ウソノワールがマコトジュエルを集め続けている。このままのペースでいけば、全てのマコトジュエルが集まって世界が嘘に覆われてしまう。そんなことはさせない。私とるるかの関係を嘘にさせていいはずがない。るるかは私が守るんだ。私が死んでしまっても、るるかが生きていれば私はそれでいいんだ。だって……私は強いんだから。
キュアット探偵事務所前
「んー!!」
私は両手を上に向けてぴーんと伸ばす。背筋の血流が良くなっていくのが伝わってくる。
怪盗団ファントムと戦っているだけでは心身共に披露してしまう。だから今日は、息抜きをしに行くことにしていた。
「お待たせくれあ……待った?」
キュアット探偵事務所の扉が重く開き、るるかが出てくる。るるかは、淡い色のブラウスにやわらかなフレアスカートを合わせていた。派手すぎないのに、どこか特別感のある装いだった。少し強い風が吹き、るるかの髪が揺れていく。可愛い。そう思った瞬間、私は少しだけ胸が痛くなった。今日のこの時間が、いつ壊れてもおかしくないことを知っていたから。
「変……?」
るるかはおそるおそる聞いてきた。その声が少し震えていたから、私はすぐに首を横に振った。
「全然変じゃないよ。むしろ似合ってる。すごく可愛いよ。」
「そ、そう……良かった……。」
るるかが目を逸らして顔を赤く染めている。私に褒められただけで照れてるのかな。いかにもるるからしかった。……ウソノワールはこんな大切な時間も、思い出も、何もかも嘘にしようとしているんだ。絶対に許さない。るるかとの記憶を失わせたりなんかさせない。私が……私がウソノワールをこの手で倒すんだ……全ては……るるかのために……!!
「どうしたのくれあ?」
「はっ!!な、なんでもないよるるか。さぁ行こっ♪」
ぎゅっ!!
「う、うん……。」
わ、私……るるかとお出かけをするのに、戦うことを考えてしまってた。今日は羽を休ませるためにマシュタンとシュシュタンにはお留守番をしてもらってるんだよ?るるかとの時間を過ごしていきたいのに、そんなこと考えたら……駄目だよね……。
まことみらい市 公園内
とは言ったものの……
「あむっ♪」
るるかはコーンに乗った10段アイスを食べてご満悦だった。るるかといっぱい服屋を見たり、ゲームセンターに寄ったり、お菓子を食べたりしたかったのに……。アイスクリームは一応お菓子……なのかな……?るるかは私が手作りのアイスを食べさせた時からアイスが好きになって食べているけれど……。
「るるか、アイス食べ過ぎじゃない?そんなに食べているとお腹壊したり、太ったりするよ?」
「大丈夫。くれあは心配性すぎる。」
……るるかがそうさせるんでしょう!!私の気も知らないで!!もう!!でも……
「バニラアイス……美味しい……でも、くれあの作ったバニラアイスの方がもっと美味しいかな。」
私のことを褒めてくれるから困るんだよね、全く。
ドンッ!!
「あっ……」
ペシャ!!
るるかが人にぶつかって、美味しく食べていた10段のアイスクリームを地面に落としてしまう。
「アイス……私の……アイス……。」
るるかはその場で足を崩して涙ぐんでいた。るるかにぶつかった人はそのことすら知らなかったみたいで、そのまま消えていきそうだった。いくら電話をかけているからと言って、人にぶつかったのに気付けないだなんて失礼にも程がある。
「うぅ……アイスがぁ……。」
るるかが溶けていくアイスを見て涙を流す。その涙を見て、私の怒りは頂点に達した。
……るるかを泣かせたんだ、あの人。
「ここで待っててねるるか。」
私は怒りを抑えながらも、るるかにぶつかった人に声をかけに行った。
「すみません。」
「はい?なんで……ひっ!?」
私がどんな顔をしているのかは私自身にも分からない。きっと、男の人が悲鳴をあげて目を合わせられていないということは、私はきっと相当怖い顔をしているんだと思う。
「私のパートナーにぶつかりましたよね。」
私は静かに言った。声は落ち着いていたけれど、感情だけは隠しきれなかった。
「そのせいで、大好物のアイスクリームを落としてしまったんです。謝ってくれませんか?」
「す、すみません……仕事の話をしていて……」
「それはいいですから、早くるるかに謝ってください!!」
威圧的になってしまう。男の人は怯えてしまった。るるかも私の後ろからやってきていて、男の人と目線があった。
「あっ……ごめんねお嬢さん。1000円あげるから、これでまた新しいアイスクリームを買うんだよ。それじゃあ、本当にすみませんでした!!」
男の人はペコペコと頭を下げて去っていった。
「くれあ……私のためにあんなに怒ってくれるの、嬉しかった。ありがとう。」
るるかがそう言って、私は胸を洗われる。
あぁ……るるかの純粋無垢で、穢れのない笑顔はいいなぁ……。私は、るるかの全てを守りたい。るるかを傷付けて、苦しませるのは許さない。そんなことはさせない。絶対に。るるかは……私が守るんだ。