだろう。
最近、海外駐在員が減少している。現地の家賃手当や日本と現地の2か所での賃金などコスト負担が増加しているためである。シンガポールも同様である。
1人用のコンドミニアムでさえも賃貸は月30~40万円し、ファミリータイプだと70万円するところもある。シェアハウスのように一緒に住むこともある。
セキュリティは落ちるが現地の9割の人が住んでいるHDBは、日本の公営住宅やURのような住宅であるが、数千万円から購入できていたのが、現在では部屋のサイズによって1億円もするところもある。
基本的に外国人労働者は購入できないが、大家さんの承認を得て、入居条件があえば賃貸できるケースもある。たくましい人には乗り越えられるかもしれないが、慣れていないとハードルが高いだろう。