「無駄な仕事を早く終わらせると、損をする」…優秀な会社員たちが“業務効率化”をしない納得の理由
もちろん、現場の社員には「従順な部下」という信頼を傷つけたくないという心理や、上司に対して角が立つことを言いにくいという理由もあるだろう。しかし、「従順な部下」という仮面の下では、実はもっとしたたかで現実的な「損得計算」が働いていることが多いのだ。 一言で言えば、改善などせず、無駄な仕事をそのまま続けていたほうが「自分にとって得になる」という構造が存在するのである。 ■「効率的に仕事を終わらせる」ことの会社員的デメリット
まず挙げられるのが、残業代の問題だ。成果ではなく「働いた時間」に対して報酬が支払われる日本の多くの職場では、どんなに無駄な作業であっても、頑張って長時間働けば、当然ながら超過勤務手当が支給される。 もし画期的な効率化が実現し、毎日定時で仕事が終わるようになったとしたら、残業代を前提に家計を支えている人間にとっては死活問題となる。仕事の分担が曖昧で、個人の貢献度や具体的な成果を客観的に評価しづらい日本企業では、このような「不合理な超勤稼ぎ」が、生存戦略としてまかり通っている現実がある。
また、評価の側面も見逃せない。部下としては無駄だとわかっていても、がむしゃらに汗をかいて働いている姿を見せたほうが、「あいつは頑張っている」というアピールにつながりやすい。逆に、要領よく仕事を効率化し、涼しい顔をして定時に帰るようになれば、それが必ずしも正当に評価されるとは限らないのだ。ゆとりを持って仕事をしていることが、人事考課における「情意面」(意欲や態度)でマイナスに作用する可能性さえある。
さらに言えば、「仕事ができる人」「早く終わらせる人」と認識されれば、空いた時間に別の仕事が容赦なく降ってくるかもしれない。下手をすれば他人の雑用まで押し付けられ、「便利屋」として使い潰されるリスクもあるのだ。 ■真っ先に削減されるべき無益なプロジェクトがなぜ会社の「聖域」に? 「いや、上司はそれくらい見抜いているはずだ」と思うかもしれない。たしかに、無駄な努力を続ける部下より、効率化して楽々と成果を出す部下のほうが会社にとって有益であることくらい、上司も頭では理解している。しかし、上司の側にもまた、独自の損得計算が働いている。