メモリーの価格高騰で国内半導体メーカーの事業環境に不透明感が出てきた。民生機器や産業機器、自動車などの生産に影響が出る可能性があり、半導体企業には逆風となる。メモリー大手のキオクシアホールディングスは2026年3月期の純利益が前期比8割増える見通しだが、製品に使う短期記憶用メモリー(DRAM)の調達に影響が出ている。国内半導体4社の決算からメモリー価格高騰の影響を読む。
キオクシアは2026年3月期の純利益が会社予想の中央値で前期比78%増の4837億円になる見通し。人工知能(AI)サーバー向けに長期記憶用のNAND型フラッシュメモリーの需要が伸び、2025年7~9月期以降に価格が上昇している。香港の調査会社Counterpoint Research(カウンターポイントリサーチ)はパソコン向けのNAND価格が2026年1〜3月期に前四半期比100%、4〜6月期に15%それぞれ上昇すると予測する。サーバー向けも同年1〜3月期に90%、4〜6月期に20%の上昇を見込む。
価格上昇を追い風にキオクシアの業績は四半期ベースで右肩上がりだ。2026年1~3月期は売上高に当たる売上収益が会社予想の中央値で前年同期比2.6倍、純利益は17倍となる見通し。同社専務執行役員の花澤秀樹氏は2026年2月12日の決算説明会で、2026年通年でも「需要が供給を大きく上回る」との見通しを示した。メモリー各社は値崩れを防ぐため、NANDの生産能力を大幅には増やしていない。
2025年4~12月期の売上収益は前年同期比2%減の1兆3347億円、純利益は42%減の1467億円だった。2024年4~12月期のNAND市況が良かったため、減収減益となった。2026年1~3月期の急激な業績拡大で、2026年3月期通期では増収増益に転じる。すでに2027~28年に向けた長期契約の提案が顧客からあるという。
ただ、メモリーの価格高騰はキオクシアには逆風となる面もある。SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)の一時記憶に使うDRAMを外部調達しており、DRAMの価格高騰は「調達コストに一定のインパクトがある」(花澤氏)。調達先の多様化や顧客への価格転嫁で影響を緩和する。