「セクハラ受けてナンボ」カメラがある車内で着替えも… 女性トラックドライバーの労働環境を変えるために必要なことは?
女性ドライバーの「本当の悩み」
筆者のもとには、毎月様々な悩みを抱えた運送事業者や現場労働者から20〜30件ほどの相談が来る。 なかでもこの5年ほどで急増しているのが、女性トラックドライバーからの相談だ。これまで対応した女性ドライバーは80名を超える。 とくに多い相談は「相談できる上司や先輩、仲間がいないこと」だ。 「身体にまつわる話は男性上司に相談しにくい」 「同僚の男性ドライバーからのセクハラを相談したら、セクハラで返された」 「男性上司に生理痛と言いにくく『体調不良』としたら自己管理がなってないと怒られた」 「結婚や妊娠、出産など、女性のライフイベントに対して知識・理解がない」 冒頭でも言及した通り、ひとりで仕事をするドライバーが抱える問題は、本人からの報告がない限り気付くことができない。しかし、周囲には中年男性上司ばかり。相談をためらう女性ドライバーをよそに、経営者の半分以上が「女性ドライバーの悩みを把握している」と自信ありげに答えてしまうのが現状なのだ。 ドライバー20人ほどをかかえる運送企業の役員から、こんな愚痴めいた相談を受けたことがある。 「ようやく30代の女性がドライバーとして1人が入ったと思ったら、2か月もしないうちに辞めてしまった。女性はやはり根性も体力も男性より足りていない」 聞けば運行管理者や事務職員にすら女性がいない完全男性企業。相当悔しかったのだろう。 「その“子”のために、“女の子用”のトイレだって作ったんですけどね」 その言葉に、「当然の結果だろう」と思わずにはいられなかった。
車内ドライブレコーダーがプライバシーを侵害する?
こうした女性管理者の不在は、時に女性ドライバーの大きな人権侵害になる恐れがあると感じている。それが「車内ドライブレコーダー」だ。 現在、当たり前のように自動車に搭載されているドライブレコーダーだが、実は現在のトラックには、事故時の証拠を増やすべく、車外だけでなく「車内」の様子を記録するレコーダーが付いていることが多い。 しかし、このカメラがドライバーにダイレクトに向けられた車内レコーダーの設置には、「プライバシーがない」「鼻もほじれない」とドライバーからの不満が出ることが少なくない。 その記録は、事故時の証拠だけでなく、普段から勤務態度の確認や評価の材料として、役員たちに見られるケースがあるからだ。 これに対し、「最大のプライバシー配慮をしている」とする企業もあるが、何より懸念されるのが、女性ドライバーの映像を男性が確認しているという現状だ。 「プライバシー保護のため、役員しか見られないようにしている」と言いながら、その役員が全員男性なのは、プライバシーの保護になっていると言えるのだろうか。 男性ばかりの企業に所属する女性のドライバーからは「(同僚や上司から)『歌うまいね』と声をかけられた」「『運転中に言ってたひとりごと、あれなんて言ってたの?』って聞かれてゾッとしました」といった声が多く届いている。 なかでも最も問題なのが、着替えだ。 カメラはエンジンを切ればオフになる。布などで覆えば、当然姿は映らない。 しかし、たとえオフになっていたとしてもカメラの向こうに男性がいることを知ったうえで着替えなければならない環境は、女性にとって心的な負担になる。 運送企業には、女性用の更衣室がないところが少なくない。汗だくになり、途中で着替えたくなる労働環境下でもある。1日で帰れない場合は車中泊もある。 「記録を男性が見ていると考えると、超絶に気持ち悪いです。でも、その映像を見ている男性こそ、『気持ち悪い』と言わないといけない会社のしかるべき地位の人たちなので、どうしても言い出せず我慢しています」