日本人トラブル多発、欧州「切符買ったのに罰金」の罠とは? 路面電車やバス「ルール知らなかった」は通用しない
■なぜ最近トラブルが目立つのか 昨今、日本国内における外国人観光客の振る舞いについて、快く思わないという意見を頻繁に目にする。「日本に来るならきちんと勉強してからにしろ」「日本語を学んでこい」という話は、この信用乗車についてはそっくりそのままブーメランで返ってくる。旅行前に信用乗車方式をきちんと理解し、正しいチケットの買い方・使い方を知っていれば、高額な罰金を払うことにはならないはずだからだ。 しかし、昔からある信用乗車方式で、なぜ最近になって不正乗車で捕まったという話が多く見られるようになったのだろうか。これはあくまで仮説にすぎないが、筆者はインターネットの普及こそが、このトラブルの一因ではないかと考えている。
不正乗車トラブルで罰金を請求された人の話をまとめると、そのほとんどが信用乗車方式のルールを理解していないことに気づく。さらに調べていくと、その多くは各都市の交通事情についてまったく調べていないか、調べていたとしてもよく分かっていなかった、あるいはどこを調べたらいいかわからなかった、といった話に行き着く。 まだインターネットが今ほど普及しておらず、スマホやタブレットもなかった時代、多くの旅人はガイドブックを片手に旅をしたものだ。
ガイドブックは、各国各都市の観光ガイドやホテル、レストラン情報だけではなく、各国の政情や通貨、治安、交通事情など、旅に必要な情報をほとんど網羅している。信用乗車方式を含む、各国の公共交通機関の乗り方についても解説されている。旅に出かけるとき、ガイドブックを買って、往路の飛行機の中で暇つぶしに読んでいると、自然とこうした情報も頭に入ってきていたし、現地到着後にわからなければ、そこでガイドブックを読み返すこともできた。
【写真をもっと見る】ヨーロッパの「信用乗車方式」の地下鉄や路面電車。正しい切符を買っているのに「罰金」を取られないためにはどうする? 乗る前に切符を通す「刻印器」や改札のない地下鉄駅、そしてヨーロッパ各地を走る路面電車の姿 ■訪問先のルールを理解して旅を インターネットは、自分の知りたい特定の情報を探すことに関しては長けている。だが、それ以外の余分な情報については教えてくれない。目的地の都市の観光スポットについて調べることはあっても、公共交通機関のチケットの買い方や乗車時の注意点などを事細かに検索する人は少ない。本のように「強制的に」目に入ってくるわけではないから、調べたとしても興味がなければ斜め読みをしてしまうだろう。
インターネットの普及によって、私たちの生活は格段に便利となったが、その一方で、今までは当然だったことが知らず知らずのうちに失われているのではないか、ということをこの一件で再認識させられた。 目的地だけでなく、交通手段の利用方法といった現地のルールについても忘れずに調べることが重要だ。
橋爪 智之 :欧州鉄道フォトライター