【短編小説】残酷な放漫──とある病院での出来事
ここは、A地区の「放漫病院」と名高い悪徳病院である。看護師は、患者を厳しく律するが、放漫で世話をすることがほとんどない。しかしこの悪徳病院では、一か月に300円しか患者側から徴収しないという約束──それは、患者にとって胸を撫で下ろす境遇──があった。悪徳病院とはいえ、燃費のいい車に乗るような支払いで済むのは、患者側に少なからず希望を抱かせたようだった。看護師の中には、ちゃんと患者と向き合いたいものがちらほらみられた。それは、コロナ禍を抜け出て脱皮したかのような、そんな方たちが希望と期待を胸に看護師になった者たちであった。患者の土井くんは、看護師とエッチがしたかった、という。いつも性欲の処理に困っていた。看護師の類際は(るいきわ)は、そんな彼を応援したい、支えたいとは思っていた。性欲に溺れた土井くんが視界に映った。未来でも見えたのであろうか。女看護師たちのエッチな性育が始まる予感がした。土井くんは、性交パーティーでも開かれる気がした。「女看護師の美しい体躯と女性ホルモンが漂う病院」へ変化したこの「放漫病院」は、もはや「性育病院」へと変貌していった。土井くんは、興奮を抑えられなかった。女看護師12名が周囲にいるという現状に嘘のような、でも素晴らしいマジックでも見たような感覚を覚えた。
土井くんは、精液をぷしゅう、ぷしゅう、と飛ばした。それを常葉(ときわ)という看護師が舐めるよりも前に土井くんのそれを口で抱擁した。「舐めてあげる」と土井くんの高揚を誘った。土井くんは、幸せとはこういうことではない、と学んだが、快楽を体験することによる浮き沈みを感じたことは為になったようだった。エッチをしたければ、精液が出るのは我慢すべきなのではないか、という勉強があったからである。精液が搾り取られたことに、エッチは厳しいという現実が立ちはだかった。
終。


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