「セクハラ受けてナンボ」カメラがある車内で着替えも… 女性トラックドライバーの労働環境を変えるために必要なことは?
おかしい環境に気付いていない
「声を上げられない」理由は他にもある。 なかでもこの業界の女性に浸透しているのが、「そもそもその環境が、世間的にみるとおかしいものであることに気付いていない」という点にある。 作業服で仕事をする現場にもかかわらず、運送業界には女性用トイレどころか更衣室がないところが多い。 しかし、先に紹介した通り、業界には車内ドラレコを男性に確認される気持ち悪さを訴える女性がいる一方、「車内で着替えるから更衣室はいらない」「直帰するだけだからあっても使わない」とする人も少なくない。 更衣室があったら、少しでも自分の行動に対して選択肢が増えているかもしれないとは考えず、「今の環境」に順応してしまう。日々「超男性社会の現場」に対峙(たいじ)している人たちには、この業界の非常識に気付く余裕はないのだ。 先日ドライバーに行ったアンケートでは、転職回数で最も多かったのは「6回以上」。「転職を繰り返しているので世間のことはよく知っている」という声もあったが、同じブルーカラー間の転職という「横の移動」を繰り返しているだけでは、見える世界はそれほど変わらない。
「好きで入ってきたんだから」で我慢する女性
もうひとつ、女性ドライバーが不満を口にできない大きな要因に気付いたのは、最近聞いたある女性ドライバーのひとことだった。 「男性ばかりの業界に、自らすすんで入ってきたので、不満を言いにくい」 個人的な話になるが、筆者は工場を経営していた父の急病がきっかけで現場の仕事を始めた。好きで始めたわけではなかったため、女性視点はもちろん、ブルーカラー全体にある「働きにくさ」をそのまま言葉にできたが、彼女たちは違った。 自ら男性社会に進んで足を踏み入れたがゆえ、それ自体が負い目になり、「働きにくい」と声を上げられないでいるのだ。 実際、女性が働きにくさを訴えると「ならば辞めろ」といった言葉が投げかけられる。 絶望的なのは、彼女たちにこうした根性論を押し付けるのが、男性だけではないということにある。