【夏休み、先生方が最も注意すべきもの】
先生方がこの夏休みに最も注意すべきもの。それは、教員の怒り、不安、疲労、正義感を金に換え、人生の判断まで狂わせる、悪質なメディアと情報商材屋です
今、教員の苦しさは「商品」になっています
「学校現場は崩壊寸前」
「文科省が現場を見捨てた」
こうした強烈な見出しは、事実を正確に伝えるためだけに作られているのではありません。
教員を不安にさせるためです。怒らせるためです。
記事を開かせ、最後まで読ませ、引用させ、仲間に拡散させるためです。
先生が怒れば、アクセスが増える。
先生が絶望すれば、動画が再生される。
先生同士が批判し合えば、投稿への滞在時間が伸びる。
教員の感情が激しく動くほど、誰かの広告収入が増えていきます。
たとえば、一人の教員が「給食を40秒で食べた」と投稿する。
それが拡散される。
メディアが「壮絶すぎる学校現場」「教師に休憩は存在しない」と記事にする。
教員が「これが現実だ」とさらに拡散する。
世間には、「教師は全員、毎日40秒で給食を食べている」かのような印象が広がります。
もちろん深刻な実態はあります。
しかし、一部の強烈な事例ほど目立ち、それが業界全体の標準であるかのように流通する。
結果、教員自身まで「どこへ行っても同じだ」「何をしても変わらない」と思い込んでしまいます。
ここで待っているのが、次の搾取です。
教員を徹底的に不安にさせた後で、
「教員を辞めれば自由になれます」
「半年でフリーランスになれます」
と優しく近づいてくる人が現れます。
最初は無料相談。次にLINE登録。
そして高額講座、コンサル、オンラインサロン、起業塾へと誘導される。
「今決断できない人は一生変われない」
「自己投資できない人は成功しない」
「あなたが苦しいのは行動しないからだ」
そう言われ、弱っている教員が数十万円を支払ってしまう。
これは、教員を救っているように見せながら、教員の不安が消えないことで利益を得る商売です。
教員が元気になり冷静になり今の職場を改善できてしまえば、商品は売れません。
だから「学校は絶対に変わらない」「管理職は全員敵だ」「教員を続ける人は思考停止だ」
という極端な物語を繰り返す。
逃げることが必要な人はいます。
転職や独立で幸せになる人もいます。
有益なサービスも存在します。
しかし、教員の不安を最大化した直後に、自分の商品だけを唯一の出口として差し出す人には、最大限の警戒が必要です。
先日、文科省が夏休み中の学校施設の活用について言及した際も、具体的な内容が分からない段階から、SNSには強い怒りがあふれました。
私は「全容が分からないうちに推測だけで騒ぐのは得策ではない」と発信しました。
黙って従えという意味ではありません。
本当に抵抗すべき内容なのかを見極める前に、感情だけを消費させられてはいけないという話です。SNSでは、慎重な人よりも、早く怒った人が評価されます。
「よく言ってくれた」「現場の代弁者だ」
という共感は、即座に得られる報酬です。
一方、業務を減らす、管理職と交渉する、仕事の手順を変える、断る、学び直すといった本当の改善には、時間と摩擦が必要です。
だから、問題を解決するよりも、問題を語り続ける方が楽になる。
教員は「情報のジャンクフード」を食べさせられているのです。
悪質なメディアや情報商材屋が最大の問題であることは間違いありません。
しかし、私たちが毎回怒り、記事を開き、引用し、拡散し続ければ、その商売は終わりません。
「こんな記事は許せない」と言いながら記事を広める行為は、批判に見えて宣伝です。
「こんな商材屋に騙されるな」と何度も名前を出せば、その人の知名度を上げることにもなる。
最初に騙された人を責めるつもりはありません。
疲れているとき、不安なとき、強い言葉や優しい誘いに救われることはあります。
しかし、何度も同じ構造に怒らされ、毎回時間を奪われ、そのたびに「教員は搾取されている」と叫ぶだけなら、私たち自身も情報との付き合い方を変えなければなりません。
一次情報を確認する。自分に都合のよい話ほど疑う。
「教員を救う」と言う人が、教員が救われることで利益を得るのか、教員が苦しみ続けることで利益を得るのかを考える。
怒ることと、行動することは違います。
共感を集めることは、業務改善ではありません
誰かを論破することは、勤務時間の短縮ではありません
先生方の苦しさは、記事の材料ではありません
先生方の怒りは、広告収入の燃料ではありません
先生方の人生は、高額講座を売るための導線ではありません
悪質なメディアと情報商材屋に、感情も、時間も、人生の主導権も渡さないでください
搾取するなと叫ぶだけでは足りません。
私たち自身が搾取されにくい情報の受け手になりましょう